ホラーコミックは高階良子で知った。

ホラーコミックは高階良子で知った。

ホラー・ミステリーコミックの第一人者・高階良子先生。昨年はデビュー50周年でした!映像化などは一度もされていませんが昭和ガールズの記憶の中に残ってる作品はたくさんありますよね。昭和の作品をメインにお話したいと思います。


今、日本のホラー映画が世界で認められていますよね。
日本のホラーはスプラッター系やゾンビものではなく、ストーリーと演出で見せるものが多い、そんなところが欧米の人たちには新鮮に映るのでしょう。

さて、日本ではホラーコミックが昔からありました。
楳図かずお先生、古賀新一先生などなど…

その中でも筆者がハマったのが高階良子先生!
楳図先生の「漂流教室」や古賀先生の「エコエコアザラク」などはドラマ化や映画化されたのに高階先生の作品はまだ映像化されたものはないんですよね。

でも、高階先生の作品はすばらしいものばかり!
その一部と思い出をつづってみたいと思います。

【おことわり】今回はデビュー作などの貴重な画像や情報は、管理人様が膨大な労力を費やして運営されている「高階良子の部屋」から引用させていただいています。

■高階良子とは?

高階 良子(たかしな りょうこ、1946年2月18日 - )は、日本の少女漫画家。千葉県銚子市出身。
初期の代表作「リリ」が若木書房の『ゆめ』に掲載されデビューした。その後、雑誌界へ活動の場を移し、『なかよし』に江戸川乱歩原作の『黒とかげ』(原題:『黒蜥蜴』)、『血とばらの悪魔』(原題:『パノラマ島奇談』)、横溝正史原作の『血まみれ観音』(原題:『夜光虫』)などを連載、ジャンルをミステリに移した。
代表作は『マジシャン』、『地獄でメスがひかる』、『はるかなるレムリアより』、『ピアノソナタ殺人事件』など。(wikipediaより)

■なんと、デビュー50周年!

高階先生は2014年でデビュー50周年を迎えられました!おめでとうございます。
昨年から「デビュー50周年記念セレクション」と題した秋田書店の新書版が次々とリリースされています。

高階良子デビュー50周年記念セレクション

■デビューは「リリ」

画像は「高階良子の部屋」http://takashina-fan.nishimitsu.com/より引用させていただきました。

リリ

デビュー作は年若木書房の1964年12月発行の貸本「ゆめ」2月号「リリ」です。
講談社のコミックスには「リリー」と表記してあって長いこと「リリー」と思われていましたが「リリ」であることがわかりした。


昭和30年代は貸本屋というのがあって、今で言えばレンタルビデオ屋さんのようなもの。貸本漫画はオリジナルビデオ(東映の「Vシネ」など)のようなものですね。
この頃の漫画家さんはまず貸本漫画で活躍なさっていたのです。

高階先生は貸本漫画から講談社に活動の場を移します。

筆者も高階先生の作品を拝見したのはこのころからです

■高階先生の思い出その1「血まみれ観音」

初版1975年 4月10日
講談社KCなかよしコミックス

血まみれ観音

初版は1975年となっていますが、「なかよし」掲載は1973年です。
筆者も5年生くらいのときに親戚の家にあったのを読んだ記憶があります。

そのときは当然のことながらまったく気にしていませんでしたが、後にコミックスを買って「原作 横溝正史」と書いてあったのには驚きました。
普通の小説の「夜光虫」を少女漫画に脚色したものだったのです。
小学生ながら横溝文学に触れていたことになるんですねぇ…

この作品で初めて「人面疽」というものを知りました。

人面瘡(じんめんそう、人面疽)は、妖怪・奇病の一種。体の一部などに付いた傷が化膿し、人の顔のようなものができ、話をしたり、物を食べたりするとされる架空の病気。薬あるいは毒を食べさせると療治するとされる。
幕末には、蘭法医・桂川甫賢が人面瘡を医学的に分析している。当時の随筆集『筆のすさび』に引用された甫賢の分析では、腫物の傷口の開いた姿が人間の口のように見え、皺の寄った窪みや傷穴が人間の目鼻に見え、ひくひくと動く患部があたかも呼吸しているように見えるのであり、怪異のものではなく、あくまで顔によく似た腫物として捉えられている]。
また、近世でいうところの実在の病気である象皮病のこととする解釈もある。(wikipediaより)

「血まみれ観音」の人面疽

筆者は1975年3月に小学校を卒業しましたので当然それまで読んでいた小学館の「小学○年生」も卒業。
4月号からは「なかよし」を読み始めました。

この号に「はるかなるレムリアより」が載っていたのです。いよいよクライマックスというところでした。

※余談ですがこの号から「キャンディ・キャンディ」が連載開始です。

■高階先生の思い出その2「はるかなるレムリアより」

『はるかなるレムリアより』は、高階良子による日本の漫画作品。
『なかよし』(講談社)にて1975年1月号から同年5月号まで連載された。全5話。単行本は同社の講談社コミックスなかよしより全1巻。また後に同社の講談社漫画文庫より高階良子傑作選2として「タランチュラのくちづけ」を併載して刊行されている。
レムリア(本作ではムー大陸と同一として扱われている)、地球空洞説、輪廻転生、前世などを下敷きとしたストーリー展開である。(wikipediaより)

はるかなるレムリアより

「血まみれ観音」のあと「地獄でメスがひかる」は読んでたのですが、その後この「レムリア」を読んで高階先生にハマり、それいらい毎月なかよしを読むようになりました。

この作品もいつか映像化されないかなあと思っているのですが…

「なかよし」のバックナンバーをたどると、連載開始前の予告には「ムー大陸への道」と描いてありました。
仮題だったのかもしれませんね。

同じように「タランチュラのくちづけ」の予告のタイトルは「悪魔のキス」でした。

■高階先生の思い出その3「江戸川乱歩原作作品」

高階先生は一時期江戸川乱歩作品のコミカライズをされていました。
その中の傑作はなんといっても「黒とかげ」でしょう!

原作「黒蜥蜴」
「なかよし」1971年4月号~8月号連載。

黒とかげ

これは原作となった乱歩の「黒蜥蜴」を少女漫画向けによく脚色したいい作品だと思います。
キャラ設定は多少異なりますが基本的なところはしっかり外してませんし、黒とかげの明智に対するツンデレっぷりがたまりません。
高階先生の作品ベスト3に入れてもいいんじゃないでしょうか。

他にも「血とばらの悪魔」「ドクターGの島」も乱歩作品が原作です。

「血とばらの悪魔」「ドクターGの島」

筆者が思うに当時の担当編集者に乱歩ファンがいたのかそれとも先生ご自身が乱歩に興味があったのかとても気になるところです。

かなり乱歩を研究されたのではないでしょうか。後にでる「殺人事件シリーズ」「マジシャン」にはトリックなどに乱歩の影響があるような場面があります。

ネタバレになるのでここでは伏せますが、読み比べてみるのも面白いかもしれません。

■「地獄でメスがひかる」「悪魔たちのパラダイス」「悪魔たちの巣」

「地獄でメスがひかる」「悪魔たちのパラダイス」「悪魔たちの巣」、これは三部作といってもいいでしょう。
「悪魔たちの巣」は1988年にミステリーボニータで連載が始まりましたがそのペースとなっているのは1972年に「なかよし」で連載された「地獄でメスがひかる」です。

「悪魔たちの巣」が1995年に終了するので足掛け23年の物語ということになりますね。

「地獄でメスがひかる」は2015年「なかよし」60周年記念復刻版50に選ばれました!
高階先生の代表作といってもいいでしょう。

「地獄でメスがひかる」
1972年「なかよし」7月号~10月号

「悪魔たちのパラダイス」
1988年「ミステリーボニータ」№3~№5

「悪魔たちの巣」
1990年「ミステリーボニータ」№13~№18、№20~№21、№23.1995年「ミステリーボニータ」7月号
(参考・「高階良子の部屋」http://takashina-fan.nishimitsu.com/index.htm)

「地獄でメスがひかる」「悪魔たちのパラダイス」「悪魔たちの巣」

この「悪魔たちのパラダイス」「悪魔たちの巣」のころは高階先生は秋田書店で精力的に執筆されています!「マジシャン」は有名ですよね。ここではあえて触れません。
筆者は昭和40~50年前半の高階先生の作品に薫陶を受けたので、その思い出を今回は書いてみました。
さて、最後に高階先生の隠れた名作をご紹介します。

高階先生のファン。いえ、昭和50年代前半に「なかよし」を読んでいた方なら心のすみにある作品たと思います。

「赤い沼」です。

■赤い沼

初出は1976年「なかよし」11月号付録。

「赤い沼」

アラフォー女子で「ざくろ」という単語を聞くとなんらかの条件反射を起こす方が必ずいます。
筆者の周りでも「ざくろ」と言葉がでるだけで「ざくろは血の色…」と口をついて出る方が何人もいます。

それだけこのざくろを題材にした作品は印象強いお話でした。
また、ネットもビデオもない時代、そして連載作品でもないのに今でも語り継がれています。
鬼子母神伝説を「なかよし」の読者にわかりやすく解釈した名作だといえます。

10年ぐらい前まではネットで検索すると著作権の許可をえて演劇にした劇団があったようですが、今は見つからないんです。これはもう少し調べてみたいと思っています。

■いつかは映像化作品を…

世の中に映像化された漫画作品は多いですよね。
アニメ・ドラマ・映画…。
「イメージが違う!」「ミスキャスト!」という批判もありますが、それでも作品や作家が注目されたことは嬉しいものです。

高階先生の作品は一度も映像化されていません。

筆者はたとえば
「シャンバラ」の連載時、観月ありさで映画にしたらいいなあ、とか
「ガラスの墓標」を南野陽子と村上弘明でどうかなあ?とか
昔から映像化を妄想していました。

高階先生の作品は幻想的で、ミステリアスで…映像に向いていると思うんですけどね。

先生は今でも秋田書店・ぶんか社などで作品を掲載しています!
この記事を読まれて、また先生の作品を読んでみようかな、と思われた方がいらしたら幸いです。。

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