森廉 with 実母(第1話、歳末SP)
『踊る大捜査線』に登場した子役として、あまりにも印象的だったのが森廉くん。第1話では、ゲームセンターでゲーム機を破壊してお金を奪おうとする生意気な小学生を演じました。通報により、青島俊作(演:織田裕二)と恩田すみれ(演:深津絵里)が駆けつけますが、反省する様子は全くなし。刑事になりたての青島をからかい、湾岸署では懲りずにボールペンを盗もうとします。迎えに来た母親に頭を突かれますが、この母親を演じたのが森幸子で、実は、廉くんの実のお母さんでした。
廉くんは、歳末特別警戒スペシャルでも、ピーポくんの着ぐるみを着た青島をからかい、大人気ない青島と喧嘩になります。『踊る大捜査線 THE MOVIE3 ヤツらを解放せよ!』では、なんと成人した廉くんが登場。しかし、青島は気づかなかったようです。
渋川清彦(第4話)
渋川清彦は、当時の芸名はKEEで第4話に登場。青島が張り込んでいたクラブで、女性に暴力を振るう男を演じました。登場シーンはわずかで、セリフもほとんどありません。青島は、室井管理官(演:柳葉敏郎)から捜査一課に呼ばれ、別の被疑者を追って張り込み中でしたが、この暴力男を確保したことで、被疑者を逃走させてしまいます。その恨みからか、暴力男は、後でたっぷりと青島に絞られました。
渋川はその後、数多くの映画、テレビドラマに出演。2021年には、自身の代表作の一つ、映画『偶然と想像』が第71回ベルリン国際映画祭銀熊賞を受賞しました。
永堀剛敏(第8話)
永堀剛敏は、『北の国から』シリーズのチンタ役でおなじみの俳優で、本ドラマでは第8話に登場。科学捜査研究所プロファイリングチームの一人を演じました。
人と直接会話をするのが苦手な性格で、デジタルカメラを通じてコミュニケーションをとるオタク風のキャラクターです。和久平八郎(演:いかりや長介)のことを「天然記念物」と呼び、周りからヒンシュクを買います。最後には、取り調べをしていた被疑者にノートパソコンで殴られ、生身の人間に不慣れな一面を露呈しました。
マキシ・プリースト(第10話、第11話)
主演の織田裕二が歌った主題歌『Love Somebody』の作詞とコーラスを手がけ、ドラマにもカメオ出演したのがイギリスのレゲエ・シンガー、マキシ・プリーストです。第10話、第11話に登場し、非合法カジノのディーラー、マイケルを演じました。
オーナー(演:真木蔵人)との会話の中で、警官殺しの犯人の可能性があるトシという男について説明する役柄で、セリフはすべて英語。エンディング・クレジットでは、「Special thanks to MAXI PRIEST」と表記されました。
古田新太(歳末SP)
古田新太は、歳末特別警戒スペシャルに登場。現金輸送車強奪事件の犯人を演じました。杉並北署に異動していた青島が湾岸署に復帰し、ちょうど遭遇したのがこの現金輸送車強奪事件でした。
犯人は人質をとって逃走を試みますが、久しぶりに再会した青島と和久が、一般人のふりをして犯人に接近。息の合ったコンビネーションで、見事、犯人を確保しました。
当時の古田はまださほど知名度はありませんでしたが、その後、2000年代に入ると、数多くの映画、テレビドラマに出演。現在の活躍ぶりは周知の通りです。
高橋克実(歳末SP)
高橋克実は、まだ知名度の低かったブレイク前に、歳末特別警戒スペシャルに登場。当時、警察庁警備局にいた室井の部下、内田晋三を演じました。冒頭で、オーストリア大統領夫人の警護に当たるシーンや、室井の指示で当時杉並北署にいた青島を迎えに行くシーンで登場しています。
高橋は、翌年『ショムニ』でブレイク。バラエティ番組『トリビアの泉』では司会を務め、タレント業にも活躍の場を広げていきます。2007年には、その『トリビアの泉』の特番内で放送された、スピンオフドラマ『警護官 内田晋三』で主人公を演じました。
高杉亘(歳末SP)
高杉亘は、名バイプレイヤーとしてこれまで数多くのドラマに出演。1980年代には、『毎度おさわがせします』の第2シリーズに大学生役で出演したこともあります。
本ドラマでは、歳末特別警戒スペシャルに登場。SATの草壁隊長を演じました。人気ドラマでインパクトの強い役を演じたことで、一気に知名度を獲得。その後、同じSATの隊長として、『踊る大捜査線 THE MOVIE 2 レインボーブリッジを封鎖せよ!』、『交渉人 真下正義』など映画にも出演しています。
宮藤官九郎(秋SP)
宮藤官九郎は、秋の犯罪撲滅スペシャルに登場。放火殺人未遂事件の実行犯、柏田郁夫を演じました。計画犯は、相良純子(演:大塚寧々)。被害者は相良の恋人で、柏田とは何ら接点がなく、柏田は、相良から金をもらったので放火したと自供します。いかにも危ない雰囲気の犯人役でしたが、登場シーン、セリフはわずかです。
その後、クドカンは、人気脚本家として活躍。『池袋ウエストゲートパーク』、『あまちゃん』、『いだてん〜東京オリムピック噺〜』など、今日も続々と人気作品を誕生させています。
温水洋一(秋SP)
温水洋一は、秋の犯罪撲滅スペシャルに登場。湾岸署の会計課長を演じました。監察官になった室井が突然湾岸署に来たと聞き、監査と勘違いしたのが湾岸署のスリーアミーゴス。神田署長(演:北村総一朗)は、自分が公費で行った(研修という名の下の)ハワイ旅行の決算書を探すよう部下に命じます。その決算書を見つけたのが、会計課長でした。
温水は、この時期から徐々にドラマ出演が増え、お茶の間でもおなじみの顔となります。今日では、バラエティ番組でも活躍する人気俳優・タレントです。
大倉孝二(秋SP)
大倉孝二は、秋の犯罪撲滅スペシャルに登場。女との痴話喧嘩で警察を呼んだ男を演じました。湾岸署で事情聴取を受けている間に女を殴り、すみれから「男みたいなセリフ言わないで!女殴る奴は男なんかじゃない!」と一喝されます。セリフやシーンはわずかですが、大倉がテレビドラマに出始めた頃の希少な出演です。
大倉はその後、癖のあるキャラクターとして、数多くの人気ドラマに出演するようになります。主な作品は、『新選組!』、『ゲゲゲの女房』、『妖怪シェアハウス』など。
おわりに
今回ご紹介した出演者以外にも、特に、秋の犯罪撲滅スペシャルには、高木ブー、池内万作、デビット伊東、定岡正二、元B&Bの島田洋八なども出演していました。映画への伏線も多く、実は見どころ満載の特番です。機会があれば、『秋の犯罪撲滅スペシャル』のみを取り上げてご紹介します。

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