初見の感想と「もう一度、見たい映画」
初めてこの映画を見たのは、私が20代の頃、20年以上前だったかと思います。
音楽好きは今も昔も変わらないので、HipHopグループのパブリック・エナミー(Public Enemy)の曲がテーマソングになっている‥‥ということにつられて見たような感じでした。
冒頭からそのパブリック・エナミーの曲「ファイト・ザ・パワー(Fight the power)」をBGMに、ティナ役のロージー・ペレスがボクシング・グローブをつけて踊りまくるシーンがあまりにも強烈でした。
オープニング
映画がはじまると舞台はニューヨークはブルックリン、猛暑‥‥道路が陽炎がかっている感じで、日常生活がはじまりました。
監督で主演も主演ムーキーを演じるのはスパイク・リー、ちょっと内股気味(?!)。
スパイク・リー(ムーキー)とダニー・アイエロ(サル)
時々、出てくるレディオ・ラヒーム(ビル・ナン)の両手の指にはめられたリング「LOVE」と「HATE」が、妙に脳裏に残るな‥
ビル・ナン(レディオ・ラヒーム)のLove&Hate
と思っているうちに、
「あれ?」
ピザ屋さんが燃えていて‥‥。
「なんでぇ?!」
どうしてそうなったの?
何があったんだっけ?
そりゃ、ちょっとした諍いはあったけど‥‥
と思い出そうとしているうちに映画が終わってしまった‥‥。
という、とんでもなく、いい加減で頼りない感想で、
「ほんとに映画を見てたん?」
と思ったのは、誰でもなく自分自身だったりして‥‥
という事情で、「もう一度、見たい!」と願いつつ、この映画を振り返ってみます。
ストーリー
日本語ヴァージョンがみつからなくて英語ヴァージョンですが、予告編もあります。
雰囲気はこんな感じ‥‥
些細なことなのに気づいたらたいへんなことになっていた‥‥というのは、なんとなくリアルです。小さなことでも積み重なって溜めてしまうと大事に発展してしまうことって、あるような気がします。
それは、一見「些細なこと」のようでも、その裏に隠された意味などを無意識に感じ取ってしまっている場合も多いからかもしれないですね。
特に、人種のルツボと呼ばれているニューヨークのような場所では、肌の色から宗教、思想、食べ物も聴く音楽さえも、あまりにも多様で、時には折り合いをつけられないことも多いだろうと想像します。
余談として‥‥
キャスト
ルビー・ディー(マザー・シスター)
サミュエル・L・ジャクソン(ラジオDJミスター・セニョール・ラブ・ダディー)
ジャンカルロ・エスポジート(バギン・アウト)
物議もかもしたことも
この映画が公開された当時、アカデミー賞で、
「『ドゥ・ザ・ライト・シング』はもっとノミネートされてもいいはず」
(脚本賞にノミネートされています)
という抗議が起こったことを覚えています。
そういえば、今年(2016年)も、同じようなことがありましたね。
「OscarsSoWhite(オスカーは白過ぎ‥)」と言われ、有色人種はアカデミー賞にノミネートされることすら少ない、少なすぎる‥‥と。
改善するというニュースもあったように思いますが、この映画からおよそ30年近く経ってもアメリカの映画事情が変わっていないことに、少々、複雑な想いを抱きました。
※下記はその件についての、スパイク・リーの見解も載っています。
オスカーボイコットで注目のスパイク・リーがベルリンで会見 : 映画ニュース - 映画.com
スパイク・リー
映画もそうですが、スパイク・リー監督(この映画では出演、脚本、製作も)という人物にも注目してみましょう。
監督としてのスパイク・リー
確かに、アメリカ映画に白い肌の俳優・女優さんしか出ていない‥‥というのは、不自然な気がするのですよ。多民族国家なのに。
そこに「おや?」と思ったスパイク・リー監督は、元々、映画をつくる才能に長けていたのでしょう。
監督の作品も見てみましょう。
マルコムX
デンゼル・ワシントン主演の「マルコムX」も話題になり、またこれも物議をかもした問題作と言われましたね。キング牧師ではなく、マルコムXの方を‥‥というのが、スパイク・リー監督らしいと思いました。
ドゥ・ザ・ライト・シング(Do the right thing)の意味
通りの名前にまでなっている「Do The Right Thing」という言葉
個人的なことですが、10年くらい前、あるアメリカの方々とインターネット上ですが交流することが多かった時期がありました。
(とあるバンドのファンクラブが当時はアメリカにしかなかったので)
英語はさほど得意でないのですが、それでも辞書やら片手に、好きなバンドの話で盛り上がり、楽しい時間も過ごしたりしました。
でも、どうしても「ああ、自分って日本人なんだな」と感じた瞬間というのが、この言葉‥‥
RIGHT(正しい)
WRONG(間違ってる)
でした。
アメリカの方々(少なくともその時に交流した)は、この二つの言葉をよく使用されていました。
「その中間、中庸を行くって方法もあるじゃない」
と言うのは、日本人の私くらいだったように思います。カルチャー・ギャップなのでしょうか‥‥・。
日本とアメリカ‥‥置かれている環境の違いを、その言葉でも思い知ったように感じました。
多様性と言えば聞こえがいいかもしれないけれど、きっと「正しい」「間違ってる」をはっきり表現しなければ、生活していけないのかもしれないですね。
映画を観た人々の感想(カスタマー・レビューより)
私の感想だけでも心もとないので、Amazonカスタマー・レビューを読んでみました。
クマおたく様とこなー様の感想を引用させていただきます。
音楽
なんとなく映画の記事を書くとこのセリフを書く確率が高いような気がしますが、やっぱり書きますよ!
なんといっても、この映画のもう一人の主役を忘れてはいけないですよね!!
映画の中のそこかしこの場面で流れていたこの曲です。
映画の一部になっていたと言ってもいいほど存在感が大きかったこの曲ですね。
少しパブリック・エナミーについても触れてみましょう。
パブリック・エナミー(Public Enemy)とは
パブリック・エナミー(Public Enemy)
このパブリック・エナミーのリーダー的存在と言ってもいい、チャックD、とてもいいこと言っているインタビューも見つけてしまったので、載せてしまいますね!
パブリック・エナミーのチャックD
ぜひ見て聴いてみたい
映画はもちろん、サントラの方もぜひもう一度、見て聴いてみたいと思わせてくれた作品でした。
今、こうやっていろいと調べてみて、そう強く感じたものがあります。
LOVE & HATE
この言葉が象徴的ですね‥‥!