わちゃわちゃ、ほのぼの、家庭崩壊・・・ホームドラマの歴史を辿ってみた!

わちゃわちゃ、ほのぼの、家庭崩壊・・・ホームドラマの歴史を辿ってみた!

昔から人気のジャンルであるホームドラマ。といっても時代によって内容は変化してきていますよね。ホームドラマの歴史を振り返って見ましょう。


ホームドラマ創世記~大家族ドラマ

ホームドラマはテレビが登場するより前の家庭小説やラジオドラマなどが元になっているといわれています。1940年に放送された日本初のテレビドラマ『夕餉前』もホームドラマでした。

テレビの本放送が開始された1953年以降もまだテレビは一般普及していませんでしたのでスポーツ中継などが人気でしたがホームドラマも放送されていました。

本格的なホームドラマの始まりは1958年の「バス通り裏」。1963年迄続きました。ラジオドラマを元にしていて、当時は家出少女なども問題になっていましたが温かい家庭をアピールするドラマでした。

そこから各局でホームドラマが数多く制作されるようになります。1970年には「時間ですよ」が放送開始。銭湯「松の湯」を経営する一家を舞台にしたドタバタホームコメディですね。元々は橋田壽賀子さんが脚本だったのですがアドリブを入れられたことで3回で降板しています。

1974年には向田邦子酸脚本の『寺内貫太郎一家』も登場。こちらは下町の「寺内石材店」を舞台にしたドラマ。寺内貫太郎を中心に家族やご近所さんの触れ合いを描いたドラマです。ですがこのドラマではドタバタ明るいだけでなく、「死」や「老い」「孤独」など闇の部分も描かれていました。ただ楽しいだけのホームドラマではなくなってきていますね。

「岸辺のアルバム」以降、リアルな現実を描いたホームドラマが増える

1977年に放送された「岸辺のアルバム」は今までのホームドラマとはまた違うテイストでした。倦怠期の夫婦の苦悩や、大人に成長していく子供たちの葛藤、家庭が崩壊していく様をリアルに描いています。

そして最後に水害で家が崩壊します。これは1974年の多摩川水害の被災者が「水害で家族のアルバムを失ったことがショックだった」と語ったエピソードが元になっているそうです。

その後も1981年の「北の国から」、1983年の「積み木くずし」でもリアルな現実を描いていますね。さらに「金曜日の妻たちへ」、「家族ゲーム」、「大家族」、「親子ゲーム」、「渡る世間は鬼ばかり」などほのぼのしたホームドラマから家族の闇というか、家族の抱える問題を描いたドラマが増えてきます。

理想の家族を描いたドラマばかりではなく、共感できるドラマも支持されるようになってきたんですね。

「ママはアイドル」など奇想天外なホームドラマも登場!

リアルでシビアなホームドラマが登場する一方、見ていて楽しくなるホームコメディも多数登場。ありえない設定の者も多いですが、それはそれで純粋に楽しめるのではないでしょうか。

1987年の「ママはアイドル」は、中山美穂さんが本人役で登場。人気アイドルの中山美穂が妻に先立たれた三児の父水沢修一(三田村邦彦さん)と結婚し、子供たちのママハハになるという今までにはない設定のホームドラマでした。アイドルがもしも結婚していたら・・・という世界を描いていて面白かったですよね。

2003年に長瀬智也さん主演で放送された「ムコ殿」はこの作品のオマージュと言われていて、2012年に錦戸亮さんが主演した「パパドル」はこの作品の事実上のリメイク作品とその後にも影響を残したドラマです。

他には「パパは年中苦労する」、「ママハハ・ブギ」などの一風変わったホームドラマも登場しました。

嫁姑問題をコミカルに描いた作品が人気に!

1993年には山口智子さん、高嶋政伸さん主演の「ダブル・キッチン」が放送されました。当時注目されていた二世帯住宅をテーマにしたドラマで、嫁姑問題を明るく描いたホームドラマです。嫁姑バトルというとドロドロした陰険なイメージがありましたが、こちらは嫁姑が最後にそれぞれの家で暴れるという独特な表現で、そのシーンが話題になりましたね。嫁、姑どちらが見ても共感できる部分があったのではないかと思います。

女性も社会進出も活発になってきたころで新しい時代のホームドラマという感じがしましたね。

その後、同じテイストの「長男の嫁」シリーズも人気になりました。小学校受験を描いた「スウィート・ホーム」もよかったですよね。

この時代は、時代に沿った問題が描かれつつも、コミカルで楽しく家族みんなで見られるホームドラマの形になっていました。

現在はホームドラマも様々な形に

2000年以降は、ホームドラマも多様化していきます。どこにでもある普通の家族というよりは世相を取り入れつつも、ちょっと変わった家庭を描いたドラマが増えた気がします。

2004年の「アットホーム・ダッド」では女性が働き、男性が家事をするという主夫を描いたコメディ。2005年には流行語にもなった「鬼嫁」を描いた「鬼嫁日記」、うつ病になってしまった母のために息子が一念発起する「フリーター、家を買う。 」、親友の子供を引き取った「マルモのおきて 」、義母と義娘の絆を描いた「義母と娘のブルース」など、今までにない設定のホームドラマが増えましたね。

これらのドラマはみんなで共感するホームドラマとはまた違い、家族を舞台にしたドラマではありますがフィクションを楽しむドラマという感じがします。

現実に寄り添うドラマもフィクションだから楽しめるドラマもどちらもいいですよね。今後はどんなホームドラマが作られていくのか楽しみです。

関連する投稿


昭和の名作ドラマ「中学生日記」が舞台で蘇る!小南光司主演「2025」上演決定

昭和の名作ドラマ「中学生日記」が舞台で蘇る!小南光司主演「2025」上演決定

1972年から2012年までNHKで放送された学園ドラマ「中学生日記」が、昭和100年の節目となる2025年12月に舞台化決定。受験を控えた中学生たちの不器用ながら熱い青春を描いたオリジナル脚本で、主役を小南光司が務める。当時の悩みが令和にどう響くのか、若手からベテランまで総勢25名の俳優陣による熱演に注目が集まります。


【カウントダウン】あと2日!古舘伊知郎&友近「昭和100年スーパーソングブックショウ」いよいよ開催迫る!豪華ゲスト集結の東京国際フォーラムは「昭和愛」で熱狂へ!

【カウントダウン】あと2日!古舘伊知郎&友近「昭和100年スーパーソングブックショウ」いよいよ開催迫る!豪華ゲスト集結の東京国際フォーラムは「昭和愛」で熱狂へ!

開催直前!TOKYO MX開局30周年記念「昭和100年スーパーソングブックショウ」が10月16日に迫る。古舘伊知郎と友近がMC、豪華ゲストと共に贈る一夜限りの昭和ベストヒットに期待高まる!


消えた回転寿司チェーンの記憶──昭和・平成を彩ったあの店はいまどこに?

消えた回転寿司チェーンの記憶──昭和・平成を彩ったあの店はいまどこに?

昭和から平成にかけて、全国各地で親しまれていた回転寿司チェーンの数々。家族の外食、旅先の楽しみ、地元の定番──いつしか姿を消したあの寿司屋は、なぜ消え、どこへ行ったのか。本記事では、現在は閉店・消滅した地域密着型の回転寿司チェーンを、当時の特徴やSNSの証言とともに記録として振り返る。


レトロゲーム配信サービス「プロジェクトEGG」より『トラぶるCHASER 第1話』『3Dテニス』が配信スタート!!

レトロゲーム配信サービス「プロジェクトEGG」より『トラぶるCHASER 第1話』『3Dテニス』が配信スタート!!

レトロゲーム関連の復刻・配信ビジネスなどを行うD4エンタープライズが運営するレトロゲーム配信サービス「プロジェクトEGG」にて、新規コンテンツ『トラぶるCHASER 第1話 トラブルは空から未来から(PC-9801版)』『3Dテニス(MSX版)』の配信がスタートしました。


『オホーツクに消ゆ』と北海道紋別市がコラボ!ゲームに登場するシーンを使用したアクリルジオラマが「ふるさと納税返礼品」に!

『オホーツクに消ゆ』と北海道紋別市がコラボ!ゲームに登場するシーンを使用したアクリルジオラマが「ふるさと納税返礼品」に!

ジー・モードより、推理アドベンチャーゲーム『北海道連鎖殺人 オホーツクに消ゆ ~追憶の流氷・涙のニポポ人形~』の世界観を再現したオリジナルグッズが、北海道紋別市のふるさと納税返礼品として提供されます。


最新の投稿


プロレス界の歴史が動く今こそ読むべき一冊! 『ようこそ、プロレスの世界へ 棚橋弘至のプロレス観戦入門』2025年12月18日(木)発売!

プロレス界の歴史が動く今こそ読むべき一冊! 『ようこそ、プロレスの世界へ 棚橋弘至のプロレス観戦入門』2025年12月18日(木)発売!

新日本プロレスの“100年に一人の逸材”棚橋弘至氏による著書『ようこそ、プロレスの世界へ 棚橋弘至のプロレス観戦入門』が2025年12月18日にKADOKAWAより発売されます。引退が迫る棚橋氏が、26年の現役生活で培った視点から、プロレスの魅力、技の奥義、名勝負の裏側を徹底解説。ビギナーの素朴な疑問にも明快に答え、プロレス観戦をさらに面白くする「令和の観戦バイブル」です。


ウルトラふろく200点以上を一挙収録!『学年誌 ウルトラふろく大全』発売

ウルトラふろく200点以上を一挙収録!『学年誌 ウルトラふろく大全』発売

小学館クリエイティブは、ウルトラマンシリーズ60周年、『小学一年生』100周年の節目に『学年誌 ウルトラふろく大全』を11月28日に発売しました。『ウルトラQ』から『ウルトラマン80』までの学年誌・幼児誌のウルトラふろく200点以上を網羅的に掲載。組み立て済み写真や当時の記事も収録し、ふろく全盛時代の熱気を再現します。特典として、1970年の人気ふろく「ウルトラかいじゅう大パノラマ」を復刻し同梱。


伝説のプロレス団体 UWF40周年記念イベント“無限大記念日”開催!

伝説のプロレス団体 UWF40周年記念イベント“無限大記念日”開催!

伝説のプロレス団体『UWF(ユニバーサル・レスリング・フェデレーション)』が、設立40周年を記念し、特別イベント「無限大記念日」を書泉ブックタワー(東京・秋葉原)にて開催します(2025年12月24日~2026年1月12日)。第1次UWFの貴重な試合映像や控室、オフショットなど、4,000枚以上のアーカイブから厳選された写真が展示されます。復刻グッズや開催記念商品も販売され、当時の熱狂が蘇ります。


グラニフ×『幽☆遊☆白書』初コラボ実現!幽助、蔵馬、飛影など全21アイテム登場

グラニフ×『幽☆遊☆白書』初コラボ実現!幽助、蔵馬、飛影など全21アイテム登場

株式会社グラニフは、TVアニメ『幽☆遊☆白書』との初コラボレーションアイテム全21種類を、2025年12月2日(火)より国内店舗および公式オンラインストアで販売開始します。主人公の浦飯幽助をはじめ、桑原、蔵馬、飛影のメインキャラクターに加え、戸愚呂、コエンマなど欠かせないキャラクターをデザイン。11月26日より先行予約も開始され、ファン必見のラインナップです。


全長20cmの迫力!1/18スケール『国産名車コレクション』創刊

全長20cmの迫力!1/18スケール『国産名車コレクション』創刊

アシェット・コレクションズ・ジャパンは、隔週刊『1/18 エクストラスケール 国産名車コレクション』を2026年1月7日に創刊します。全長約20cm、1/18スケールのダイキャスト製で、日本の自動車史を彩る名車を精巧に再現。ボディラインやエンジンルーム、インパネなどの細部ディテールにこだわった「エクストラ」なコレクション体験を提供し、マガジンでは名車の開発秘話や技術を深掘りします。