【大久保博元選手】巨人の救世主になった「デーブ」

【大久保博元選手】巨人の救世主になった「デーブ」

2015年楽天イーグルスの監督に就任。そして成績不振のため一年で解任。 打撃コーチとしては…監督としては…と指導者としての評価が分かれる大久保博元氏。 そんな彼の現役時代の活躍を振り返る。「彼は、まぎれもなく巨人の救世主だった」


●西武時代

茨城県の水戸商業から、1984年のドラフト会議で、西武ライオンズから1位指名を受けて入団。
ただ、当時の西武は黄金時代。正捕手には伊東勤選手がどっかと座っていました。打力には定評があったものの、守備力では伊東捕手には遠く及ばない為、主に代打での起用が続きました。

伊東選手の経歴(凄)

●巨人の「救世主」

そんな大久保選手が1992年の5月、実績のあった中尾選手との交換トレードで大久保選手が巨人にやってきた時は、大久保選手はあまり期待されておらず「誰だ?このデブ?」「中尾を出してまで獲る選手か?」というのが正直なファンの反応でしたが、当時の藤田監督の抜擢に応え、大久保選手はオールスターゲームまでに打率.300、12本塁打を放つ活躍を見せます。
また大久保選手がホームランを打った試合は必ず勝利していたため“大久保が打てば負けない”という不敗神話まで生まれました。

「週刊ベースボール」の表紙を飾る大久保選手

ただ、レギュラーとして通年を通じて試合に出た事の無い大久保選手は夏場以降、成績を急激に落とし、村田真一選手にポジションを再び奪われていきます。
結局この年、巨人は2位に終わります。

●大久保vs村田

大久保選手は巨人に移籍以降、村田真一選手と正捕手の座を巡って争う事になります。
大久保選手が巨人に移籍した1992年~1994年迄の大久保選手の成績を見てみましょう。

○大久保選手の成績
1992年:84試合出場 260打数73安打(打率.277)15本塁打、長打率.504(二塁打14)
※大久保選手は、この年の5月に巨人に移籍
1993年:40試合出場 110打数24安打(打率.218)10本塁打、長打率.509(二塁打2)
※この年から監督は長島監督に。大久保選手は5月27日、対ヤクルト戦で死球を受けて骨折。9月まで戦線離脱
1994年:62試合出場 119打数35安打(打率.294) 9本塁打、長打率.538(二塁打2)
※この年は伝説の「10.8決戦」があった年。巨人は西武ライオンズを下して日本一に

この数字の中で注目すべきは、5割を超える「長打率」でしょう。
ただ「長打率」といいながら、鈍足の大久保選手が「三塁打」を打った事はなく「長打」というとほぼ「本塁打」。(その中で1992年の2塁打14本と言うのは、他の選手の3塁打に匹敵するのでは…とまで言うのは失礼でしょうか)

「長年レギュラーとして先発で出場していた選手と一概に比較はできない」という事を念頭におきながら【長打率】だけで比較すると…。
阿部慎之介選手の昨年までの長打率は.507。
高橋由伸選手の通算の長打率は.503。
松井秀樹選手の巨人在籍時の長打率は….582。さすが松井選手、もうこれはバケモノですね。

では、ポジションを争っていた村田真一選手の同時期の成績と比較してみると…。
1992年:34試合出場 86打数20安打(打率.233)3本塁打、長打率.407(二塁打6)
1993年:88試合出場 258打数61安打(打率.236)6本塁打、長打率.357(二塁打13)
1994年:120試合出場 330打数82安打(打率.277)10本塁打、長打率.376(二塁打12)

打撃の成績だけで見ると大久保選手の圧勝と言っていいのではないでしょうか。
(…というかなぜ村田選手が打撃コーチに…というのが巨人ファンの本音では?)

●「守備に問題があった」といわれている大久保選手。

「大久保選手は守備に問題があった」と言われています。捕手の守備力を測る一つのものさしである「肩」に関する成績を見てみると…。

<大久保選手の盗塁阻止数、阻止率>
1992年:許した盗塁数38 阻止数14 阻止率.269
1993年:許した盗塁数22 阻止数7  阻止率.241
1994年:許した盗塁数15 阻止数10 阻止率.400
プロ通算の盗塁阻止率は.285

<村田真一選手の盗塁阻止数、阻止率>
1992年:許した盗塁数17 阻止数6 阻止率.261
1993年:許した盗塁数36 阻止数16 阻止率.308
1994年:許した盗塁数65 阻止数26 阻止率.286
プロ通算の盗塁阻止率は.267

ただ、村田選手の盗塁阻止率も特別良いという訳でもなく、厳しい言い方をすれば、一軍の正捕手としては「並」の部類。「肩」という観点で見ると、大久保選手と村田真一選手は「どんぐりの背比べ」という所ではないでしょうか?

<ちなみに【強肩】と言われた捕手達の数字はどれ位の数字かと言うと…>
盗塁阻止率で歴代の捕手の中でもトップクラスだと言われている古田敦也選手の場合は…。
1993年には132試合出場で盗塁阻止率.644という脅威の数字をたたき出し、通算の盗塁阻止率は.462

この時期は大洋(横浜)の正捕手だった谷繁選手の場合だと…。
1996年には127試合に出場し、盗塁阻止率.416でリーグトップの阻止率を記録。
ベテランの2001年の時でも137試合に出場し、盗塁阻止率.543を記録。2015年に引退するまでの通算盗塁阻止率は.368

インサイドワーク、キャッチングに難がある(と言われていた)が、抜群の長打力を誇る大久保選手。片や打撃は全く期待できないものの、慎重なリードと守備には定評があった村田真一捕手。
(…というかなぜそんな村田選手が打撃コーチに…というのは…しつこい?)

当時の巨人ファンは「村田に大久保位の打力が…」とか「大久保も村田位慎重なリードをしてくれたら…」と嘆いたものです。ただ、巨人において「長打力」を持っている野手は他のポジションで出てますので、捕手にとって第一に優先されるのは「守備力」。正捕手として使われるのは村田選手の方が多かったのです。

●感情を表に出しすぎる男

大久保選手は現役時代から「感情を表に出しすぎる」事が「捕手向きではない」と批判されました。
ただ、この様に全身で感情を表す大久保選手の姿が人気の理由でもありました。

ちなみに72番は中畑コーチ。この2人が後に監督同士で戦う事になるなんて誰が予想したでしょうか…。

ガッツポーズする大久保選手

●現役引退、指導者へ。そして…

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