無一文から復活した2人は、40時間ぶりの食事。
空腹が満たされると徒歩で国境へ向かった。
まずはベトナムの出国手続きをして、それが終わると
「苦しかった、ベトナムは」
と笑いながらラオスの入国手続きへ。
そして香港、中国、ベトナムに続き、4ヵ国目、ラオスに歩いて入国し、
「ウエーイ!」
とバンザイ。
さっそく地図を広げて、次なるヒッチハイクの目的地を検討。
「コレ、一気に行っちゃうか」
「ウン、一気にタイ行こう」
といきなりラオスとタイの国境を目指すことにした。
ラオスの正式国名は、「ラオス人民民主共和国」
国土面積は、日本の本州と同じくらい(約24万㎞²)で、ほとんどが山岳地帯。
メコン川を挟んでタイとの国境に面した首都、ビエンチャン特別市の他に17の県があり、どの県も独特の風土、文化が残っている。
ラオスでの主な移動手段はバスだが、メコン川を移動する「スローボート」もある。
日本とラオスは江戸時代から交易を行い、象牙、毛皮、香料などが輸入され、煙管(キセル)の吸い口と火皿を接続する竹管を「羅宇(ラオ)」というのはラオスから渡来した竹を用いたからだといわれている。
穏やかでどこか懐かしさを感じるのんびりとした少数民族の村。
ワット・シェンクワン寺院やルアンパバン、ワット・プーなど貴重な仏教遺跡。
母なる大河、メコン川、そのメコン川に浮かぶたくさんの島々「シーパンドン」
標高1000m、不思議な巨石群が静かに佇む「ジャール平原」
石灰石でできた珍しい形の山々に囲まれた「バンビエン」
ラオスは「東南アジア最後の秘境」と呼ばれ、ニューヨーク・タイムズの「世界で1番行きたい国ランキング」で第1位に選ばれたこともある。
「エクスキュズ・ミー」
猿岩石は、カーハントを開始。
するとすぐにトラックをGET。
ベトナムのマーケット以来、今日はツキまくりの2人は荷台で握手。
トラックで揺られること5時間、サワンナゲートに到着し、入国したその日にラオスの出国手続きを済ませた。
と、ここまでは超スムーズだったが、問題発生。
タイはメコン川の向こう側にみえているのに橋が見当たらない。
「橋とかねえの?」
「でもアレがタイだよ」
渡船所があるので、有料のボートで渡るシステムらしい。
今回は金はあるが、船賃を払うとヒッチハイクにならずルール違反。
「どうすんの?」
「船と交渉するしかないんじゃない?
だって泳げないだろ。
荷物あるし・・・」
2人は船着き場に近づいて
「運転手さん、ノー・マネー」
「乗せて」
と身振り手振りで頼んだが
『上で切符を買ってきて』
「えっ?」
そうこうしている間にボートは出てしまった。
誰もいなくなった船着き場で小さくなる船をみながら
「いいなあ」
「速いなあ」
と子供のようにいい合う2人。
その後、川沿いを歩いて、船に乗った人に
「タイ」
「ノー・マネー」
といいながら当たっていったが結局、乗せてくれる船はなかった。
メコン川に夕日が落ち、タイを目の前にして、その日は川土手で野宿した。
翌日、29日目、5月11日、なす術もなく、ただ川を見つめる2人。
すると船がやってきて、昨日、交渉した船頭さんがが手招きしている。
「えっ」
「ちょっと待って」
あわてて荷物を持って土手をかけ下りた。
「お金ない、OK?」
船頭は
『乗って来い』
とジェスチャー。
川岸でずっと動けないでいる2人をみかね、無料で乗せてくれるという。
こうして2人は快調に川を渡る船に乗ってラオスを出国し、10分後、タイ側の川岸の到着した。
「長かったなあ、この距離がよお」