ベスト盤は好きですか?
これだけ聞いとけば、もう安心!代表曲がぜ~んぶ入っとるからね!!というのがベストアルバム、ベスト盤ですね。
一方で、ベスト盤は邪道だ!とか、ベスト盤ではそのアーティストの表面しか掴めん!!といった意見もけっこう耳にします。確かになぁ、と思わないでもありません。しかし、しかしですよ。ベスト盤はそのアーティストをよく知らない者にとっては非常に有難い。なによりも聞いてて楽しいものに違いありません。そりゃそうですよね、ヒット曲満載なわけですからね。私はベスト盤を断然お勧めします!
ベスト盤と言っても様々なタイプがありますが、例えばロック界(そんなもんがあるのか?)において代表的なベスト盤はどれか?
そりゃ好みの問題でしょ?という声が聞こえてきますが、もっとも有名なベスト盤となると、やっぱりビートルズなのではないでしょうかね?通称赤盤、青盤と呼ばれている例のやつです。

ザ・ビートルズ 1962年~1966年

ザ・ビートルズ / 1967年~1970年
ジャケットも含め、やっぱりこのアルバムは素晴らしいです。折り紙つきです。ビートルズの場合、特に初期はシングルを購入したファンを考慮してオリジナル・アルバムにはシングル曲が収録されていないんですよね。なので、ヒット曲を聴くにはベスト盤しかないわけです!
こうなってくると、オリジナル・アルバムを全て持っていてもベスト盤を買わずにはいられなくなりますなぁ。
次いでビートルズの赤盤、青盤と双璧といっても良いのではないかと思うのが、スティーヴィー・ワンダーのベスト「ミュージックエイリアム」です。
ミュージックエイリアム
異論のある方も多いと思いますが、いつの時代にも素晴らしい楽曲を残している天才スティーヴィー・ワンダーとは言え、ピークは70年代とみた。なので1982年にリリースされた、1971年以降の作品から選曲された「ミュージックエイリアム」は粒揃いの楽曲が詰まりに詰まった名ベスト盤となっています!
スティーヴィー・ワンダーのようにキャリアの長いアーティストにはベスト盤はとっても便利。重宝しますよね。

ミュージックエイリアム
スティーヴィー・ワンダーの場合はビートルズと違って、シングル曲はアルバムに収められています。それだとベスト盤買っても有難みがないではないか!と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、このアルバム心配は無用です。収録曲のうち「フロント・ライン」「リボン・イン・ザ・スカイ」「ザット・ガール」「ドゥ・アイ・ドゥ」の4曲が書き下ろされてるんです。
単なるシングルの寄せ集め。そんなベスト盤だって十分に楽しい。しかし、そこに未発表曲が追加されてるとなれば、おまけが付いてるようで得した気分になります。
ベスト盤に未発表曲が入っているというのは、ベスト盤のもうひとつの流れですね。多くのアーティストがこのスタイルを取り入れているのは皆さんご存じのとおりです。
ただ、こうなってくると、またしても.オリジナル・アルバムを持っていてもベスト盤を買わずにはいられなくなりますなぁ。
フロム・A・トゥ・ONE
ジャケットにはしっかりと「Rock'n Soul Part1」と書かれているにもかかわらず、「フロム・A・トゥ・ONE」という邦題が付けられているダリル・ホール&ジョン・オーツのベスト盤。しかし、これもまた素晴らしい!
アルバムタイトル(原題です)そのままに、Rock'n Soul と呼ぶにふさわしい熱い楽曲がてんこ盛りの名ベストです!

フロム・A・トゥ・ONE
ヒット曲満載、当然聴いてて楽しい!しかし、しかしですよ、このアルバム、問題がないわけではありません。
と言うか、「フロム・A・トゥ・ONE」は、ベスト盤で気を付けなければいけない事を教えてくれます。
何に気を付けないといけないのか?何が問題なのか?といいますと、ここに収録されているダリル・ホール&ジョン・オーツの大ヒット曲「ウェイト・フォー・ミー」はライブ・バージョンだ!
スタジオ版はアルバム「モダン・ポップ」に納められているから問題なし。むしろライブ・バージョンが聴けてお得っ!という考えも勿論あるでしょう。あるでしょうが、やっぱりベスト盤にはスタジオ版、それもシングル・バージョンを収めてほしいですよ。
と言うか、普通はシングル・バージョンが収録されているものですからね。ガッカリした方(私です)は多いのではないかと思います。
ただねぇ、このアルバム、これが目玉ってことなんでしょうし、裏ジャケットにデカデカとライブ・バージョンと書かれているので、シングル・バージョンと思いこんだ人(私です)の責任ではありますが、お気を付けくださいませ。
グレイテスト・ヒッツ
グラムロックを代表するバンド、T・レックスのベスト盤「グレイテスト・ヒッツ」。イギリスでは第2のビートルズと言われていた彼らには多くのベストアルバムがあります。ありますが、実はこのアルバムが唯一の公式ベスト・アルバムなんだそうです。
1967年にティラノザウルス・レックスとしてデビューした彼らは、ビートルズが解散した1970年にバンド名をT・レックスに変えて大ブレイクを果たします。
その人気の凄まじさはビートルズのメンバーからさえも一目を置かれ、後継者として名指しされたほどでした。
そんな彼らの人気絶頂時のベスト盤ですから悪かろうはずがありません。しかし、このアルバム聴いてて「あれ?」って思うんですよね。何故か?それはですね、グレイテスト・ヒッツと謳いながら彼らの最大のヒット曲である「ゲット・イット・オン」が入っておらんのですよ!なんとも実にひねくれたイギリス人らしい発想のベスト盤ですね。
オアシスの「ホワットエヴァー」なんかも、日本でもCMに使われるほど人気のある曲ですが、ベスト盤どころか、どのアルバムにも入っていません。こうした例は他にもたくさんありますから、ベスト版に代表曲を入れないというのは、ベスト盤の流れ(主にイギリス)のひとつと言えますね。

グレイテスト・ヒッツ
「ゲット・イット・オン」はT・レックスに改名してから2作目のアルバム「電気の武者」に収録されています。「電気の武者」は持ってて損なしの名盤ですから、それと「グレイテスト・ヒッツ」があればT・レックスは十分楽しめます。というか、「グレイテスト・ヒッツ」を聴いてT・レックスに興味を持った方は「電気の武者」を買わないわけにはいかなくなるという作戦ですかね!
因みにT・レックスの3枚目のアルバム「ザ・スライダー」のジャケットはリンゴ・スターが撮影したと言われています。リンゴはT・レックスのドキュメンタリー映画「ボーン・トゥ・ブギー」の監督も務めていますから、かなり興味を持っていたのでしょうね。リンゴとT・レックス。正反対のように思えますがねぇ。分からんもんです。
Singles
ベスト盤には、ベスト盤に相応しいタイトルがいい。「ミュージックエイリアム」や「フロム・A・トゥ・ONE」と言われてもよう分からんという方は多いと思うぞ。
なのでT・レックスの「グレイテスト・ヒッツ」は非常にいいですね。昔はこのタイトルのベスト盤は多かったんですけどね。
それでは最後に邦楽を代表してベスト盤らしいタイトルを持つベスト盤をご紹介します。
ベスト盤と言っても、その中身は基本シングル盤を集めたものですから、中島みゆきの「Singles」というタイトルは分かりやすくてGOODです!このタイトルであるからには、未発表曲だのライブ・バージョンだのの入っている心配をする必要はありませんしね。

Singles
「Singles」は、1975年のデビュー曲「アザミ嬢のララバイ」から1986年の「やまねこ」まで、シングルのA面とB面をCD3枚にまとめたベスト盤です。しゃれているのは時間軸を過去からではなく、現在から過去へと戻っていくように楽曲を並べているところですね。
中島みゆきの場合、これ以降も大ヒット曲が多く生まれているので3枚組とはいえ「Singles」だけでキャリアのピークを示しているとは言えないですね。そうなると当然続編が出ることになります。実際「Singles2」も出ていますし、他にもボックス・セットやなんやらものすごく多くのベスト盤が出ています。巨大な才能に驚くばかりですが、これはこれで問題がでてくるんですよね。
中島みゆきもまたオリジナル・アルバムに収録されていないシングルが多いんですよ。となると、ベスト盤とは言え何枚もベスト・アルバムを揃えなければならなくなります。
しかも次から次に最新のベスト盤がでてくるからでしょうが、古いベスト盤は廃盤になっていきます。実はこの「Singles」も入手困難なんです。
するとどうなるか?例えば「横恋慕」です。大好きな曲なのですが、何らかの理由で現在発売されているベスト盤には収録されていません。イイ曲だし、ヒット曲なのになぁ。
こうなってくると何とかして「Singles」を入手しない限りは「横恋慕」が聴けないという非常事態となっています。
こうしたこともベスト盤にはありがちです。しかもベスト盤の再発ってあまりないですからねぇ。。。
楽しいベスト盤、お得で手軽なベスト盤。オリジナル・アルバムを全部持っていても欲しくなるのがベスト盤ですので、早めの購入をお勧めします!