山崎邦正(第1話)
『踊る大捜査線』の記念すべき初回放送。当時、山崎邦正(現:月亭方正)がチョイ役で出ていたのを、気づいた人はほとんどいないでしょう。それもそのはず。出演時間はわずか数秒で、エンドロールにも名前はクレジットされていません。どうやら正式な出演ではなく、飛び入り出演だった模様です。
具体的には、青島俊作刑事(演:織田裕二)が田中文夫(演:近藤芳正)を取り調べ中に、暴力犯係が3人がかりで邦正を担ぎ出すシーンがあります。再視聴の機会があれば、スロー再生でご確認ください。
松重豊(第2話)
松重豊は、爆発物処理班の班長として第2話に登場。この時はチョイ役ですが、後の映画シリーズで主要な役柄となります。
この第2話では、山部良和(演:伊藤俊人)が和久平八郎刑事(演:いかりや長介)への復讐のため、爆弾付きの健康椅子を湾岸署に送付。その爆弾撤去のため登場したのが、爆発物処理班と、松重豊演じる班長でした。出演もセリフもわずかです。
橋龍吾(第3話)
橋龍吾は、歌手の橋幸夫の息子です。チョイ役というには出演時間がやや長めでしたが、第3話で、女子中学生を襲ったひったくり犯、深見哲也を演じました。深見は常習犯ながら、これまでは高級官僚の父親が裏で動いて事件を全てもみ消し。今回ももみ消しを図ろうとしますが、湾岸署が関わったことから一悶着起きるというストーリーです。
橋龍吾は、本作をきっかけに、数々の人気ドラマに出演しますが、現在は芸能活動を休止しています。

第3話 消された調書と彼女の事件
水川あさみ(第3話)
水川あさみも第3話に登場。深見にバッグを引ったくられた、被害者の女子中学生を演じました。引ったくりの映像はありませんが、足を擦りむいて出血し、湾岸署で保護されるシーンで登場します。
当時の彼女はまだ知名度がなく、再放送で初めて気づいたという人は多いでしょう。短いワンシーンですが、中学生時代(学年でいうと中一)の彼女が見られるという意味で、貴重映像かもしれません。
正名僕蔵(第3話)
正名僕蔵の出演は、ご存知の方も多いでしょう。『踊る大捜査線 THE MOVIE』では、ニセ警察官に扮した窃盗犯、河原崎宗太を演じました。
が、今回紹介するのはそこではありません。映画ではなく、テレビシリーズの第3話。恩田すみれ刑事(演:深津絵里)が、同僚の青島に手錠をかけて、湾岸署の留置場に隠れるシーンです。引ったくり事件のもみ消しを図る上層部に、すみれは反抗。その様子を見つけたのが、正名僕蔵演じる一警察官でした。すみれの上司に報告すると、話が大事になっていきます。
映画に登場する、窃盗犯との関連性は不明です。因みに、窃盗犯も映画が最初の出演ではなく、テレビシリーズの『秋の犯罪撲滅スペシャル』ですでに姿だけ登場していました。これは明らかに映画への伏線ですが、第3話も伏線だとすると、話がややこしくなりそうです。
田中哲司(第4話、第9話)
田中哲司は、警視庁捜査一課の刑事、室井慎次管理官(演:柳葉敏郎)の部下として第4話、第9話に登場。所轄と対照的な立ち位置の役柄で、セリフはわずかです。第4話では、青島に対し、高圧的な態度を取りますが、第9話では、被害者の兄に事情聴取できなかったことを室井に報告せず、室井に叱責され殊勝に振る舞う様がうかがえます。
その後の田中の活躍は、周知の通りです。プライベートでは、後述する仲間由紀恵と結婚。放映された1997年は、田中は31歳、仲間は18歳になる年でした。結婚は、そこから17年後のことです。
小池栄子(第5話)
小池栄子は、第5話の冒頭に登場。サラリーマン(演:きたろう)との援助交際を希望する4人の女子高生の一人を演じました。セリフはほとんど無し。彼女も水川あさみ同様、当時はまだ知名度がなく、再放送を見て初めて気づいた人は多いでしょう。
阿部サダヲ(第9話)
阿部サダヲは第9話に登場。チョイ役ではありませんが、無表情の演技が怖い強烈なキャラクターでしたので、あえて取り上げました。
演じたのは、被害者の兄である佐伯五郎。妹の夫(犯人)の不倫相手だった武下純子(演:安永亜衣)への復讐を試み、大事件を起こしてしまいます。ロン毛で瞬き一つせずブレない目つきは、ホラー映画ばりの不気味さがありました。現在の彼の雰囲気とはだいぶ異なるので、阿部サダヲと気づいていない人もいるかもしれません。
伊藤英明(歳末SP)
伊藤英明は、まだ知名度の低かったブレイク前に『歳末特別警戒スペシャル』に登場。すみれが合コンで知り合った男性、藍原誠治を演じました。湾岸署籠城事件に巻き込まれた際には、震えながらすみれを守ろうとする健気な一面を見せますが、結局すみれにふられてしまいます。
放送から数年後、伊藤は映画やテレビドラマで人気を集め、引く手数多の人気俳優となりました。
仲間由紀恵(歳末SP)
仲間由紀恵も、まだ知名度の低かったブレイク前に『歳末特別警戒スペシャル』に登場。殺人事件の被害者、北見繭を演じました。事件のショックで声が出なくなりますが、同じ症状を経験した柏木雪乃(演:水野美紀)の助けで回復します。
翌年、仲間は『神様、もう少しだけ』の瀧村カヲル役で、一躍有名になりました。
おわりに
『踊る大捜査線』のテレビシリーズに出ていた "意外な俳優たち" いかがでしたでしょうか。
今回ご紹介した俳優はわりと有名どころですが、さらに深掘りすると、"名前は知らないけど、あのドラマに出てた人!?" と思わせる意外な名バイプレイヤーも見つかります。次の機会にご紹介します。

踊る大捜査線
踊る大捜査線