柴矢俊彦(ギター・コーラス)
沖山優司(ベース・コーラス)
「ジェニーはご機嫌ななめ」にある普遍性
ボーカルのイリアが、「ガールズ」というガールズバンド(アメリカのザ・ランナウェイズの格好を真似たバンド)だったこともあって、色物的な感じもあったジューシィ・フルーツ。
ただ、音楽的なセンスの部分は、近田春夫がバックにいて、安定していて、特に、デビューシングル「ジェニーはご機嫌ななめ」は、歌謡曲に有りがちな時代遅れな音を感じさせないと思う。
なお、「ジェニーはご機嫌ななめ」は、以下のように何度かカヴァーされている。
・越智静香 (シングル表題曲、ダブリューイーエー・ジャパン、1991年3月25日)※TSUKUMO CMソ ング
・ロビン (マキシシングル表題曲、ファンハウス、1994年11月16日)
・神咲まゆみ (シングル表題曲、パラダイム、1999年4月21日)
・ハイポジ (マキシシングル表題曲、CONTEMP RECORDS、2000年)
・Perfume (シングル『スウィートドーナッツ』カップリング、BEE-HIVEレコード、2003年8月6日)
・桜(もも)mint's (2006年)
・中澤優子 (CDシングル表題曲、石丸電気、2006年12月16日)
・カジヒデキ (『夜のロックスタジオ』、フジテレビ、2007年10月9日)
・矢口真里 (DVD『歌ドキッ! 〜ポップクラシックス〜』、アップフロントワークス、2007年10月24日)
・稲森寿世 (シングル『GIRLS STYLE』カップリング、avex trax、2008年5月7日)
・GO!GO!7188 (アルバム『虎の穴 2』、BMG JAPAN、2008年5月28日)
・やくしまるえつこ (シングル『おやすみパラドックス/ジェニーはご機嫌ななめ』両A面シングル、ス ターチャイルド、2009年10月21日)
・Peronica (アルバム『A Tricolore Summer』、Deracine Music Records、2010年7月7日)
・イリア(ジューシィ・フルーツ)&初音ミク (アルバム『初音ミクsingsニューウェイヴ』、ビクターエンタテ インメント、2011年10月26日)
・Saku(ミニアルバム『ZOMBIE MORNING e.p.』に収録。2014年7月9日)
テクノポップ(シンセポップ)の未来形として
曲に対する普遍性というか、それとも先進性と呼んだらいいのか、それは、そもそも「テクノポップ」という音楽のジャンルそのものにあったのかもしれない。
wikipediaによると、「テクノポップ」とは次のようになる。
テクノポップ、簡単に言うと、電子音楽、「ピコピコ・サウンド」と言った方が判りやすいかもしれない。
当時は、そういう音が「未来の音」として語られていた気がする。直後に「バンド・ブーム」が来たので、数年で掻き消されてしまったが、音やリズムの軽さが、コンピューターゲームにマッチして、そっちではしぶとく進化していった。「スーパーマリオ」や「ドラゴンクエスト」などもその典型だが、「初音ミク」などヴォーカロイドにもそれが継承されている。
ジューシィ・フルーツは、スタートこそテクノポップで始まったが、音楽的には、次第にそこから離れていくことになった。ただ、見ていた限り、その方向性は、未来から現代、過去へと遡り、段々と時代にそぐわなくってしまったように思う。
最初の曲の先進性(テクノポップの未来を切り取った曲だったと思う)だけが残り、後の曲は時代に飲み込まれて、単なる「ナツメロ」になってしまった気がしてならない。
当時を振り返ってみると、「未来をイメージした音」(=テクノポップ)の未来と、現実の進歩の方向性は少し違った気がするけれど、それによって、テクノポップが目指した未来の世界がまだ実現してない感じもして、今、それらを聞いても、新鮮な音として感じることができる。
「ジェニーはご機嫌ななめ」を聞くと、歌詞はともかく、音はまだ未来から聞こえてくるような気がしてならない。
<おまけ>テクノポップの代表曲
ベストアルバム、WEBサイト・リンク
Juicy Fruits WEB | 「ジューシィ・フルーツ」WEBサイト