丸山桂里奈  日本サッカー史上、男子を含めて唯一のワールドカップ優勝。ドイツ戦の決勝ゴールを決めたとき思ったのは「気持ちワル!」

丸山桂里奈 日本サッカー史上、男子を含めて唯一のワールドカップ優勝。ドイツ戦の決勝ゴールを決めたとき思ったのは「気持ちワル!」

東日本大震災が起こった年、「サッカーで日本に元気を送りたい」という思いでドイツワールドカップに乗り込み、絶対に勝てないといわれたドイツ戦で決勝ゴールを決め、男子を含めて日本サッカー史上初のワールドカップ優勝。


佐々木則夫監督は4番目にDFの熊谷紗希を指名したとき
「背番号が4だから」
とオヤジギャグを繰り出したが、苦笑され、PKでいえば失敗。
それでも笑顔で
「楽しんでこい」
といって選手を送り出した。
コイントスでアメリカが先攻となり、GKの海堀あゆみは
「2失点した自分の張りどころはここだ」
と気合を入れた。
このワールドカップには3人のゴールキーパーが代表メンバーに選ばれていたが、試合に出たのは最も若く最も試合経験が少ない海堀あゆみだった。
キーパーは大会途中で交代になる可能性が最も低いポジション。
それでも2人の先輩キーパーは腐ることなく、海堀をサポートし、練習やミーティングでも熱心にアドバイスを与えた。
アメリカは準々決勝のブラジル戦でPK戦を行っていて、海堀あゆみは、そのときのキッカーのコースを教えられた。

アメリカの1人目、ボックスの中央寄りのシュートを海堀あゆみは裏をかかれながらも右足で弾き出した。
なでしこジャパンの1人目、宮間あやは遠藤保仁ばりの落ち着きで決めた。
アメリカの2人目、ロイドのボールは枠外。
永里優季もキーパーに止められた。
アメリカの3人目、ヒースが左側を狙ったボールを海堀が阻止。
アメリカが3人連続で外すのをみて、丸山桂里奈は
「ノリさんマジック!」
と思った。
なでしこの3人目、ポーカーフェイスな関西人、阪口夢穂は、しっかりと決めた。
アメリカの4人目、ワンバックは成功。
なでしこジャパンは、次が決まれば勝ち。
仲間が祈る中、
「狙いを読まれたくない」
と1度夜空を見上げた後、熊谷紗希が放ったシュートはゴールの左上に突き刺さった。

試合後、勝利の喜びを噛み締めながらもなでしこたちが手にしたのは、国旗より先に
「To Our Friends Around the World
Thank You for Your Support」
と震災後の日本を支援してくれた世界へ向けてのメッセージを書いた横断幕。
優勝セレモニーの後に、サポーター席に駆け寄った選手たちの第一声もやはり
「ありがとう」
だった。  
多くの人が
「無理」
「できない」
と思う中、世界ランキング1位のアメリカを倒し、日本サッカー史上、男女を通じて初のワールドカップ優勝。
試合は日本の地上波でも放映され、早朝にもかかわらず21.8%という高視聴率を記録。
イギリスのザ・タイムズ紙が、
「鉄の意志のチーム」
ニューヨークタイムズ紙が、
「復興への希望の上に築かれた勝利、大震災で打撃を受けた国を盛り上げた」
と書くなど世界からも賞賛された。
アメリカ戦から2日後、なでしこは帰国。
成田空港で乗っている飛行機が放水アーチを受け、入国ゲートには、これまで目にしたことのない数のファンに歓迎された。
以後、なでしこフィーバーが巻き起こり、様々なメディアから取材を受けて出演。
8月に国民栄誉賞、11月に紫綬褒章が贈られた。
決勝の澤穂希の同点ゴールと共に丸山桂里奈のドイツ戦の決勝ゴールはハイライトとして取り上げられた。
丸山桂里奈は、そのキャラクターも相まってお茶の間の人気者に。
「日本の男子選手は、もしワールドカップで優勝したら1人5000万円ほどもらえるらしいですが、私たちは出身自治体などからいただくものも合わせて1人800万円ほどでしたね。
やっぱり格差があるなと感じたけれど、それでもこれまでの生活を考えるとありがたかった」
というが、ロンドンオリンピックのアジア最終予選が迫っていた。

関連する投稿


「ロベルト本郷のブラジルフェス」が開催!高橋陽一が「キャプテン翼」ロベルト本郷の“現役ブラジル代表時代”を初描き下ろし!

「ロベルト本郷のブラジルフェス」が開催!高橋陽一が「キャプテン翼」ロベルト本郷の“現役ブラジル代表時代”を初描き下ろし!

『キャプテン翼』の原作者であり、南葛SCのオーナーである高橋陽一が、作中でも屈指の人気キャラクターであるロベルト本郷の「ブラジル代表時代の姿」を初めて描き下ろしました。


スマホゲーム『キャプテン翼~たたかえドリームチーム~』で、Jリーグ参入を目指す「南葛SC」応援キャンペーンが開催!!

スマホゲーム『キャプテン翼~たたかえドリームチーム~』で、Jリーグ参入を目指す「南葛SC」応援キャンペーンが開催!!

KLab株式会社が、『キャプテン翼』の原作者である高橋陽一先生が代表を務めるサッカークラブ「南葛SC」のスポンサー契約を2025年シーズンも継続して締結しました。


深夜バラエティ番組ワンダフルの「ワンギャル」2期生の『尾上康代』現在は〇〇!!

深夜バラエティ番組ワンダフルの「ワンギャル」2期生の『尾上康代』現在は〇〇!!

1998年から深夜バラエティ番組「ワンダフル」のワンギャル2期生として活躍していた尾上康代さん。引退した現在は〇〇を開設されたと言います。


【9月生まれの有名人】生年月日が全く同じ!同じ日に生まれた意外な美女と・・・!?

【9月生まれの有名人】生年月日が全く同じ!同じ日に生まれた意外な美女と・・・!?

メディアでは報じられることの少ない有名人の生年月日。実は、同じ生年月日の有名人は数多くいるものの、巷ではあまり知られていないの実情です。今回は、1950年代〜1980年代の9月生まれの有名人を対象に、生年月日が全く同じ有名人の組み合わせをご紹介します。


【訃報】元サッカー選手、サルヴァトーレ・スキラッチさんが死去。イタリアW杯、ジュビロ磐田などで活躍

【訃報】元サッカー選手、サルヴァトーレ・スキラッチさんが死去。イタリアW杯、ジュビロ磐田などで活躍

「トト」の愛称で親しまれ、1990年のイタリアワールドカップなどで活躍した元サッカー選手、サルヴァトーレ・スキラッチさんが18日、結腸癌のためイタリア・パレルモの病院で亡くなっていたことが明らかとなりました。59歳でした。


最新の投稿


プロレス界の歴史が動く今こそ読むべき一冊! 『ようこそ、プロレスの世界へ 棚橋弘至のプロレス観戦入門』2025年12月18日(木)発売!

プロレス界の歴史が動く今こそ読むべき一冊! 『ようこそ、プロレスの世界へ 棚橋弘至のプロレス観戦入門』2025年12月18日(木)発売!

新日本プロレスの“100年に一人の逸材”棚橋弘至氏による著書『ようこそ、プロレスの世界へ 棚橋弘至のプロレス観戦入門』が2025年12月18日にKADOKAWAより発売されます。引退が迫る棚橋氏が、26年の現役生活で培った視点から、プロレスの魅力、技の奥義、名勝負の裏側を徹底解説。ビギナーの素朴な疑問にも明快に答え、プロレス観戦をさらに面白くする「令和の観戦バイブル」です。


ウルトラふろく200点以上を一挙収録!『学年誌 ウルトラふろく大全』発売

ウルトラふろく200点以上を一挙収録!『学年誌 ウルトラふろく大全』発売

小学館クリエイティブは、ウルトラマンシリーズ60周年、『小学一年生』100周年の節目に『学年誌 ウルトラふろく大全』を11月28日に発売しました。『ウルトラQ』から『ウルトラマン80』までの学年誌・幼児誌のウルトラふろく200点以上を網羅的に掲載。組み立て済み写真や当時の記事も収録し、ふろく全盛時代の熱気を再現します。特典として、1970年の人気ふろく「ウルトラかいじゅう大パノラマ」を復刻し同梱。


伝説のプロレス団体 UWF40周年記念イベント“無限大記念日”開催!

伝説のプロレス団体 UWF40周年記念イベント“無限大記念日”開催!

伝説のプロレス団体『UWF(ユニバーサル・レスリング・フェデレーション)』が、設立40周年を記念し、特別イベント「無限大記念日」を書泉ブックタワー(東京・秋葉原)にて開催します(2025年12月24日~2026年1月12日)。第1次UWFの貴重な試合映像や控室、オフショットなど、4,000枚以上のアーカイブから厳選された写真が展示されます。復刻グッズや開催記念商品も販売され、当時の熱狂が蘇ります。


グラニフ×『幽☆遊☆白書』初コラボ実現!幽助、蔵馬、飛影など全21アイテム登場

グラニフ×『幽☆遊☆白書』初コラボ実現!幽助、蔵馬、飛影など全21アイテム登場

株式会社グラニフは、TVアニメ『幽☆遊☆白書』との初コラボレーションアイテム全21種類を、2025年12月2日(火)より国内店舗および公式オンラインストアで販売開始します。主人公の浦飯幽助をはじめ、桑原、蔵馬、飛影のメインキャラクターに加え、戸愚呂、コエンマなど欠かせないキャラクターをデザイン。11月26日より先行予約も開始され、ファン必見のラインナップです。


全長20cmの迫力!1/18スケール『国産名車コレクション』創刊

全長20cmの迫力!1/18スケール『国産名車コレクション』創刊

アシェット・コレクションズ・ジャパンは、隔週刊『1/18 エクストラスケール 国産名車コレクション』を2026年1月7日に創刊します。全長約20cm、1/18スケールのダイキャスト製で、日本の自動車史を彩る名車を精巧に再現。ボディラインやエンジンルーム、インパネなどの細部ディテールにこだわった「エクストラ」なコレクション体験を提供し、マガジンでは名車の開発秘話や技術を深掘りします。