二世俳優の出演が話題に
『青が散る』の舞台は、新設された武蔵野学院大学。その一期生となった主人公、椎名燎平が、憧れのヒロインとテニス部の活動に夢中になる中、周囲で起こる衝撃的な出来事に翻弄され、心が揺れ動いていく。。。そんな青春の初々しさと悲喜こもごもの物語のあるドラマです。
二世俳優のキャスティングは、放送開始前から話題になりました。今回紹介する二世俳優の石黒賢、二谷友里恵、佐藤浩市、利重剛、清水善三は、皆、武蔵野学院大学の一期生(同級生)を演じています。
石黒賢 ... 椎名燎平
二谷友里恵 ... 佐野夏子
佐藤浩市 ... 金子慎一
利重剛 ... 和泉達雄
清水善三 ... 安斉克巳
石黒賢
石黒賢にとっては、本ドラマが俳優としてのデビュー作です。
『青が散る』では、主人公の「椎名燎平」を演じました。金子慎一と一緒に作ったテニス部で、大学4年間をテニスに捧げます。同級生の佐野夏子に一目惚れしますが、なかなか本心をはっきりと言えない燎平。そんな中、別の男に夏子を奪われる苦い経験をします。最終回では、ずっと燎平のことが好きだったのに見合い結婚をした星野祐子(演:川上麻衣子)と再会。二人は一時だけ結ばれます。そして、燎平は最後に「周りは皆何かを失ったのに、自分だけは何も失わなかった」という思いに至ります。
父はプロテニスプレイヤー
石黒賢の父は、プロテニスプレイヤーの石黒修。戦後初のプロ選手で、自ら日本プロテニス協会を設立し、初代理事長に就任した張本人です。現役時代には、ウィンブルドンに6年連続で出場した実績があります。息子のデビュー前には、ロッテのクイッククエンチのテレビCMに出ていたので、「あの人の息子か!」と思った人もいるでしょう。
ドラマ出演のきっかけは、あるプロダクションの社長から父親宛にあった相談。「テニスのできる青年を探している。新人俳優として抜擢したい。誰かいい人はいないか?」と相談され、息子に声をかけたのが最初です。テニスができることが条件だったため、親子でテニスのラリーを見せたところ、即、俳優としての採用が決まりました。
現在も人気俳優として活躍
現在は、俳優として第一線で活躍する傍ら、イシグロ・ケンの名で児童文学の翻訳家としても活躍しています。

石黒賢 - プロデューサーKⅣ
石黒賢オフィシャルサイト
二谷友里恵
二谷友里恵にとっても、本作が女優としてのデビュー作です。
『青が散る』では、横浜の洋菓子店を経営する家の娘「佐野夏子」を演じました。マイペースな性格で、周りを翻弄し、特に燎平を振り回し続けます。燎平とは、恋愛関係の一歩手前で、付かず離れずの微妙な関係が続きます。しかし、御曹司の吉岡に騙されて駆け落ちし、いろんな意味で大事なものを失うことに。結局、燎平との関係もギクシャクしてしまいます。
両親は有名俳優
二谷友里恵の両親は、言わずと知れた二谷英明・白川由美夫妻。ドラマデビューの前年には、資生堂エクボシリーズのCMで父親の二谷英明と共演していました。また、母親の白川由美とは、TBSドラマ『家族ゲームII』、NHKの連続テレビ小説『はね駒』で共演を果たしています。
現在はトライグループの社長
1987年、郷ひろみとの結婚を機に女優業を引退。自らファッションブランドを立ち上げ、実業家としての活動を始めます。2000年に家庭教師のトライ創業者の平田修と再婚し、2005年より、運営会社「トライグループ」の代表取締役社長を務めています。

二谷友里恵 - 百年プリント
《公式》家庭教師のトライ|苦手科目克服から大学・高校・中学受験の対策まで対応|家庭教師のトライ
佐藤浩市
佐藤浩市は、1980年、NHKドラマ『続・続 事件 月の景色』で主演デビュー。翌年には、映画『青春の門』でブルーリボン賞新人賞受賞するなど、デビュー直後から活躍を見せていました。
『青が散る』では、大学生活をテニス一筋にかける「金子慎一」を演じました。テニス部の創設メンバーで、学長に部活動のカンパをお願いしたり、燎平と二人でテニスコートを作ったり、テニス漬けの日々を送ります。星野祐子に心を寄せますが、祐子の好きなのは燎平、燎平が好きなのは夏子、という複雑な関係に翻弄されます。
父は有名俳優
佐藤浩市の父は、言わずと知れた名優、三國連太郎。三國が離婚で家を出て母に育てられた経緯から、親子の間には確執があり、映画『美味しんぼ』では、その関係をそのまま反映するかのような対決構造が描かれました。しかし、その後徐々に関係は改善され、2008年のANAのCMでは親子共演を果たしています。
現在も人気俳優として活躍
現在も、第一線の人気俳優として、活躍し続けています。2015年には、ドラマ『ハッピー・リタイアメント』で、石黒賢と共演を果たしました。

佐藤浩市 - 石つぶて
テアトル・ド・ポッシュ | 佐藤浩市
利重剛
利重剛は、1981年、TBSの金曜ドラマ『父母の誤算』で俳優デビュー。同年、『近頃なぜかチャールストン』のプロットを岡本喜八に持ち込み、自ら主演、脚本で映画化した経験もあります。
『青が散る』では、映画の自主制作に明け暮れ、何をしても中途半端な「和泉達雄」を演じました。映画監督としても、ガリバーのマネージャーとしても、ルームシェアから恋愛関係になった二宮耀子(演:浜尾朱美)の恋人ととしても、何をしても中途半端。しかし、その性格は人間味に溢れ、仲間たちから慕われます。
利重はこの役柄と同様、実世界でも映画監督になっています。
母は有名脚本家
利重剛の母は、脚本家の小山内美江子。TBSドラマ『3年B組金八先生』、NHK大河ドラマ『徳川家康』『翔ぶが如く』などが代表作です。金八先生の脚本執筆の裏では、当時学生だった利重が母の相談にのったり、友人を集めて話し合いの場を設けたりしたのは有名な話です。また、『徳川家康』、『3年B組金八先生第6シリーズ』には、利重自身が俳優として出演しています。
現在も映画監督、俳優として活躍
その後、映画監督、俳優として活躍。自身の監督作品では、1996年には『BeRLiN』で日本映画監督協会新人賞を受賞、2001年には『クロエ』がベルリン映画祭に出品されています。現在は、映画『シン・ウルトラマン』、テレビドラマ『アバランチ』など、主に俳優として活躍しています。

利重剛監督作品 - さよならドビュッシー
利重剛ウェブサイト「利重人格」
清水善三
清水善三は、1981年、映画『なんとなく、クリスタル』で俳優デビュー。『欽ちゃんの週刊欽曜日』にもレギュラー出演し、欽ちゃんバンドではエレキギターを弾いていました。
『青が散る』では、高校時代にテニスの名選手だった「安斉克巳」を演じました。安西は、急性骨髄性白血病を患い、余命5年の宣告を受けたためテニスを諦めます。しかし、燎平、金子らに元気づけられ、再び大学で挑戦することに。最後は、自ら命を絶つという衝撃の結末を迎えます。
祖父は有名テニスプレイヤー
清水善三の祖父は、テニスプレイヤーの清水善造。日本テニス界黎明期の大正時代に活躍した名選手です。日本初のウィンブルドン出場者で、1920年にはベスト4まで進出しました。また、1922年の全米選手権ではベスト8まで進んでいます。これは、2014年に錦織圭が準優勝するまで、92年間も破られなかった記録です。
現在はテニスコーチに
清水善三は、その後、俳優業を引退し、現在は、愛媛県新居浜市にある「新居浜インドアテニスクラブ」でコーチを務めています。公式サイトには、現在の写真が載っています。
清水コーチ | 楽しいテニスをはじめるなら新居浜のテニススクール|新居浜インドアテニスクラブ
他にも有名俳優がたくさん
『青が散る』の二世俳優特集、いかがでしたでしょうか。
二世俳優ではありませんが、実は他にも、後々人気となる俳優が多数出演しています。
同じく一期生の星野祐子を演じた川上麻衣子、貝谷朝海を演じた遠藤憲一、応援団長の端山を演じた村田雄浩、和泉の恋人の二宮耀子を演じ、後にキャスターになった浜尾朱美。。。
今、ドラマを視聴すれば、「この人も出ていたのか!」と多くの発見があるかもしれません。現在、公式に提供されている映像はなく、今後の映像ソフト化に期待したいところです。

宮本輝『青が散る』