コナミがMSX向けに開発したSCC音源はFM音源にも負けない!PSG音源に甘んじていたMSXユーザーに希望を与えてくれました。

コナミがMSX向けに開発したSCC音源はFM音源にも負けない!PSG音源に甘んじていたMSXユーザーに希望を与えてくれました。

MSXに力を注ぎ、専用のゲーム音源「SCC音源」を開発してくれたのがコナミ。当時のMSXユーザーはファミコンをはじめとするゲーム専用機とPC-88などの本格派パソコンの狭間で不遇の思いをすることが多く、他のパソコンゲームからの移植版ゲームで、オリジナルとのクオリティの差に溜息をつくことがよくありました。MSXユーザーはコナミの尽力をいつまでも忘れません。


コナミがMSX用に開発したSCC音源とは

SCCは当時のコナミが開発した波形メモリ音源兼メモリーバンク制御チップ

他の8bit/16bitパソコンに比して、安価ゆえにスペックに劣る部分が多かったMSX。
とくにサウンド面では、PC88などの奏でるFM音源に憧れていたMSXユーザーが多かったのではないでしょうか。

他機種から移植されてくるゲームをプレイするたびに、その貧弱なPSG音にガッカリしていたMSXユーザーたち。
そんなMSXに対して情熱を注いでくれたゲームメーカー「コナミ」は、独自にSCC音源を開発し、MSX向けにリリースするゲームソフトにはSCC音源を搭載しました。
筆者は、はじめてSCC音源を聴いたとき「おぉ~!」と声を上げて感動したのを憶えています。
とくに個人的には、SCC音源の名作として「グラディウス2」と「メタルギア2」をあげたいと思います。

名作「グラディウス2」「メタルギア2」はいずれもMSXオリジナル作品

【MSX】ホビーパソコン?ゲームパソコン?多くの人がいまだ愛して止まない、一時代を築いたパソコン規格「MSX」とは。 - Middle Edge(ミドルエッジ)

コナミが開発したSCC音源の特徴

・同時発声数並びにチャンネル数は5音。MSX本体のPSG3音と合わせると8音同時発声が可能。

・周波数(12ビット)、振幅(ボリューム)(4ビット)のパラメータはMSXの内蔵音源であるAY-3-8910と互換性がある。周波数の誤差は大きいものの、音程データを共用できるとして設定された。

・ROMゲームに実装されているSCC(2212P003)ではchDとchEは共通の波形という制限がある。

・スナッチャーおよびSDスナッチャーに搭載されたSCC-I(2312P001、SCC+の名称が俗称として使われることがある。)は若干の仕様変更が行われており、互換モードと、独自のモードを持っている。専用のモードではチャンネル毎に任意の波形を生成できるようになっている。

・波形メモリは32バイトと短めのため、「スペイシー」と表現される独特な音色となる。

・PSGと同様に、音域が高域になるほどピッチの精度が下がる。

・音域が低域になるほど「ブーン」というハムノイズが一緒に発音される。これは矩形波を細かくした音構造になっていることによる。

・エンベロープ(音量の自動減衰)などはないためソフト側で対処する必要があり、SCCを使用しているソフトはその分処理が重くなる。

こちらはSCC音源を改良したSCC+音源と呼ばれることがありました。

SCC音源用の専用カートリッジがついた「スナッチャー」

SCC音源の着想は「ファミリーコンピュータディスクシステム」がきっかけ

ファミリーコンピュータディスクシステムに搭載されたPWM音源

ディスクシステムでは、ファミコン本体では矩形波など限られた音色しか出せなかったサウンド機能のためにPWM音源が搭載されてゲームプログラムから利用できるようになりました。
ディスクシステムのゲーム作品は多くがPWM音源を利用し、当時のゲームの評価の際に当時としては美麗なサウンドを印象に残る点として挙げるファンも多いものの、ロムカセットへの移植時にサウンドの忠実な再現ができないという欠点も発生しました
※下記動画の「ゼルダの伝説」オープニング曲で顕著

【ディスクシステム】画期的システムだった任天堂ファミコンのディスクシステムの名作ゲームをまとめてみた【ファミコン】 - Middle Edge(ミドルエッジ)

コナミはSCC音源活用のMSXゲームを次々とリリース

コナミはSCC音源を開発した後、MSX1、MSX2専用問わず全てのゲームにSCC音源を搭載してリリースしてくれたのでした。

コナミのSCCによる作曲傾向

【コナミのMSXゲームソフト】MSXユーザーはコナミが好きだった!コナミがMSXにゲーム供給してくれたあの時代を懐かしむ。【あの頃のコナミに捧ぐ】 - Middle Edge(ミドルエッジ)

ベースとなったPSG音源

実は重ね合わせることで綺麗な音色も奏でることが出来るのがPSG音源でした。

PSG音源の「重ね」にとにかくこだわった作品としてはマイクロキャビン社の「Xak」が挙げられるでしょう。

【Xak(サーク】他機種のFM音源に比べて貧弱だったMSXが、もっとも美しい音色を奏でたとされる名作RPG「Xak(サーク)」はPSGの丁寧な「重ね」がスゴイ! - Middle Edge(ミドルエッジ)

当時リッチとされていたFM音源

80年代のゲームサウンドのみならず音楽シーンにおいて、FM音源は欠かせない音源でした。

1980年代のポピュラー音楽に多く取り入れられ、当時を象徴するサウンドと評される【FM音源】 - Middle Edge(ミドルエッジ)

ヤマハ(当時・日本楽器製造)は、FM方式の特許のライセンスを取得し研究開発を進め、1980年にGS1ステージピアノを発表する。その後、1983年に発売されたシンセサイザーDX7によって、一般に耳にする音楽で広く使われるようになり、FM音源のサウンドは広く知られるようになった。 また、音源チップは、1980年代のパソコンやアーケードゲーム機、家庭用ゲーム機セガ・マークIIIのFMサウンドユニット、マスターシステム、メガドライブの内蔵音源として大量に使われ、これらから発せられる音としても聞かれることとなった。 特にエレクトリックピアノの音色は秀逸で、PCM音源にサンプリングされ今でもよく使用されている。マリンバやオルガンの音などはPCM音源に負けないほどリアルな音が出せる。アコースティックピアノの音のシミュレートは苦手であり、PCM音源に押されて、一時はシンセサイザー市場から消えかけた。しかし、FM音源独自のベロシティによる音色のダイナミックな変化が見直され、ソフトウェアシンセサイザーのFM7やヤマハのDX200やPLG150-DXなど近年もFM音源の機種が発表されている。 発声用の「キャリア」だけでなく、変調用の「モジュレータ」にもエンヴェロープの設定が可能であるため、倍音構成の時間変化を伴う音色を作成できる。FM変調による倍音変化は減算式フィルタによる倍音変化に比べて自由度が高いことから、極端な倍音変化を設定することで「にょわーーーーん」などという擬音語で表現されるような、金属的かつ非自然的な「FM音源らしい音」を生み出すことができる。レゾナンス、ワウペダルなどの項目も参考になると思われる。他の方式のシンセサイザーでもレゾナンスなどのパラメータをリアルタイムで変更することによって、ある程度の再現は可能。だが、生産性に問題があり、演奏データの肥大化にも繋がる。 逆に、自然な生楽器の再現などにこの自由度を生かすこともでき、減算方式のシンセサイザーに比べてよりリアルな表現が可能である。無論PCMなど録音済み波形を用いる音源に比べれば再現度は劣るが、必要な計算リソースも少ないため、現在でも低コストで多彩な音色が得られる音源装置として有用な選択肢となっている。

http://ja.wikipedia.org/wiki/FM%E9%9F%B3%E6%BA%90

FM音源 - Wikipedia

SCC音源とPSG音源、さらには後にMSXで聴けることになったFM音源でのサウンド比較

日本ファルコムの名作「イースⅡ」オープニング楽曲で比較

名作「イースⅡ」オープニングで検証します。
ちなみにFM音源はPC-88等他機種のではなく、あくまでも後に登場したMSX用のFM音源で奏でた場合の音色です。

SCC音源

PSG音源

FM音源

ちなみにFM音源、MIDI音源を活用する他機種版全てとも聞き比べてみます。

DTM音源としてのSCC

当時、SCC音源を自ら触ってみたいと下記のような方法を試したものです。

SCC音源カートリッジ単体としては流通しておらず、後にスナッチャー・SDスナッチャー共に中古市場でプレミア扱いされたことにより正規に販売されたカートリッジを入手するのは困難となり、実際の流通量は少なかった。しかし、コナミのSCC搭載のMSX用ゲームはユーザーに広く普及していたため、SCC搭載ゲームカートリッジでゲームが起動しないように改造して用いる方法や、MSX起動後に後からSCC搭載ゲームカートリッジを挿す方法が考案された。そのため、かなり多くのユーザーがSCC音源を自由に利用可能になっていた。なお、MSXが電源オン状態でもカートリッジの抜き差しは物理的には可能だが、本体やカートリッジはその動作を想定して作られていないため、後者の方法は抜き差し時の電流や信号によって精密回路を破損する恐れがあった。誤動作を抑えるために、Shiftキーを押しながらカートリッジを差し込む方法や、PAUSEボタンでシステムを強制停止させている間に挿し、PAUSEを解除する方法が知られている。PAUSEボタンを用いる方法の方が安全性は高いといわれているが、PAUSEボタン搭載機種はFS-A1シリーズ以降の松下製MSX数機種と同時期以降のソニー製MSX数機種のみであり、turbo-RではPAUSEのハードウェア的な実装が変更されているので、回路のタイミングが停止しない。また、いずれにしても電源オン状態でスロットに無理やり挿入していることには変わりはなく、故障の原因となる可能性が高かった。

http://ja.wikipedia.org/wiki/SCC

SCC - Wikipedia

MSXユーザとしては、数少ない誇らしい出来事でありました。

ちなみに音源に関して、当時のパソコンで主流だったFM音源はやがて携帯電話初期のころに搭載されて多くの人が耳にしたものです。パソコンゲーム向け音楽クリエーターたちも携帯電話初期には再び活躍することとなりました。

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