100年前のパンデミック!スペイン風邪流行期間や収束の理由

100年前のパンデミック!スペイン風邪流行期間や収束の理由

世界的に流行し、なかなか終息しない新型コロナウイルス(COVID-19)。いつになったら収束するのか気になるところですよね。約100年前にも「スペイン風邪」と呼ばれるパンデミックが起きているので、収束のヒントになるかもしれません。今回はスペイン風邪の流行期間や収束の理由について考察してみます。


スペイン風邪とは?

スペイン風邪とはどんなウイルスだったのでしょうか?
スペイン風邪とは、H1N1の亜型インフルエンザの通称です。

アメリカ疾病予防管理センター(CDC)によるインフルエンザ・パンデミック重度指数(PSI)においては最上位のカテゴリー5に分類されていました。

発生年:1918年
終息年:1920年
確定症例数:5億人
死者数:5千万~1億人以上

1億人以上の死者を出しだと言われ、世界中で猛威をふるいました。

日本の被害

世界的に大流行したスペイン風邪ですが、我が国日本ではどのような被害をもたらしたのでしょうか?

日本でスペイン風邪が初めて確認されたのは、1918年です。
当時日本の統治中だった台湾に巡業した力士団のうち3人の力士が、肺炎等によって死亡した事が端緒となりました。

最初に力士に発生したことから、「相撲風邪」や「力士風邪」とも呼ばれています。

同年5月には横須賀軍港に停泊中の軍艦に患者が発生し、横須賀市内や横浜市へと広がりを見せます。

同年10月には大流行が始まり、「スパニッシュ・インフルエンザ」が世界各地で大流行していることが、日本でも報じられていました。1919年3月には一旦落ち着いたものの、これは第一波だったのです。

その後1919年12月~1920年3月かけてに第二波が流行し、1920年12月~1921年3月にかけて第三波が流行しました。

当時の日本の人口5500万人に対して、およそ43%の2380万人が罹患し、死者は39万人とされています。

致死率は1.63%と高く多くの著名人も犠牲になり、大山捨松さん(会津藩元家老山川大蔵の妹)、竹田宮恒久王、徳大寺実則さん、辰野金吾さんらが亡くなってしまいました。

世界の被害

現代と違って、多くの人の行き来が無かった時代に、なぜスペイン風邪は世界に拡がってしまったのでしょうか。

スペイン風邪は実はアメリカで発生しています。
1918年の春、アメリカ・カンザス州にあるファンストン陸軍基地の兵営からだとされていました。

1918年当時は第一次世界大戦の真っ最中で、ドイツ帝国は無制限潜水艦作戦によって中立国だったアメリカの商船を撃沈してしまいました。

このことがきっかけでアメリカは参戦をすることになり、ヨーロッパに大規模な派遣軍を送ることになったのです。

アメリカの参戦によって、スペイン風邪は世界各地にばら撒かれることになってしまったのでした。

当時は船による人の移動によって、軍隊が駐屯する都市や農村に拡がっていくことになります。
そしてやがてはその地に住む人々に拡がっていったのでした。

なぜアメリカで発生したのに、スペイン風邪と呼ばれているかというと、ヨーロッパにおいて当時スペインが数少ない中立国だったためです。

戦時報道管制外だったため、このウイルスの発生はスペインから世界に拡散されていったのでした。
今だったらそんな誤解によって、スペイン人が世界中で差別されてしまいそうですが、情報を伝えてくれたスペインに感謝ですね。

収束の理由

世界各地で猛威をふるったスペイン風邪は2年ほどで収束しています。
その理由とはなんだったのでしょうか?

当時の対策も今とほぼ一緒ですね。
患者の隔離、手洗い、うがい、防毒、移動の制限ということで、決定的な手立てがあった訳ではありませんでした。

ではなぜ2年で収束したかというと、多くの人が感染したために集団免疫を獲得したという説が有効な様です。

インフルエンザは感染すると、不活性ワクチンより質の高い中和抗体が作られることがわかっています。

そのため多くの人がスペイン風邪に感染して、中和抗体ができたことが収束の理由の1つではないかと考えられていました。

もう一つはウイルスの弱毒化にあるのではないかと言われています。

人間の社会に定着していない新型のウイルスは、短期間で強毒化することもわかっています。
ただ宿主である人間だけではなく、ウイルスにとっても死に至るほどの強毒性のウイルスは種族の保存にとって有利ではなかったようです。

出来るだけ長く感染して、次の感染に乗り移ることが出来るように変異していく方がウイルスにとっても存続しやすいということになりますね。

変異して弱毒化したスペイン風邪は、他の弱毒ウイルスと交じり合い、通常の季節性インフルエンザウイルスによって感染の場を奪われたために急速に勢力が弱まっていった…と考えられています。

まとめ

今回は「100年前のパンデミック!スペイン風邪流行期間や収束の理由」についてご紹介しました。スペイン風邪収束の理由は、主に集団免疫の獲得と変異によるウイルスの弱毒化ではないかと考えられていました。

長く続いたコロナ渦も、そろそろ収束することを期待したいです!

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