パソコンRPGの雄、日本ファルコムが手掛けた名作ARPG「Ys(イース)シリーズ 」!1987年の第1作『イース』から振り返ってみよう。

パソコンRPGの雄、日本ファルコムが手掛けた名作ARPG「Ys(イース)シリーズ 」!1987年の第1作『イース』から振り返ってみよう。

80年代のパソコンゲームには様々なRPGが存在しました。とくに日本ファルコムからは「ドラゴンスレイヤー」「ザナドゥ」「ソーサリアン」など、当時を代表する作品が数多く生まれました。なかでも「Ys(イース)シリーズ」は、日本ファルコムを代表する作品として、1987年のリリース以降、多くのゲーマーの支持を得続けてきたのです。


ARPG(アクションRPG)「イースシリーズ」

イースシリーズ (Ys series) は、日本ファルコムが手掛けるアクションロールプレイングゲーム (ARPG) のシリーズ。
1987年の第1作『イース』より、25年以上に渡って続くファルコムの看板作品。

「ハイドライドシリーズ」と並ぶ80年代パソコンRPGの傑作であり、日本ファルコムにおいては「ザナドゥ」「ソーサリアン」「ドラゴンスレイヤー」などと並ぶ代表的な作品である。

冒険家アドル・クリスティンを主人公としたARPGシリーズ。ファルコムを代表するコンピューターゲームシリーズでもある。
当時マニア指向の強かった“RPG”をゲームの代表的ジャンルへと一気に飛躍させ、後のRPGブームの先駆けともなった。 
現代を舞台とした同社の関連作のAVG『アステカ』『アステカII 太陽の神殿』の陸地のずっと未来、1987年の第1作『イース』から始まり、2013年1月現在までに7つの本編と、1以前に当たる物語でアドルが主人公でない番外編となる『イース・オリジン』(以下『O』)の計8本のシナリオがゲーム化されている。またライセンス提供によって本作の世界観を利用した派生作品も他社から発売されている。
『I』・『II』・『III』はPC-8801およびPC-9801、『IV』はスーパーファミコン (SFC) とPCエンジン (PCE) SUPER CD-ROM2 、『V』は SFC 、『VI』・『O』は Microsoft Windows (Win) をオリジナルプラットフォームとしており、『VII』はPlayStation Portable (PSP) での発売。
また、1998年の『イースエターナル』(以下『IE』)を皮切りに、ファルコムの手によってリメイク版が開発されている。
原則としてオリジナルとパソコンへの移植はファルコムが開発・販売を手掛けているが、『IV』だけは、ファルコムが作成した原案を元にスーパーファミコン (SFC) 版をトンキンハウスが、PCエンジン (PCE) SUPER CD-ROM2版をハドソンが、それぞれ独自に開発・販売しており、オリジナルが他社製でしかも2種あるという特殊な状態となっている。
VIIを除く全ての作品が何らかの形で他のプラットフォームへと移植されており、特に初期の作品は非常に多くのプラットフォームで発売されており、その移植数の多さがこの作品の評価の高さを物語っている。

「イース」は日本ファルコムを代表するRPGシリーズ

本シリーズは番外編を除き「『千数百年前にアドルが綴った冒険日誌』を翻訳・小説化したもの」というメタフィクション設定になっている。このためシリーズを通してアドルが主人公であり、同一の世界設定を共有している。

【冒険日誌】
シリーズ本編はそれぞれ、アドルの冒険日誌を原典として翻訳・小説化されたものとされている。この冒険日誌は冒険を重ね50歳を過ぎたアドルが生家に戻って自身の体験を振り返って執筆したものであり、百余冊に及ぶその原典は千数百年を経た現代においても生家の地下室に保存されている設定となっている。

これらの架空の本にはゲームタイトルとは別に書名がつけられており、時代順に並べると

失われし古代王国(17歳)
序章 - 『I』
最終章 - 『II』
セルセタの樹海 - 『IV』(18歳)
フェルガナ冒険記 - 『III』(19歳)
砂の都ケフィン - 『V』(20歳)
翼の民を求めて - 『VI』(23歳)
アルタゴの五大竜 - 『VII』(23歳)
となっている。この中で『I』・『II』の原典である『失われし古代王国』はアドルの最初の冒険を綴った物とされている。

主人公アドルの冒険日誌が元となるメタフィクション設定

【イースⅠ】「イース Ancient Ys Vanished Omen」1987年6月21日発売(PC-8801mkIISR)

赤毛の剣士アドル・クリスティンが主人公の冒険ファンタジー。嵐に包まれた孤島エステリアを舞台に、『イースの本』を求めるアドル最初の冒険。
原典とされるアドルの冒険日誌は『Ancient Ys Vanished Omen』(失われし古代王国 序章)であり、販売タイトルには含まれてはいないがゲームの副題としてタイトル画面にも表記されている。
『Ancient Ys Vanished The Final Chapter』(失われし古代王国 最終章)である『II』とは前後編の関係で『I』をクリアしただけでは物語の全容は見えてこない。
「今、RPGは優しさの時代へ。」をキャッチコピーに、PC-8801 (PC-88) 向けをオリジナルとして1987年に発売。その後、パソコン・家庭用ゲーム機を問わず多くのプラットフォームへと移植がなされている。
1998年にはファルコム自らリメイクを行なった『イースエターナル 』を発売。以降の移植作品はこの『イースエターナル』をベースとして行なわれている。

「イース Ancient Ys Vanished Omen」

「イース」私はMSX2版でプレイしました。

発表当時のコンピュータRPG (RPG) が難しさを競っていた時代において、「今、RPGは優しさの時代へ。」をキャッチコピーとし、誰でもクリアできること(クリアする楽しみ)を売りとし発表された。

さらにクリアできることを売りとしながらも「優しいけれども易しくはない」と評される簡単には分からないが少し考えればわかる絶妙なゲームバランスを提示し、ゲームの楽しみが難しさだけではないこと、またゲームバランスという概念の重要さを知らしめ、その後のゲーム(特にRPG)に一つの大きな転機を与えたとして高く評価されている。

【発売機種】

PC-8801mkIISR以降(PC88)、X1
PC-9800シリーズ(PC98)
FM-7/77、FM77AV
MSX2、Apple II(A2)
PC/AT、X68000(X68K)
Microsoft Windows (Win)
ファミリーコンピュータ(FC)
セガ・マークIII/マスターシステム(SMS)
セガサターン(SS)
ニンテンドーDS

後に発売された「イースⅠ・Ⅱ完全版」

PCエンジン CD-ROM2 (PCE)
Wii・バーチャルコンソール (VC)
PS3/PSP・PCエンジンアーカイブス

「今、RPGは優しさの時代へ。」

【イースⅡ】「イースII Ancient Ys Vanished The Final Chapter」1988年4月22日(PC-8801mkIISR)

赤毛の剣士アドル・クリスティンが主人公の冒険ファンタジー。『I』のエンディングで飛ばされた天空のイースを舞台に、古代王国イースの謎に迫る。
原典とされるアドルの冒険日誌は『Ancient Ys Vanished The Final Chapter』(失われし古代王国 最終章)であり、販売タイトルに含まれてはいないものの副題としてタイトル画面で表示される。
『Ancient Ys Vanished Omen』(失われし古代王国 序章)である『I』とは前後編の関係で、『I』で張られた様々な伏線が解き明かされる。『I』をプレイしていることが前提となっているため、『II』だけをプレイしても物語の全容はわからない。
『I』の「今、RPGは優しさの時代へ。」を踏まえた「優しさから、感動へ。」をキャッチコピーに、PC-8801 (PC88) 向けをオリジナルとして1988年に発売。パソコン、家庭用ゲーム機を問わず多くのプラットフォームへと移植がなされている。
1998年にはファルコム自らリメイクを行なった『イースIIエターナル (IIE)』を発売。以降の移植作品はこの『IIE』をベースとして行なわれている。

「イースII Ancient Ys Vanished The Final Chapter」

前作の冒険で6冊全てのイースの本を集めたアドル・クリスティンは、その本の力によって遥か上空に浮かぶイースへと飛ばされた。ムーンドリアの廃墟へ落下し気を失っていたアドルはランスの村のリリアに見つけられ、村へと連れられていく。

リリアの母バノアよりリリアが重病にかかっていること、そしてその病気を治せる医者のフレアが行方不明であることを告げられる。フレアの弟の元に戻ってきた伝書鳩からフレアが廃坑の岩盤崩れによって閉じ込められていることを知る。そしてイースの本を持っていることを知った村長に廃坑に有る聖域に行ってみるように勧められる。

二つの目的を持ったアドルは廃坑の奥へと進んでいく……。前作で残された様々な謎が紐解かれ古代王国イースの全てが明らかになっていく。

【対応機種】

PC-8801mkIISR以降 (PC88)
PC-9800シリーズ (PC98)
X1turbo、FM77AV、MSX2
Microsoft Windows (Win)
ファミリーコンピュータ (FC)
セガサターン (SS)
ニンテンドーDS

「優しさから、感動へ。」

私はいまだに「イースⅡ」オープニングがこれまでのどのゲームよりも素晴らしいと感じます。

【イースⅢ】「WANDERERS FROM Ys」1989年7月21日(PC-8801mkIISR)

赤毛の剣士アドル・クリスティンが主人公の冒険ファンタジー。『I』・『II』におけるイースの冒険から3年ほど後の物語で、ドギの故郷フェルガナ地方において、この地に伝わる魔王ガルバランの謎に迫る。原典とされるアドルの冒険日誌は『フェルガナ冒険記』。前作までとは大きく異なり、アクション要素を前面に押し出した横スクロールARPGとなった。
発売当初の販売タイトルは『WANDERERS FROM Ys』(イースからの放浪者)と外伝的な物であり、なおかつ『Ys-III』の文字を含んでいない。これは本作が『I』・『II』の舞台である「古代王国イース」とは直接関係がなく、システムも大きく変わっているために続編というよりは外伝に近いことによる。ただし、『Ys-III』は副題としてオープニング中には表示されており、通称としてもよく使われていた。
その後、PCエンジン (PCE) CD-ROM2への移植の際に、メインタイトルを『イースIII』に変えられて以降は全ての移植作品で『イースIII』が主題となっており、機種によっては元々の主題『ワンダラーズフロムイース』を副題としている。なお、移植のベースが大きく二系統あるものの、同じ作品の委嘱作品であり、タイトルと内容との間に相関関係はない。
なお、2005年にファルコムよりWindows向けに販売された『イース -フェルガナの誓い- (F)』は、『VI』のシステムを使って『III』をリメイクした作品である。

「WANDERERS FROM Ys」

前作とは大きく変わり、サイドビューのアクションRPGとなり、移動・アイテム使用の他に、攻撃・ジャンプの操作が加わるなどアクション的要素が強くなった。

RPG的要素は前作までとほぼ同じではあるが、MPがなくなり、相当するステータスとしてRINGが加わった。サブ画面は『I』と同じくSTATUS画面、INVENTORY画面の2種類でそれぞれの表示にボタンがあてがわれている。

ステージ制となっており、何度でも同じステージを訪れる事は出来るが、条件を満たさなければ新たなステージに進む事は出来ない。新たなステージに進む条件を満たすとアラーム音のような効果音が鳴る。拠点となるレドモンドの街をでるとマップ画面が表示され、自分の訪れたいステージを選択する形となっている。どのステージでも外に出ると必ず街に戻され、ステージからステージへの移動は出来ない。

【対応機種】

PC-8801mkIISR以降 (PC88)
PC-9801VM/UV以降 (PC98)
MSX2、X68000 (X68K)
Microsoft Windows (Win)
PCエンジンCD-ROM² (PCE)
ファミリーコンピュータ (FC)
PS3/PSP・PCエンジンアーカイブス
スーパーファミコン (SFC)
メガドライブ (MD)
PlayStation 2 (PS2)

前作までとは大きく異なり、アクション要素を前面に押し出した横スクロールARPG

私はこの「YsⅢ」までプレイしました。

【イースⅣ】「イースIV MASK OF THE SUN」1993年11月19日(スーパーファミコン)

ファルコムの原案を元に、SFCへの移植版『イースIII -ワンダラーズフロムイース-』を開発・発売していたトンキンハウスによって開発・発売された『イースIV』オリジナル作品の1つ。
発売当時は『IV』開発の発端であるPCE版が『イースIV』の正史という扱いであったが、『イースVI ナピシュテムの匣』開発時に行われたシリーズ設定総括後の公式設定では、より原案に近い本作を正史としてPCE作をアナザーストーリーと位置づけている。

「イースIV MASK OF THE SUN」

基本的なシステムは『II』から引き継いでいる。シリーズ作品で初めて、毒によるステータス異常が採用された。

魔法は剣の属性に対応しており、装備している剣の種類によって使える物が変わる。なおこのシステムは完成度を高めた上で剣魔法として『VI』に応用されている。

魔法補強アイテム(宝石)を手に入れると剣に付随する魔法を強化できる。こちらはやはり完成度を高めた上で、腕輪の補強システムとして『フェルガナ』に応用されている。『I』『II』同様にレベル制限がなされている。

【対応機種】
 
スーパーファミコン (SFC)
Microsoft Windows (Win)

基本的なシステムは「YsⅡ」を踏襲+「毒」ステータスが採用

ここから先のイースシリーズ、私は未プレイです。

【イースⅣ】「イースIV The Dawn of Ys」1993年12月22日(PCエンジン SUPER CD-ROM2)

ファルコムの原案を元に、PCE版『イースI・II』・『イースIII』を開発・発売したハドソンが開発・発売した『イースIV』オリジナル作品の1つ。
『IV』開発の発端であり、ハドソンとファルコムが密に連絡を取り合って開発が進められた事から、発売当時はこちらが『イースIV』の正史という扱いであった。
しかし2003年(平成15年)に発売された『イースVI ナピシュテムの匣』開発時に行われたシリーズ設定総括後の公式設定では、SFC版を正史として本作をアナザーストーリーと位置づけている。
本作はPCE版『I・II』の続編として制作されているため、サラが生存している、フィーナとレアが再登場する、ダルク=ファクトの設定などといった、オリジナルの『I』・『II』の設定とは矛盾が見られる。

「イースIV The Dawn of Ys」

基本システムは『II』のシステムをほぼそのまま継承しているクォータービューのARPG。追加システムとしては伝書鳩と調合が上げられる。また斜め移動が可能となっている。

【対応機種】

PCエンジン SUPER CD-ROM2 (PCE)
PS3/PSP:PCエンジンアーカイブス

基本は「YsⅡ」の踏襲、斜め移動が可能に

こちらはPCエンジン版の「YsⅣ」。

【イースⅤ】「イースV 失われた砂の都ケフィン」1995年12月29日(スーパーファミコン)

赤毛の剣士アドル・クリスティンが主人公の冒険ファンタジー。アフロカ大陸に広がるケフィン砂漠を舞台に、『幻の都ケフィン』の謎に迫る冒険物語。原典とされるアドルの冒険日誌は『砂の都ケフィン』。
発売時期が次世代機とスーパーファミコン (SFC) の世代交代の時期にあたり、これ以降SFCでの新しいイースは販売しないことと、これまでに販売されていたSFC用のイースは、移植の『イースIII』とトンキンハウスが開発した『イースIV MASK OF THE SUN』(原案はファルコム)であり、SFCに向けファルコムが開発・販売を手掛けたオリジナル作は今作が最初であった事から『最後で最初のイース』というキャッチコピーで販売された。

「イースV 失われた砂の都ケフィン」

『システム一新』と言えるほど前作までとは打って変わっており、意欲的に新システムが導入されているものの、完成度が低い物が多く、批判を受ける事が多い。

クォータービューのARPGで、シリーズで初めて高さの概念を導入。基本アクションは移動、ジャンプ、攻撃(剣を振る)、防御(盾を構える)、魔法(後述)。フィールド上の敵を攻撃し倒す事により経験値 (EXP) を取得し、主人公のレベル (Lv) が上がることによって、ステータスが上昇する。

【対応機種】

スーパーファミコン (SFC)
Microsoft Windows (Win) 

イースV -Lost Kefin, Kingdom of Sand-

PlayStation 2 (PS2)

スーパーファミコン向け『最後で最初のイース』

【イースⅥ】「イースVI ナピシュテムの匣」2003年9月27日(Windows 98/Me/2000/XP)

赤毛の剣士アドル・クリスティンが主人公の冒険ファンタジー。
『V』より3年後、エレシア大陸の遥か西、「世界の果て」のカナンの大渦の中心に位置するカナン諸島を舞台に、『有翼人』の謎に迫る冒険物語。原典とされるアドルの冒険日誌 は『翼の民を求めて』。
前作『V』から8年振り、またPCゲーム市場では『III』以来14年振りの新作となり、「伝わる優しさ、広がる冒険心。」をキャッチコピーに2003年に発売された。

「イースVI ナピシュテムの匣」

久しぶりの新作ということで、発売後、週刊アスキーで売り上げ1位を4週連続で獲得する等、PCゲームとしては快心のヒット作となった。

前作『V』をベースとしながらこれまでのシステムを総括し、全く新しいシステムとなっている。クォータービューのARPGで、シリーズ初の3D作品。

操作はゲームパッド、キーボード、キーボードとマウスの併用に対応しており、それぞれに応じて操作方法が異なるが、本稿ではゲームパッドかキーボードを使用した際の操作を基本として述べる。

基本となる操作は移動、攻撃(決定・話す)、ジャンプ(キャンセル)、剣魔法、アイテム使用、剣の切り替えとなっており、これまでに無いアクション要素が強い作品となっている。

『イース』シリーズでは、最終戦までには最高レベルもしくはその付近までレベルが上がる様に、ゲームバランスが調製されているものがほとんどだが、本作では最終戦時においてもレベルの上限に対してかなりの余裕が設けられている。しかし、シリーズ伝統のレベル制限が存在するため、過度のレベル上げは非常に困難である。

【対応機種】

Windows (Win) 98/Me/2000/XP/Vista/7/8
PlayStation 2 (PS2)
PlayStation Portable (PSP)

「伝わる優しさ、広がる冒険心。」

【イースⅦ】「Ys SEVEN」2009年9月17日(PlayStation Portable)

第1弾となるPlayStation Portable(PSP)向けの『Ys SEVEN』(イース・セブン)を2009年9月に発売し、2010年度以降にマルチプラットフォームで各プラットフォーム毎にオリジナルの作品をファルコム自らが発表する予定。ただしPSP以外については詳しい発売時期やどのプラットフォームで発売するのかも明らかにされていない。
他のナンバリングタイトル同様に、赤毛の冒険家アドル=クリスティンを主人公とした冒険ファンタジーであり、アフロカ大陸のアルタゴ公国を舞台に「アルタゴの五大竜」の謎に迫る。
原典とされるアドルの冒険日誌「アルタゴの五大竜」は『I』のマニュアルに記載されながらも長年ゲーム化されていなかったものであり、登場より22年を経てゲーム化されることとなった。『イースVI -ナピシュテムの匣-』の直接的な続編であり、時代は『VI』のおよそ半年後、アドルの年齢も『VI』と同じ23歳に設定されている。
2010年7月8日にPSP版が『RPGFan Feature-E3 2010 Awards』を獲得。

「Ys SEVEN」

『イースVII』の第1弾としてPlayStation Portable(PSP)向けに2009年9月に発表される。同日にはオリジナルドラマCDを同梱した「限定ドラマCD同梱版」も発売される。ファルコムにとって初となるPSP向けオリジナル作品であり、1995年の『イースV -失われた砂の都ケフィン-』以来、およそ14年振りとなるゲーム機向けのオリジナル作品。

プラットフォームをPSPとした理由についてファルコムの社長である近藤季洋は、PSPでの〈イース〉発売を望む声があったこと、今後ファルコムが家庭用ゲーム機にも本気で取り込んで行くことのアピールとして看板作品である〈イース〉最新作のインパクトを狙ったことを述べている。

『VI』から『イース・オリジン』まで用いられていたシステムを用いず、本作ではキャラクターも3D表示されるようになった。

基本的にはクォータービューではあるが、マップ移動中にカメラアングルが適宜移動するようになっている。反面、プレイヤーがカメラを操作することはできない。

本作ではジャンプが出来ないが、代わりに回避コマンドが用意されている。使用に制約は無い。

【対応機種】

PlayStation Portable(PSP)
Microsoft Windows(PC)

日本ファルコムがPSP向けに提供を決めた初のオリジナル作品

PSP版でリリースされたイースシリーズのオープニング集です。

「イースシリーズ」開発の歴史

〈ドラスレシリーズ〉のゲームデザイナーである木屋善夫の下で厳しいスケジュールと要求に参っていた(1987年2月25日から3月4日まで、南国ハワイにて日本ファルコム主催のシンポジウムが開かれていた)グラフィッカーの山根ともおが、ディレクション・ゲームデザイン・メインプログラム担当の橋本昌哉とシナリオ担当の宮崎友好の2人に合流して『イース』の開発が始まる。
当初の企画内容は『I』と『II』の両方を含むものであったがディスクが予定枚数に収まらないことと、スケジュール的に間に合わないことから、急遽最終面としてダームの塔を付け加えて発売されることとなり、それゆえに最終面のダームの塔はレベルアップの要素が全くなく、単なるアクションゲームとして出来上がっている。

「ドラゴンスレイヤー」シリーズ

なお『I』が作られた当時、日本ファルコムでは『ザナドゥ』がメイン商品であり、この制作者である木屋がスタープログラマー・ゲームデザイナーであって、橋本と宮崎は決してメインとは言える状況にはなかった。
この為、「後の伝説はともかく『I』が売れなければ『II』は作られなかっただろう。」との旨を当時のスタッフが語っている。しかし当時の夏休み商戦に向けて発売された事が当たり、完成度の高さと絶対的な信頼と人気を誇っていたファルコムのブランドから発売されたことがあいまって大ヒットし、後編部分にあたる『II』の制作が決定する。
だが『II』の開発終了直前には、主要スタッフとファルコムの亀裂はきわめて大きくなっており、『II』のマップデザインやキャラクタデザイン、さらにマニュアルイラストレーションなどを担当していた都築和彦の離脱を皮切りとして、音楽担当の古代祐三や、妹でキャラクター・モンスターデザイン担当の古代彩乃などスタッフは次々とファルコムを離脱していくこととなる。

「ザナドゥ」シリーズ

『II』を完成した橋本・宮崎は『イース』ではないつもりで『III』を企画するがシリーズの続投を決めたファルコムは『イースIII』へと内容の変更を要求する。これが一因となってか橋本・宮崎に加え倉田佳彦の3人が『III』完成直後にファルコムを離脱。
さらにグラフィックスの中心であった山根は『スタートレーダー』完成直後にファルコムを離脱し、以降のファルコムに残るオリジナルスタッフは大浦孝浩と桶谷正剛、音楽担当の石川三恵子(現・ファルコム取締役)のみとなった。
この山根・橋本・宮崎の3人が離脱する前後に開発が決定したのがPCエンジン版の『I・II』である。山根はPCエンジン版の開発を当時の『マル勝PCエンジン』のライター(小峰徳司)から聞きこんで『I・II』の開発に加わり、世界設定の説明・助言やグラフィックの作成、タイトル・オープニング・インターミッション・エンディングの絵コンテを行っているが、ファルコムとの関わりからスタッフロールにはペンネームの天城秀行の名前で記載されている。
PCE版『イースI・II』・『イースIII』を開発・販売したハドソンが『I・II』の続編開発をファルコムに求めた事から『IV』の開発が始まる。しかし当時のファルコムは『風の伝説ザナドゥ』の開発が始まり『イース』を開発する余裕がなかったため、ファルコムは原案シナリオと音楽だけを制作し、そのシナリオを元にハドソンがPCエンジンSUPER CD ROM2版をリリースすることとなる。
その後、『トンキンハウス』がスーパーファミコン版、ファルコムとセガの合弁会社である『セガ・ファルコム』がメガCD版をそれぞれ開発する体制が取られる。このためファルコム自身が開発した『IV』はなく、オリジナル作品はPCエンジン向けのハドソン製『イースIV The Dawn of Ys』と、スーパーファミコン用のトンキンハウス製『イースIV MASK OF THE SUN』の2作品となった。

感動的だった「イースⅡ」オープニング

『V』でファルコムの開発に戻り、自社参入したスーパーファミコンで発売するが不振に終わる。
『英雄伝説III 白き魔女』から始まった自社作品のMicrosoft Windows向けリメイク路線の中、『I』・『II』のリメイク『イースエターナル (IE) 』・『イースIIエターナル (IIE) 』が大成功を収める。
2003年に『V』以来8年振りとなる新作『VI』が開発される。過去シリーズの総括のため、過去の設定の再定義を含める形で世界設定にも大きく手が加えられており、以降の作品では『VI』での設定をベースとしている。また3Dの採用等とシステムも全面的に変更されており、続く『イース -フェルガナの誓い-』(以下『F』)と『O』は『VI』のシステムをベースとしている。
『III』のリメイクである『F』・イース王国の過去を描きアドルが登場しない番外編『O』とナンバリングタイトルは発売されずにいたが、2009年に『VI』以来6年振りとなるナンバリングタイトル『Ys SEVEN』をPSP向けに発売。
『VII』は同作を第1弾として、マルチプラットフォームで各プラットフォーム毎にオリジナルの作品をファルコム自らが発表する予定。また『SEVEN』に先立ち、『I完全版』『II完全版』をベースとしたリメイク作『イースI&IIクロニクルズ』をPSP向けに発売。同作は家庭用ゲーム機向けとしてはイースシリーズで初めてファルコム自らが移植を行なう作品となった。

『英雄伝説III 白き魔女』から始まった自社作品のMicrosoft Windows向けリメイク路線、『I』・『II』のリメイク『イースエターナル (IE) 』・『イースIIエターナル (IIE) 』が大成功

開発陣を取り巻く紆余曲折を経ながらも、1987年から30年近くも支持され続けている「イースシリーズ」。

これからも期待したい作品です。

美麗なファルコムサウンドをAWAにまとめました

”'70'80'90Best Vol.4 日本ファルコムRPG!テンション上がるBGM” by ミドルエッジ on AWA

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