アドベンチャーゲーム
シミュレーションゲームやロールプレイングゲームと同様、反射神経を必要としない思考型のゲーム
アドベンチャーゲームの歴史-① テキストアドベンチャー
アドベンチャーゲームの始祖は、コロッサル・ケーブ・アドベンチャー(Colossal Cave Adventure)で、1975年頃から米国の研究機関ネットワーク上で広まった。
これは洞窟探検を題材に作成したゲームで、当時は "Adventure" 、または端末に入力するコマンド文字列に由来する "ADVENT" とも呼ばれたが、これが“アドベンチャーゲーム”というジャンル名の由来となる。
画像を使わずに文字だけで進行
当時の主要メーカーには、Infocomが挙げられる。
Infocom社のアドベンチャーゲームのパッケージには、ゲーム中に出てくるアイテムの実物(レシートの切れ端、マッチ、名刺、雑誌など様々な小道具)が同封されており、文字だけのゲーム世界に彩りを添える工夫がなされていた。
表参道アドベンチャー
暗闇の視点 バニーガール殺人事件
テキストアドベンチャーゲームは、日本ではほとんど受け入れられなかった。
開発に際しても、パソコン雑誌の編集者が余暇に作ったものが多く、米国のように企業が組織立って開発した例はほとんどない。
理由として、この時期の日本のコンピュータにおける日本語処理の問題が挙げられる。当時の家庭用パソコンでは画面解像度の問題から漢字表示が困難であり、自然な日本語表現が不可能であった。また日本国外のテキストアドベンチャー作品は、難解な文学的表現や古英語を用いている場合が多かった。
グラフィックアドベンチャーの登場
テキストアドベンチャーからの発展として、ひとつには文字による擬似グラフィックの利用やコンピュータRPGへといった分化があった。
一方Apple IIなどはこういったゲームでの利用にもってこいの、テキストとグラフィックを同時表示するモードを備えており、それを利用したゲームが開発された。
米国では『ミステリーハウス』を皮切りにグラフィックスを伴ったゲームが開発された。ミステリーハウスの開発者は、シエラオンライン社を興し、『ウィザード&プリンセス』や『タイムゾーン』などの作品を次々に発表した。ペンギンソフトウェア社の『トランシルバニア』もこの時期を代表する作品として挙げられる。
これら最初期のグラフィック表示つきアドベンチャーは、Apple IIを主要ハードとしていた。ただし米国ではテキストアドベンチャーも根強い人気を持っており、グラフィックアドベンチャーとテキストアドベンチャーはしばらく共存する状態が続いた。
ミステリーハウス
グラフィックアドベンチャーは、日本国内でも数多くの作品が発表された。この時期の代表的作品に、マイクロキャビンの『ミステリーハウス』、T&E SOFT『スターアーサー伝説』三部作、ハドソンの『デゼニランド』『サラダの国のトマト姫』、エニックス『ポートピア連続殺人事件』などが挙げられる。
これら国産アドベンチャーゲームも、米国のテキストアドベンチャーゲーム同様、基本的にキーボードから単語をコマンドとして直接入力する方式であった。ストーリーの大半は、一般的な単語や事前にヒントのある単語で進めることが出来たが、ラスト近くなど特定の場面では、事前のヒントが全くないまま、思いも寄らない単語の入力が必要な場合もあり、これはゲームの難度を極度に高める結果となった。
当時のアドベンチャーゲームは、概して高度にマニアックなゲームジャンルであった。
スターアーサー伝説 惑星メフィウス
デゼニランド
ポートピア連続殺人事件
キーボードから単語をコマンドとして直接入力する「コマンド入力方式」を採用しているアドベンチャーの後期の作品の中には、「単なることば探し」になってしまうことを避けるためにファンクション・キーによく使う単語を事前に用意しておき、プレイヤーの負担を緩和しているものが出てきた。そして後述の「コマンド選択方式」へと発展することになる。
また日本市場におけるグラフィックアドベンチャーでは、後期の作品の一部に、アニメーションの技法が取り入れられた。これには、画面上の登場人物が振り向いたり、ロボットが変形するなどのフルアニメーションに近いものから、登場人物の目が時々瞬きするといった限定的なものまで、様々な形態があった。
コマンド選択方式の登場とRPGへの融合
アドベンチャーゲームは日本のパソコンで進化した! - Middle Edge(ミドルエッジ)
アメリカでは、大作『Time Zone』に見られるように、コマンド入力方式のゲームは成熟を迎えた。コマンド入力方式の次に開発されたものは、『King's Quest』を始めとする二次元画面内でキャラクタを移動させつつゲームを進行させる方式であった。
この方式はアメリカでは複数のソフトが開発されたが、日本では『ハイドライド』に代表されるアクションRPGが独自の発展を遂げており、キャラクター移動方式はこれに準じた形で発展していった。
日本ではコマンド入力方式の限界が、キャラクター移動方式とは異なるアプローチからも打ち破られた。それはコマンドを単語として入力する代わりに、事前に用意されたコマンドを画面に提示してユーザーに選択させるもので、コマンド選択方式と呼ばれる。
これを最初に採用したソフトは『北海道連鎖殺人 オホーツクに消ゆ』である。コマンド選択方式は広く受け入れられ、コマンド入力方式を瞬く間に駆逐していった。またコマンド選択方式では、キーボードを持たないコンシューマー機への移植も容易となる。『ポートピア~』はコマンド選択方式へと作り直され、ファミコンにも移植された(1985年)。これは初の家庭用ゲーム機用アドベンチャーゲームである。