Patti Smith, ‘Horses’
ロバート・メイプルソープらしい色調のポートレート、最高のアルバムジャケットで、第6位の名に恥じない出来栄えです。
パティ・スミスによるとロバート・メイプルソープは12回ほどシャッターをきって8回目くらいに「これだ」と言ったのだとか。
パティ・スミスが「どうしてわかるの?」と問うと、ロバート・メイプルソープは「ただわかるんだ」と答えたという。
今と違ってフィルムカメラの時代ですからねぇ。天才というものには分かるんでしょうけど、凡人としては神がかっていると思うだけです。
レコードの重役たちは、モノクロ写真のジャケットが当時の女性シンガーたちとは違いすぎるということで、アートワークを変えようとしたのだそうです。しかし、パティ・スミスが押し切ったことでロバート・メイプルソープが世に出るきっかけを作り、結果としてこの名盤に花を添えることになったというわけです。
5位 The Notorious B.I.G., ‘Ready to Die’ 1994
アメリカのヒップホップ・ミュージシャン、ノトーリアス・B.I.G.のファースト・アルバム「レディ・トゥ・ダイ」が第5位です。
ヒップホップが好きな方であれば言わずもがなの大名盤。2020年版の「ローリング・ストーン誌が選んだオールタイム・ベスト・アルバム500」では堂々の22位となっています。まさしく歴史的名盤といって良いでしょう。
The Notorious B.I.G., ‘Ready to Die’
で、アルバムジャケットですが、シンプルなデザインが実に印象的。デザインを担当したのは伝説的なヒップホップ・グラフィックデザイナー、セイ・アダムスです。
セイ・アダムス曰く「このタイトルはとても不条理なものだったので、こんな巨大なブロック文字を使う必要はなかった」。
更には「とても繊細なものにしようと思った」とも語っています。
これらの発言の真意は分かりませんが、実際のデザインとは逆の考えを持っていたことが興味深いですね。
因みにモデルはブロンクスの子供で、モデル・エージェンシーから選ばれたのだそうですよ。
4位 Pink Floyd, ‘The Dark Side of the Moon’ 1973
イギリスにヒプノシスという1968年から1983年まで活動したデザイン・アートグループがありました。
70年代にはレッド・ツェッペリン、T・レックス、ウイングス、AC/DC、ウィッシュボーン・アッシュ、エマーソン・レイク・アンド・パーマー、ジェネシスなどなど本当に多くのミュージシャンたちのアルバムジャケットをデザインして世界中から称賛されました。
中でもピンクフロイドのほとんどのアルバムジャケットをデザインした事は有名で、どれも素晴らしい出来栄えです。
今回のランキングでは彼らの9枚目のアルバム「狂気」が第4位に選ばれています。
Pink Floyd, ‘The Dark Side of the Moon’
リチャード・ライト(Vo/Key)は、ヒプノシスに「本当にスタイリッシュで、特異なイメージ、チョコレートの箱のようなもの」を望んでいたと語っています。
で、ヒプノシスからの最初の提案はマーベルのシルバー・サーファーだったそうです。
ピンク・フロイドはその案を直ちに却下。これはもうナイス判断だったといえますが、シルバー・サーファーのジャケットも見てみたいなと思いますね。
その後、ヒプノシスのオーブリー・パウエルが、ガラスのペーパーウェイトが部屋中に虹を広げている画像を見つけ、このイメージを発展させて70年代を代表する魅力的なイメージを作り上げたというわけです。
3位 Sly and the Family Stone, ‘There’s a Riot Goin’ On’ 1971
もしかするとスライ&ザ・ファミリー・ストーンも日本人には馴染みが薄いバンドかもしれませんね。60年代の後半から70年代前半にかけてヒット曲を連発したグループです。当時は日本でも人気があったんですけどね。
ヒット曲を連発しただけではなく、音楽界に革命を起こしたバンドです。まぁ、とにかく偉大です。
そんな彼らが1971年にリリースした6枚目のアルバム「暴動」が第3位です。
Sly and the Family Stone, ‘There’s a Riot Goin’ On’
星のかわりに太陽を配した赤・白・黒からなる星条旗にアーティスト名もアルバムタイトルも記載されていないという印象的なアルバムジャケット。
バンドの中心人物であるスライ・ストーン(Vo/G/Key)は、あらゆる人々を象徴するものであってほしいとの思いからジャケットにアメリカ国旗を用いたそうです。
「黒は色のない色だから。白はすべての色の組み合わせだから。そして赤は、すべての人に共通する血というものを表している」ということで様々な人種を象徴しているというわけなんですね。
写真を撮ったのはファミリー・ストーンのA&Rディレクターのスティーヴ・ペリーです。本作「暴動」は、今日ではロック史において最も優れ、最も誠実な作品の一つとして認められています。
2位 The Beatles, ‘Abbey Road’ 1969
世界でもっとも有名なバンド、ザ・ビートルズ。彼らのアルバムはどれも名盤で、どのアルバムジャケットもよく知られていると思いますが、そんな中「アビー・ロード」が第2位です。
よく知られたジャケットですが、撮影したのはイアン・マクミランで、1969年8月8日午前11時35分頃に10分間で6枚(3往復分)撮影されたそうです。僅か6枚。採用された写真は5枚目ということですが、僅か6枚でよくぞこれほど完璧な写真が撮れたものですよねぇ。
そして、さすがビートルズだなぁと思うのは、こんな細かい記録が残ってるということに驚かされます。
The Beatles, ‘Abbey Road’
レコーディング・スタジオの目の前の通りをただ歩いているだけという、何ともシンプルなジャケットですが、実は楽しい仕掛けが施されているんです。
このアルバムがリリースされた際にポール・マッカートニー(Vo/B)の死亡説が出たんです。
ジャケット写真において、右から順に白いスーツのジョンは「牧師」、黒いスーツのリンゴは「葬儀屋」、裸足のポールは「死人」で、デニム姿のジョージが「墓堀人」というわけです。偶然かもしれませんが、ポールは1人だけ目をつぶるという細かい演技もしています。
更には左側に停まっている白いフォルクスワーゲンのナンバープレートが「28IF」となっており、それは「もし(IF)ポールが生きていれば28歳だった」ということを表しているというわけです。
写真のフォルクスワーゲン・タイプ1の愛称はビートルですしね。よく出来てますよねぇ。
今やというか、今でもアビイ・ロードは多くのファンが訪れイギリスで最も有名な通りとして、観光地になっています。
1位 Joy Division, ‘Unknown Pleasures’ 1979
さぁ、いよいよ第1位です。
ジョイ・ディヴィジョンのデビュー・アルバム「アンノウン・プレジャーズ」が栄えあるローリング・ストーン誌が発表した「史上最高のアルバムジャケット100」の第1位に選ばれました!
ジョイ・ディヴィジョンもまた日本では知る人ぞ知る存在だと思いますが、ところがどっこい、このデビュー・アルバムに限っては、聴いた事はなくともアルバムジャケットは知っているという方は少なくないのではないでしょうか?
ユニクロのTシャツになっていたりもして、結構いろんなところで見かけます。まぁ、それほど素晴らしいデザインという事ですね。