【池田親興】阪神の21年ぶりの優勝に貢献したエース!ダイエーでは抑えの切り札!

【池田親興】阪神の21年ぶりの優勝に貢献したエース!ダイエーでは抑えの切り札!

阪神が21年ぶりの優勝を遂げた1985年、開幕投手を務め、先発投手の一番手だったのが池田親興投手。シーズン9勝、防御率も4.45ながら、日本シリーズ第1戦では西武相手に完封勝利を収めた当時のエースです。ダイエーに移籍してからは、抑えの切り札としても活躍しました。そんな池田投手の活躍を振り返ります。


ドラフト2位で阪神に入団

池田親興は、1959年生まれの宮崎県宮崎市出身。宮崎県立高鍋高校から法政大学に進学し、日産自動車で社会人野球を経験した後、1983年にドラフト2位指名で阪神タイガースに入団します。この年奇しくも、ドラフト1位が中西清起ドラフト3位が仲田幸司で、いずれも阪神を代表する投手になりました。因みに、池田は、高校卒業時に阪神からドラフト4位指名を受けていましたが、進学を理由に辞退しています。



以下は、そのドラフト1・2・3位指名の3人の対談動画です。

新人王を逃した敬遠合戦!?

一年目の1984年、池田は、開幕一軍入りを果たし、4月6日の巨人との開幕戦に中継ぎで登板します。4月10日の大洋戦では1イニングを無失点に抑えると、4月12日の大洋戦ではなんと先発に起用。池田は期待に応え、8回1/3を3失点に抑える好投で、見事、初先発で初勝利を収めました。その後は、先発ローテーションの一角を担い、この年は20試合に先発。9勝8敗 防御率3.90と新人王級の成績を残し、1年目を終えています。



新人王といえば、この年のシーズン最終試合となった中日戦。ホームラン王争いで阪神・掛布と中日・宇野が37本ずつトップタイで並んでおり、互いに敬遠合戦の試合になりました。実は、この日先発登板したのが池田。池田は宇野の全打席を四球にするも、勝ち投手の権利を持ったまま降板します。しかし、後続が打たれ10勝目は夢に。。。もし、池田が10勝目を記録していれば、新人王に選ばれていたかもしれません。(新人王は、広島の小早川毅彦。)

21年ぶりのリーグ優勝に貢献

1985年は、池田にとって最高の一年となります。



この年から就任した吉田義男監督は、2年目の池田を開幕投手に起用。4月13日広島戦は勝ち星こそ挙げられなかったものの、なんとチーム初打点が池田のタイムリーヒットでした。この年の池田は打撃が好調で、成績はなんと野手顔負けの 48打数 12安打 打率.250。当時の猛虎打線は、投手までもが寄与していたようです。



投手としての初勝利は、4月23日ヤクルト戦。8回2/3を無失点に抑える好投で、見事1985年の初勝利を収めます。前半戦の成績は今ひとつでしたが、優勝争いが佳境を迎えた9月には本領を発揮し、3勝1敗。特に、9月27日巨人戦は1失点完投勝利で、4連敗していた巨人からの価値ある1勝でした。その後は、シーズン終了まで巨人に一度も負けていません。



池田は前年に続いて、この年も9勝を挙げ、21年ぶりのリーグ優勝に貢献。最終成績は、23試合に先発し、9勝6敗 防御率4.45でした。



当時の阪神の台所事情は、安定感のある先発投手が少なく、規定回数に到達したのは、池田とゲイルの二人だけ。しかも、ゲイルは13勝、中田は12勝、池田は9勝していますが、いずれも防御率は4点台です。一方、リリーフの中西が11勝、福間が8勝も挙げています。先発が打たれても、打線の爆発で勝っていたことを示唆するような興味深い数字です。

日本シリーズで西武を完封&日本一

日本シリーズの相手は、当時安定した強さを誇っていた、広岡達朗監督率いる西武ライオンズ。戦前の予想も、西武が有利という声が多くありました。その第1戦の先発を任されたのが池田。相手投手は、14勝を挙げていた松沼兄です。



試合は意外にも投手戦となり、両チームなかなか得点が入りません。両投手とも要所要所を締める好投で、7回まで0対0のまま試合が進みます。試合が動いたのは8回表、阪神の攻撃。真弓、弘田が連続ヒットで出塁すると、バースが代わったばかりの工藤から値千金の3ランホームラン。ついに均衡が破れます。



池田は、その後も西武打線を抑え、なんと6安打完封勝利。ペナントレースでもたった一度しかなかった完封を、日本シリーズ初戦という大一番でやってのけました。



この初戦の勝利が大きく、日本シリーズは阪神が4勝2敗で初の日本一となりました。

ダイエーでは抑えの切り札に

翌1986年も開幕投手に起用されますが、その4月4日大洋戦は3回4失点KO。その後、5月27日巨人戦で踵を骨折し、シーズンを棒に振ります。翌年以降は、チームの凋落とともに成績不振となり、毎年負け越しを記録。1991年、4対5の大型トレードで、大野久らとともに福岡ダイエーホークスに移籍しました。



ダイエーでは、当初は先発として起用され、4月18日ロッテ戦では完投で伊良部に投げ勝つなど活躍を見せますが、チーム事情から抑えに転向します。これが大成功。初セーブは5月22日ダイエー戦で、点差のついた7回裏から3イニングを投げて達成しました(点差に関係なく3イニング以上投げたことで記録)。最終成績は、6勝4敗13セーブ。翌1992年8勝4敗14セーブで、2年連続で二桁セーブを記録し、チームの躍進に貢献しています。



1993年、監督が田淵幸一から根本陸夫に代わると登板機会が減り、その後1995年にヤクルトスワローズに移籍。その年引退しました。



短い期間ながらも、阪神、ダイエーで華々しい活躍を見せた池田。通算成績は、53勝69敗30セーブ 防御率4.58ながら、残した数字以上にファンの記憶に残る名投手でしょう。

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