昔の日本はトラが飼えたのか?

まずは、1970年代の日本では猛獣の飼育が可能だったのか?またいつまで可能だったのか?など個人の猛獣飼育について調べてみました。
なんと2020年6月に法改正が行われるまでは、特定動物飼養・保管許可(いわゆる猛獣許可証)の申請をすれば飼育が可能だったそうです!
ごく最近までOKだったとは、ちょっとビックリしました…。
昔は個人経営のドライブインでクマを飼っていたり、狐を飼っている家もありましたけど、トラはさすがに聞いたことがなかったです。
ちなみに法改正で、飼育できなくなった動物(食肉目)のリストはこちらです。↓
最新事情!ライオンやトラ、熊などの猛獣って個人で飼えるの? | ペットの健康Guide
トラが入っていない!と思いましたが、実はトラはヒョウ族に属しているため、ヒョウ族さんの一員として飼えなくなりました。
ハイエナ科全種も気になります…。
ペットとして、ハイエナはなかなか思いつかないですよね。
トラ脱走事件とは?

ではトラ脱走事件とは、どんな事件だったのか?概要についてご紹介します。
発生年:1979年8月
場所:千葉県君津市
事件の概要:千葉県君津市にある神野寺(じんやじ)の当時の住職は動物好きで、なんとトラを12頭飼っていました。
そのほかにクマなども飼っていて、地元住民から人気を集めていたのだそうです。
事件は1979年8月2日夜に起きました。
檻の鍵が外れていて、12頭のトラの内、3頭がいなくなっていることに飼育係が気づきます。
そして警察に通報しました。
その内1頭はすぐに発見されましたが、1歳のオスとメスの2頭が見つからず…。
警察や猟友会、消防団らのべ7700人を動員しての大捜索が行われることになったのです。
2頭のトラはどうなった?
逃げ出した2頭のトラはどうなったのでしょうか?
1歳といえば、トラの中ではまだ子供です。
でも体調1.5メートル、体重100キロの2頭のトラの脱走は人々を恐怖にどん底に突き落としました。
周辺住民80世帯(240人)に外出禁止令が出される中、
そしてまずメスは2日後の4日朝に発見!その場で射殺されてしまったのです。
【戦後70年 千葉の出来事】君津神野寺・トラ脱走 住民、1カ月間「恐怖の夏」 - 産経ニュース
この射殺には動物愛護団体を中心に批判が集まり、猟友会のメンバーには苦情が殺到しました。
あろうことか住職までオスのトラは「生け捕りにしてほしい」という要望が出たのです。
世論を考えれば生け捕りにするべきか?捜査方針が曖昧なまま、捜査が中断してしまいました。
そしてトラが見つからないまま、捜索中断してから2週間半が経過した頃、ある事件が起きたのです。
8月28日、飼い犬が襲われて食い殺されてしまったのでした…。
この事件が起きたことで、いつ住民に被害が及ぶかもしれないという意見が出され、再び捜索が開始されたのです。
同日午後。
トラの足跡を見つけた猟友会のメンバーが追跡したところ、オスのトラを発見し遂に射殺に成功したのでした。
事件のその後

その他のトラはどうなったのでしょうか?
「トラの檻には鍵がかかっていた」と主張した住職でしたが、警察の調べで鍵はかかっていなかった事がわかりました。
住職は残りのトラを、北海道の動物園に委託しトラの飼育を辞めています。
当時の条例では、住職を罪に問えないために住職への行政処分はありませんでした。
ただこの事件をきっかけに、全国で条例が整備されることなったのです。
命の危険がありながら、捜索に当たってくださった警察や消防団、猟友会の皆さんには本当に頭が下がりますよね。
猟友会への苦情は的外れです。
でもトラにはなんの責任もなく、射殺されてしまったトラと被害にあった犬は本当に可哀そうですよね。
飼い犬が殺されてしまった飼い主の方も気の毒です。
動物を飼うときは、責任をもって適切な飼育をすることが何より大切ですね!