「銀河の三人」とは?

原作ソフト
Tagoo : MSXソフトウエア検索 : 地球戦士ライーザ
1985年にパソコン(PC-8801他)でエニックスから発売された「地球戦士ライーザ」を原作として、タイトルを変更の上ファミコンに移植したSF系RPGです。
移植に伴い、パッケージイラストやキャラデザインに「マジンガーZ」などで有名な永井豪氏。
楽曲担当にYMO(イエロー・マジック・オーケストラ)の高橋幸宏氏を起用するなど、
任天堂の気合が感じられる移植となっています。

ちなみに、ソフトの他に……
ファミコン冒険ゲームブック 銀河の三人 復活のヴィザーン | 中古 | ボードゲーム | 通販ショップの駿河屋
「地球戦士ライーザ」と「銀河の三人」の違い
ちなみに、ファミコンに移植するにあたっては、「全くの別物」とまでは言わないものの、
かなり大きなアレンジが加えられています。
1.「外宇宙から訪れた文明、ガルムと地球との戦争」「キャラの名前や設定」など、
大まかなストーリーの筋立ては両方とも共通していますが、
途中の展開にかなり大きな違いがあります。
例として、「銀河の三人」は地球からストーリーが始まりますが、
「地球戦士ライーザ」は宇宙からストーリーが始まり、
物語当初は地球にバリアが張られているため、地球に戻ることすらできません。
全体的に「銀河の三人」より絶望感とシリアスさが強まっている感じでしょうか。
また、「地球戦士ライーザ」には後述する惑星探索のパートがないため、
ゲーム性の方にも違いが出ています。
2.「地球戦士ライーザ」にはオープニング・エンディングにしかBGMがありませんでしたが、
(オープニング曲=エンディング曲のため、実質一曲のみ)
「銀河の三人」は全編に渡ってBGMが追加されました。
ただし、1曲とはいえ「地球戦士ライーザ」のBGMもクオリティは高いです。
3.2とは逆に、「地球戦士ライーザ」ではイベントの各所で取り入れられていた1枚絵の大半が
「銀河の三人」ではカットされています。
ファミコンで大きな1枚絵を表示しようとするとかなりの容量を食ってしまうため、
仕方のないところではありますが……
「銀河の三人」のあらすじ
長い放浪の旅の末に発見した地球を新たな母星とすべく、突如地球人類に対して攻撃を仕掛けてきた謎の文明「ガルム」に対して、
地球は劣勢に立たされていた。
木星作戦の失敗により全ての戦力を失い、地球本土への侵攻ももはや時間の問題となるに至り、
地球軍は最後の希望として、主人公とその相棒「ブルー」に最新鋭戦闘機「ライーザ」を託し、
ガルムの司令船であるガルム空母を直接破壊することで、戦局の打開を図る賭けに出た。
出撃直後、月から発信されたSOSを受けて救援に駆けつけた2人は、月のシェルターで救命カプセルを回収する。
その中に入っていたのは「リミ」という名前以外の全ての記憶を失った少女であった……
主人公。ブルー。そして自らが持つESP(超能力)を使って2人と共に戦うことを決めたリミ。
「銀河の三人」とガルムとの死闘が、今幕を開ける。

キャラ紹介
Amazon.co.jp: 銀河の三人: ゲーム
「銀河の三人」の魅力-1.斬新なゲームシステム
それでは、ここからは「銀河の三人」の魅力をもう少し深く掘り下げていきます。
まず1つ目の魅力は、当時のファミコンRPGにはなかった斬新なゲームシステムを取り入れたことでしょう。
基本的には、星間移動(フィールド)と惑星探索(ダンジョン)の2パートで構成されるマップを進んで、敵を倒しつつ攻略を進めていくシステムですが、
星間移動には、目的地を指定するとボタン一つで自動で目的地へと移動していく独自のシステムを用いています。
装備しているブースターの数に応じて、1度に移動(跳躍)できる距離が決まっていて、
1回の移動ごとにエンカウントが発生する仕組みです。
(なお、惑星探索の方は当時の一般的なRPGと同様の2DMAP形式です)
また、戦闘に関しても少し変わったシステムを採用しており、
一度に全ての敵を攻撃できるかわりに、敵の数に応じて威力が分散する通常兵器「ビーム」と、
(後に攻撃対象を絞り込む「1way」「3way」のオプションが追加されます)
ビームよりも強力ですが弾数制限のある「ミサイル」
そして、魔法に相当するリミの「ESP」を駆使して、敵を倒しつつストーリーを進めていくことになります。
こうした独自のシステムを取り入れたことにより、当時ファミコンで人気を博していたRPGである、
「ドラゴンクエスト」などの系統とは違うスタイルと魅力が生まれたと言えます。
「銀河の三人」の魅力-2.世界観とストーリー
2つ目の魅力として挙げたいのは、「世界観とストーリー」です。
スタート時点で「ライーザ」以外の全ての戦力を失い、
辛うじて地球を保持しているに過ぎない、という絶望的な状況から始まることもあって、
全体的にはシリアスな展開でストーリーは進んでいくのですが、
シリアスに寄りすぎないよう、主人公の相方【ブルー】が
要所で「三枚目」らしい色々なリアクションを見せてくれるため、
雰囲気が重くなりすぎることなく、ゲームを進めていくことができます。
また、ストーリ上の敵となるガルムに関しても、「母星を失い放浪を続ける異星人」というバックボーンがあり、
単純な正義、悪の図式ではなく、「ガルムにもガルムの正義がある」ということを所々で見せていることが、
物語により深みを与えているのではないでしょうか。
「銀河の三人」の魅力-3.BGM
そして3つ目の魅力が、これらの世界観とストーリーを裏で盛り立ててくれるBGMです。
全編を通した80年代のSFらしい広がる未来感と、それでいて所々で物悲しい哀愁を感じさせる曲調が
ゲームの雰囲気にぴったりとマッチしている感じです。
ちなみに、通常戦闘曲がYMOの名曲「Rydeen」の前半に似ているというのは
「銀河の三人」の鉄板ネタの一つですが、
当のYMOの高橋氏が曲作りに関わっているわけですから、名曲に似てしまったのもある意味当然ですね……!
衝撃のエンディングへ
激闘の末に太陽系のガルムの前線基地を破壊して、平和を取り戻したかに見えたのも束の間。
ガルムの本星を叩かなければ侵攻が止まらないことが分かり、
戦いの舞台は外宇宙・ガルム空間へと移っていきます。
強敵ガルム四天王を撃破し、ガルム本星に突入した主人公は、
長い死闘の果てに、遂にラスボス「ガルム皇帝」との戦いに挑むことに……
ここから続くエンディングの衝撃は、実際に通しでプレイして、
屈指の難易度を誇るダンジョンを自力で抜けた上で、味わってほしいところなのですが……
どうしても見てみたいという方は、↓からどうぞ。
……今でこそ、こういう展開の作品は珍しいものではありませんが、
大抵がハッピーエンドで終わっていた当時のファミコンにおいては、まさに衝撃のエンディング。
特にリアルでプレイした方は、思わず涙してしまった方も多いのではないでしょうか?
しかし、ストーリー全体を見ると、
単なるハッピーエンドで終わらせなかったこともまた、「銀河の三人」の魅力であり、
そして、「ただのゲーム」として埋もれたまま終わってほしくない理由でもあります。
なのに、どうして評価されなかった?-1.ゲームバランス
上記に挙げたように、これだけプレイヤーを惹きつける要素を持っているにもかかわらず、
現代において、「銀河の三人」はあまり評価されているとは言えません。
いったいなぜでしょうか?
斬新なシステムやストーリー性など、様々な魅力がある半面、
エンカウントの多さや「長い上に敵が強い」超難易度のラストダンジョンなど、
終盤のゲームバランスには難があると言われています。
特に、ラストダンジョンのザコ敵として出現する「ガルバンゴル」の強さは折り紙付きで、
ザコとは思えないほどHPが高く、その上仲間を呼ぶため、1体でも厄介なのに
ラスト間際では回避できない7体→8体→9体 の3連戦が待っているという容赦のなさ。
中でも頑丈・攻撃力高い・数が多いし仲間も呼ぶ・回復さえする…というゲーム中最強のザコ・ガルバンゴルからの撤退失敗→全滅はお約束であり、別な意味での鬱要素となっている。
http://www26.atwiki.jp/gcmatome/pages/854.htmlゲームカタログ@Wiki ~クソゲーから名作まで~ - 銀河の三人
パスワード形式のゲームであり、道中でパスワードを取れるポイントもないことから、
「攻略困難な難易度」になってしまっていることは、評価としては痛いところです。
なのに、どうして評価されなかった?-2.パッケージイラスト
また、目玉の一つであった永井豪氏のパッケージイラストも、
売り上げの上では裏目に出てしまったと言われています。

パッケージイラスト
Amazon.co.jp: 銀河の三人: ゲーム

さらに、同時期のゲームのパッケージと見比べてみると……
ロックマン (箱説あり) | 中古 | ファミコンソフト | 通販ショップの駿河屋
今よりまだまだゲームの事前情報が少なく、
店先に並んだ時の見た目として、パッケージも大事な要素だった時代に、
当時発売された他のゲームソフトと並べたときに、
ファミコンを買う中心層の小学生に「銀河の三人」のパッケージは思ったほど受け入れられなかったようです。
評価されなかった、もっと大きな理由は……
しかし、「銀河の三人」が、今なお正当な評価を受けられずにいる最大の理由は、
直後に発売された「同じRPGというジャンルを持つ2本のソフト」に話題をさらわれてしまったことでしょう。

僅か3日後に……
ディスコグラフィー | ファイナルファンタジー | SQUARE ENIX

そして2か月後には……
ドラゴンクエストⅢ そして伝説へ… | ドラゴンクエスト誕生30周年記念ポータルサイト | SQUARE ENIX
2本の強大すぎるライバルに、同じRPGという土俵で挑んだ結果、
「銀河の三人」は商業的な成功を収めることができず、
その後、ライバルが様々なハードに移植され現在まで遊び継がれていく中、
2016年3月現在も、バーチャルコンソールでの配信すら叶うことはなく、
同時代の多くのファミコンソフトの一本として、時代の中に埋もれていくこととなってしまったのです。
まとめ
「銀河の三人」の魅力と、魅力があるにもかかわらず評価されなかった理由。いかがでしたでしょうか?
今の時代でも通用するような様々な魅力があり、
しかも任天堂から発売されたソフトであるにも関わらず、バーチャルコンソールにも移植されていないというのは、
著名な方が制作に関わっていることが、かえって壁になってしまっているということなのでしょうか……
発売から30年近く経った今となっては、リメイクや続編の制作もほぼ絶望的。
発売時期や販促など、ゲーム内容だけではなく売り方の面にも力を入れていれば、
正当な評価を受けられていたかもしれないと思うと、正直、勿体ないなぁと思ってしまいます。
しかし、幸い比較的安価に中古ソフトが出回っており、
ファミコンの実機さえあれば、プレイすること自体は今も難しくはありません。
パスワード方式のゲーム故に、セーブデータの電池切れを心配することがないのも、こういう場合には嬉しいところ。
というわけで、まだファミコンの実機をお持ちの方は、
ぜひ一度プレイして、ラストダンジョンを抜けた先の「衝撃のエンディング」をその目で確かめてみてください……!