1980年代最後に登場したおしゃれな中年色男のおとぎ話「愛と平成の色男」

1980年代最後に登場したおしゃれな中年色男のおとぎ話「愛と平成の色男」

「愛と平成の色男」は、1989年公開の日本映画です。昼はエリート歯科医で夜はジャズ・サックスプレイヤーという、2つの顔を持つプレイボーイの独身男と、彼を取り巻く5人の美女の関係を描いたラブコメディ。石田純一が本格的に映画に登場するようになった初主演作。監督・脚本が、1981年に「の・ようなもの」で長編映画監督デビューした森田芳光です。


これぞまさしくバブル時代の映画

石田純一が主演するカルトアーバン映画です。石田純一が演じるキザ男ぶりは、素直に笑えますよ。今になって改めて見てみると、意外にも昭和日本の臭いが色濃く刻まれているんです。美術・ファッション・カメラアングル・編集のテンポなど、どれもが森田印のクオリティ。今見ても、十分におしゃれに感じることができますね。

昼は歯医者、夜はサックスプレーヤーの不眠症男

昼は歯医者で夜はサックスプレーヤー、自由奔放に生きる長島道行は不眠症に悩んでいました。その不眠症を治すには、自分を寝かせてくれる素晴らしい女性と出会うことだと思い込んでいます。持ち前のトーク力とおしゃれな姿を駆使して、女性を口説いて惚れさせては飽きてしまって、また別の女性を口説く。この繰り返しで展開していきます。見る人によってかなり好き嫌いが別れそうな映画ですが、先入観を持たずに見れば結構笑えるし面白いですよ。

ギムレットを飲んで探偵に

色男である長島道行を演じる石田純一、決して上手い演技ではありませんが、ナチュラル過ぎない台詞回しがなかなかに心地よい。そもそも主人公長島のキャラクターは、石田純一自身を濃縮したような存在ですよね。次々と繰り出される、ジェームズボンド顔負けの色男然とした言動の数々…石田の喋りとお洒落な映像が決まれば決まるほど、本作独特の面白さが生み出されていく…

不眠症に悩まされる長島は、演奏が終わった後お気に入りのバーに行きます。そこでの会話が何ともシュール。バーテンダーが、「お久しぶりですね、何にします?」聞いた時の長島の答えが、「それが…分からないんですよ」だって。そこでバーテンダーがすすめたギムレットを飲んで、「だんだん飲みたいものが分かってきました」なんて。では何にしますかと聞かれて「同じものを」なんてのたまわれた長島氏。なんでもないシーンなのですが、なんかどす黒い笑いが込み上げてくるんですよねぇ。

そしてギムレットを3杯ほどのんで再び街に。そこで見かけたのが、知ってる顔が2人に飛び切りの美女が一人、そして知らない親父が一人。そこで何故か追いかける長島氏、「今日の僕は探偵だ」といってタクシーに乗り込みます。そこで言ったのが「あのタクシー追っかけくれ」といって、運転手の返事は「がってんでぃ‼」。ここは江戸時代かって、笑いながら突っ込みたくなります。「愛と平成の色男」では、こんな「クスッ」てくるシーンがふんだんに出てくるんですよ。

石田を支える個性的な脇役陣

「愛と平成の色男」では、共演する女優陣もそれぞれが魅力的です。石田純一に振り回されるようなノー天気な女性ではなくて、それぞれが自立した1人の人間として描かれているので、見ていて全く嫌な感じはないんです。

鈴木保奈美が演じるのが、長島の妹である長島ルリ子。兄と一緒に歯科医院で働きながら、兄の交際相手達と別れるお手伝いをしています。その報酬として、高級指輪をゲットしているんですよ。

財前直見が演じるのが昼は画廊勤務で、夜はクラブのホステスの藤木由加。そして由加のホステス同僚で、昼は婦人警官をしている野立百合を武田久美子が演じます。物語の最初の恋人として始めに登場するのが倉田真理を演じる久保京子。更に物語中の最後の恋人になるのが、三陸地方のジャズ・セッションで長島と知り合い上京した、坂木恵子を演じる鈴木京香でした。

そしてもう一人、長島の友人であり同業の歯科医である神山三夫を演じる桂三木助もいい味だしているんですよね。

意味不明なシーンも

ひたすらカッコつけるだけでなく、「愛と平成の色男」では普通に笑える妙なシーンがたくさんあるのも特徴ですね。由加のマンションに行った際、部屋が暗いので深夜のコンビニに電球を買いに向かう長島。それも、彼女を驚かすために謎に全力疾走で…。更には、何故かコンビニでは電球が冷蔵庫の中にあって、ビールと一緒に冷やされているんですよね…これも意味不明です。妹が住むマンションの部屋もとても興味深いですし、恵子が都内に引っ越した和風の家具と無機質な要素が入り混じった部屋も何とも面白く思わず見入ってしまいます。

グアムにヘリコプターで?

そして物語の結末は、一緒に住むと言い出した恵子から逃れるために、仕事の都合でバングラデシュに移住すると嘘をついて、兄妹そろってグアムに旅行に行くというなんともあさはかなオチ。

この恵子との掛け合いの際も、バングラデシュにボランティアに行くと言い、心の中の言葉として「これで私も付いていくなんて言わないだろう」って。そしたら恵子が発した言葉が「私も付いていく」だって。これまた、なんとも微妙なおかしさが込み上げてくるんですよね。

バングラデシュなんて嘘も意味不明なのですが、グアムに行くのになんでヘリコプター?なにか特別な意図があったのでしょうかねぇ。最後に妹が、ずらっとそろった指輪の箱を開いて、本命はだれだっただれだったのか聞くのですが、長島が言ったのは「言わぬが花」、そこで物語は終了します。

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