交際していた3人の男性を殺害した木嶋佳苗
2007年8月から2009年9月に発生した「首都圏連続不審死事件」の犯人「木嶋佳苗」は、2017年(平成29年)4月に死刑の判決を受け確定した。被告人の死刑確定は戦後は15人目で、女性としては初めてだった。2022年10月現在47歳。
木嶋佳苗の生い立ち
木嶋佳苗は、1974年に北海道の中標津に生まれる。祖父は司法書士で、父は行政書士という名士の家系だ。木嶋は長女で、弟が1人、妹が2人いる。1981年に別海町へ家族で転居した。高校生の頃に男とホテルに出入りしているというという噂が流れる。また、知人の通帳を盗み金を引き出したとして、窃盗罪で逮捕されている。1993年に上京しケンタッキー・フライドチキンで2ヶ月働いた。その後、池袋のデートクラブや渋谷で声をかけられた男と愛人契約を結び、男からカネを引く生活が始まった。1996年に東洋大学経済学部二部に合格するが、履修届を出さず、除籍となる。
「私は性の奥義を極めてるんです!」
一時期はソープランドで働いていたという噂もあるが、婚活サイトやデートクラブなどを利用していた。複数の男からお金を騙し取り、月収は150万。そのお金で西池袋にある家賃23~27万円の“タワマン”に住んでいた。ル・コルドン・ブルーの料理教室に通い、ベンツを乗り回していたという。その様子を「かなえキッチン」など複数のブログを通じて発信していた。
木嶋佳苗は法廷で自らセックス自慢を披露「私は性の奥義を極めてるんです!」という名言を残した。
木嶋佳苗に殺害された男性・不審死した人
青梅市の53歳男性A不審死事件(起訴事案)
2009年1月30日から1月31日に東京都青梅市の会社員男性A(当時53歳)が死亡。2月4日に発見される。死因は一酸化炭素中毒死。死亡直前にAの銀行口座から木嶋の銀行口座に計1700万円が振り込まれていた。
野田市の80歳男性B不審死事件(起訴事案)
2009年5月15日に千葉県野田市の当時80歳男性Bが自宅で死亡した。自宅から出火して全焼。遺体近くの和室には練炭数個が置いてあった。死因は一酸化炭素中毒死。Bの父は著名な画家であり、木嶋はBの家の絵を盗んで高価な値段で転売していた。Bは父の絵が無くなったことで親族を疑っていたという。木嶋は疑われず、死亡直後にBの銀行口座から約190万円を引き出した。
千代田区の41歳男性C不審死事件(起訴事案)
2009年8月6日、東京都千代田区の当時41歳会社員男性Cは、埼玉県富士見市の駐車場に駐めたレンタカー内で死亡。死因は一酸化炭素中毒死。木嶋はCに対して結婚する気があると騙し、約470万円を受け取っていた。
松戸市の70歳男性不審死事件(木嶋と関わった男性の不審死)
2007年8月、当時70歳の千葉県松戸市の自営業の男性が自宅の風呂場で死亡した。死因は不明だが、木嶋に約7400万円を貢いでいたという。
※死亡日は不明だが、他に2人の男性(関東地方在住)が不審死している。
毒婦と言われる木嶋佳苗は…実はキレイだった
30代半ばで太めの体形の木嶋佳苗は、容姿端麗ではないが、声が綺麗で料理上手。字が綺麗で言葉の使い方が上手い。外見を整えるために君島十和子と同じ美容室に行き同じ美容師を指名していた。立ち振る舞いは優雅で床上手。騙された男性は木嶋はキレイだったと証言している。
木嶋佳苗の現在・ 3度の獄中結婚と相手
2021年(令和3年)9月20日時点で、木嶋佳苗死刑囚は、東京拘置所に収監されている。
2015年に支援者の60代男性と結婚、2016年に離婚。その後、再婚し離婚。そして、2018年に東京拘置所内で『週刊新潮』記者のI氏と3度目の獄中結婚をしている。妻子ある40代男性I氏は離婚して、木嶋と結婚した。
木嶋佳苗の拘置所日記
男性二人を殺害した上田美由紀
鳥取連続不審死事件。2004年から2009年にかけて、鳥取県のスナックホステス上田美由紀(当時35歳)の周辺で、男性が不審死する事件が起きた。上田美由紀は、強盗殺人2件について、2017年の最高裁判所判決により死刑が確定した。その他、自殺2件、事故死1件、病死1件とされた。2022年10月現在48歳。
上田美由紀の生い立ち
上田美由紀1973年(昭和48年)12月21日鳥取県倉吉市生まれる。兄が1人いる。
東伯郡大栄町で育ち1988年に中学校を卒業後、高校の看護科に進学するも退学。その後、大阪で結婚し1男1女を儲けるが離婚。鳥取に戻り別の男性と再婚し1男1女を儲けるが別居。鳥取市の歓楽街のスナックでホステスとして働くようになる。2004年には婚外子1女を出産。2009年11月に詐欺容疑で逮捕された安東儀導と同棲を始める。2002年3月に詐欺容疑で逮捕されている(起訴には至っていない)。
上田美由紀に殺害された男性・不審死した人
2004年5月:新聞記者の男性(自殺)
42歳の新聞記者・HTさんは、2001年ごろ上田が勤めるスナックで出会い、2003年には妻子があるにも関わらず上田と交際・同棲するようになる。2004年鳥取市内のJR・因美線で段ボールに詰められた状態で線路内に放置された挙句に轢死体となり発見され不審死を遂げた。
2007年8月:警備会社勤務の男性(事故死)
2001年ごろ上田美由紀が勤めるスナックで出会った常連客の警備員・HSさんは、2005年頃から上田が子供と住む家で同棲を開始。2007年8月18日、HSさんは上田家族とともに鳥取砂丘近くの海辺に出かけ、沖合約200メートル水深約2メートルの地点の海底に沈んでいるのが発見される。病院に搬送されたが、同年8月27日に蘇生後脳症で死亡、事故として処理された
2008年2月:島根県警刑事の男性(自殺)
41歳妻子持ちの警察官は、2007年ごろ捜査の一環として上田が勤めるスナックを訪れる。その後スナックに通うようになり、上田美由紀と不倫関係になる。2008年2月に鳥取県内の山中で首つり状態の警察官の遺体が発見される。鳥取県警は事件性はなしと判断し自殺として処理した。
2009年4月:トラック運転手の男性(強盗殺人)
47歳のトラック運転手のYKさんは、2008年2月ころから上田美由紀と交際を開始、生活費として総額270万円ほどのお金を貸していた。2009年4月11日、鳥取県北栄町の沖合約600メートル水深約3メートルの海底で全裸の水死体で発見される。司法解剖の結果、死因は溺死、体内から睡眠導入剤が検出される。他殺を示唆する証拠として肺から砂が検出された。2010年3月3日に鳥取県警は強盗殺人容疑で上田美由紀を逮捕した。
※鳥取県警が「鳥取連続不審死事件」の捜査を開始するきっかけとなる。
2009年10月:電器店経営の男性 (強盗殺人)
鳥取市内で電器店を経営する57歳のMさんは、2009年夏ごろに上田の交際相手で同棲中の安東儀導に100万円を超える家電製品を掛け売りで納品した。2009年10月7日、鳥取市の摩尼山中腹の摩尼川で、顔に傷、うつ伏せの状態で水死しているのが発見された。司法解剖の結果、睡眠導入剤が検出される。状況証拠などから、2010年1月28日に鳥取県警は強盗殺人容疑で上田美由紀を逮捕した。
2009年10月26日:無職の男性(病死)
上田美由紀の勤務するスナックの客の58歳の無職の男性・TKさんは、2009年9月に上田所有の車を運転中に事故を起こし、金銭トラブルになる。関係者の証言によると2009年10月26日夕刻、上田は、意識が混濁しているTKさんに錠剤を服用させた。翌27日朝にTKさんは病院に救急搬送されるも死亡が確認されたる。司法解剖の結果、体内から睡眠導入剤が検出される。県警は、上田を捜査するも、TKさんには心臓に持病があったこと、死亡と睡眠導入剤との因果関係が不明なことなどにより病死と判断した。
2009年11月2日、鳥取県警は、上田美由紀および交際・同棲中の安東儀導を詐欺の容疑で逮捕した。以降、別件の詐欺や住居侵入・窃盗の容疑で5回再逮捕。2010年1月28日、鳥取県警は、電器店を経営する男男性の事案に関し、強盗殺人容疑で上田を再逮捕。また、2010年3月3日には、トラック運転手の事案に関し、強盗殺人容疑で上田を再逮捕した。詐欺8件、住居侵入・窃盗1件、強盗殺人2件が順次起訴された。
男を手球に取った上田美由紀、その魔性とは?
決して美人とは言えない30代のふくよかな女性が、男性を殺害したという共通点から、「東の木嶋」「西の上田」と呼ばれる二人の女性死刑囚だが、よく似たふたりは異なる。上田美由紀は、2回の結婚歴があり、5人の子供がいるシングルマザーなのだ。働いていたスナックで男性と知り合ったり、出会ったりしている。何人かと交際、不倫関係になっている。男性からお金を借りて返せなくなると殺害。上田は、贅沢な暮らしをするわけでもなく、安いアパートで子供と暮らし、そこで男性と同棲する。
上田美由紀は、場当たり的な嘘をつくが、男性を癒やす魔性と守ってあげたいと感じるような危うげな雰囲気を持っているようだ。
高齢男性3人を毒殺した「後妻業事件」の女、筧(かけひ)千佐子
2007年(平成19年)から2013年(平成25年)に、京都府・大阪府・兵庫県の3府県で、高齢男性3人が青酸化合物によって殺害された関西青酸連続死事件の犯人、筧千佐子(かけひちさこ)。2021年7月17日付で死刑が確定した。筧千佐子死刑囚は、2021年6月28日時点で、大阪拘置所(大阪市都島区)に収監中、2022年10月現在75歳。
2022年、筧千佐子死刑囚側が、兵庫県伊丹市のHMさんを殺害した事件について、死因を病死だとする医師の鑑定書を「新証拠」として提出、京都地裁に再審請求した。再審請求は9月30日付で即日受理された。
筧千佐子の生い立ち
筧千佐子(かけひちさこ)は1931年2月16日に長崎県で未婚の母から生まれた2022年10月現在75歳。千佐子は、生まれるとすぐに福岡県八幡市(現北九州市)の山下家に養女に出された。小学校の頃から成績はよく高倉健の母校でもある「福岡県立東筑高等学校」を卒業している。1965年4月、都市銀行に就職する。福岡の八幡支店で預金係を勤めていた。69年に九州へ旅行に来ていたYさんと出会い10月に結婚、大阪府貝塚市に移り住んだ。夫の実家の農家を手伝いながら、1970年に長男、1971年に長女をもうける。1987年から印刷会社を営む。千佐子は90年頃から投資を始める。1994年5月にYさんは54歳で亡くなる。夫の死亡保険金は、親族からの借金に当てる。2001年に会社は廃業。貝塚市から姿を消したという。
夫の死後、1998年頃から結婚相談所利用している。
筧千佐子に殺害された男性・不審死した人
1994年(平成6年)会社を経営していた最初の夫が死亡。夫の生命保険金約2000万円は会社の借金返済に充てた。
2013年12月、自宅で致死量の青酸化合物を飲ませて殺害した。京都府向日市のKIさん(4人目の夫、当時75歳)は、妻と娘と死別。結婚相談所を通じて筧千佐子と知り合う。2013年6月に交際を始め11月に結婚した。結婚1カ月後の12月28日にKIさんは亡くなった。(殺人罪)
2012年3月、大阪府の喫茶店で致死量の青酸化合物を飲ませて殺害した。大阪府貝塚市のHMさん(内縁関係、当時71歳)は、2020年(平成22年)10月ごろ、結婚相談所で筧と出会い交際していた。2012年3月9日に死亡した。(殺人罪)
2009年5月、神戸市で致死量の青酸化合物を飲ませて殺害しようとした。神戸市北区のSTさん(知人、当時79歳)は、2005年に結婚相談所を通じて筧千佐子と出会った。筧の株式投資のために筧千佐子に約4千万円を貸していた。2009年5月に亡くなった。(強盗殺人未遂罪)
2013年9月、兵庫県の喫茶店で致死量の青酸化合物を飲ませて殺害した。兵庫県伊丹市のHMさん(内縁関係、当時75歳)も2012年(平成24年)10月ごろに筧千佐子と結婚相談所で知り合い、2013年9月20日に死亡した。(殺人罪)
青酸カリウム
シアン化カリウム - Wikipedia
筧千佐子(かけひちさこ)の周りで亡くなった男性
2005年(平成17年)年3月、兵庫県南あわじ市交際男性Sさんが死亡(書類送検されるが証拠不十分のため不起訴)
2006年8月、2人目の夫死亡。2006年(平成18年)5月、筧は兵庫県西宮市のMさんと2度目の結婚をするが男性は8月に死亡。
2008年3月死亡。奈良県奈良市のOさんが亡くなる(書類送検後証拠不十分のため不起訴)。Oさんは死亡の約2ヶ月前に筧千佐子に全財産を遺贈するという公正証書遺言を残す。
2008年5月3人目の夫死亡。2008年4月、筧千佐子は大阪府松原市のYさんと3度目の結婚をする。Yさんは5月17日に死亡した(書類送検後証拠不十分のため不起訴)。Yさんは死亡5日前に「全財産を筧千佐子に相続させる」という公正証書遺言を作っている。筧は、約5800万円の遺産を相続したという。
2013年5月に堺市の60代男性死亡。HMさんと交際中の2013年5月、交際していた堺市の60代男性、Kさんが自宅マンションで体調急変を起こし病院搬送され、その後死亡した。(書類送検後証拠不十分のため不起訴)
※2022年9月に再審請求が受理されている。
筧千佐子の男性を虜にするテクニック
ごく普通の老女に見える筧(かけひ)千佐子だが、彼女が狙いをつける男性には、いくつかの特徴がある。第一の条件は資産家の高齢者だ。そして、一人暮らしや持病のある人をターゲットにする。男性を褒め、持ち上げ、愛情だっぷりで接することで相手との距離を縮める。ハートの絵文字を使ったメールで女子力をアピールして楽しい会話をする。男性宅に行って手料理をふるまう。床上手で一度ベッドを共にすると離れなくなるという。男性機能が失われた高齢男性を籠絡する老女の肉体テクニックとは、どのようなものなのか。