デスティニーズ・チャイルドとは

デスティニーズ・チャイルド(英:Destiny's Child)はビヨンセ・ノウルズ、ケリー・ローランド、ミシェル・ウィリアムズからなる女性ボーカルグループです。日本でも「デスチャ」の愛称で親しまれ、90年代後期から2000年代初頭にかけて活躍したポップ・R&B。デビュー以来、約3000万枚以上ものアルバムセールスを誇り、世界中でデスチャブームを巻き起こしました。
デビュー当時は4人組だった

実はデスティニーズ・チャイルド、結成当初は4人組でありオリジナルメンバーはテキサス州ヒューストン出身の幼なじみ「ビヨンセ」「ケリー」「ラトーヤ」「ラターヴィア」です。同メンバーでレコード契約を結び、1997年にシングル「ノー、ノー、ノー パート2」で待望のCDデビューを果たしました。
しかし当時は世界的スーパースター「ブリトニー・スピアーズ」の全盛期。またバックストリート・ボーイズやインシンク、クリスティーナ・アギレラなどアイドル黄金期でもありました。そしてデスティニーズ・チャイルドと同じR&Bシーンの頂点には「TLC」というスーパーグループが君臨していたことから、デビュー当初のデスチャは、そんなトップアーティストたちの前座を務めるなど下積み時代を経験。それでも時代を先取りした良質な楽曲と圧倒的な歌唱力で着実にセールスを伸ばしていきます。

1999年に発売された2ndアルバム『ライティングズ・オン・ザ・ウォール』の全世界売り上げは1000万枚以上。まさに成功への階段を駆け上がっている最中、以前よりマネージャーに対し待遇面での不満を募らせていたというラトーヤとラターヴィアが脱退します。
『ライティングズ・オン・ザ・ウォール』からの大ヒット曲「セイ・マイ・ネーム」はオリジナルメンバーで録音されましたが、ミュージック・ビデオにはラトーヤとラダーヴィアに代わり新メンバーとなったミシェル・ウィリアムズとファラ・フランクリンがいきなり登場しています。しかしその後すぐにファラは解雇となったため、ある意味レアな4ショットといえるのではないでしょうか。こうしてビヨンセ、ケリー、ミシェルという3人編成の新生デスティニーズ・チャイルドが完成したのです。
ターニングポイントはアルバム『サヴァイヴァー』!

そんな新生デスティニーズ・チャイルドを待ち受けていたのは更なる成功への道でした。3人編成となったデスチャが最初に巡り合った楽曲、それが映画『チャーリーズ・エンジェル』の主題歌で全米ビルボード・チャート11週連続1位を獲得した「インディペンデント・ウーマンPart1」。同曲は映画の大ヒットと共にデスティニーズ・チャイルドの存在を世界中に知らしめ、彼女たちの成功を大いに後押ししました。
続く「サヴァイヴァー」(2001年)が400万枚以上の売り上げを記録すると、これら大ヒットシングルが収録された同名アルバム『サヴァイヴァー』はグループ初のアルバムチャート全米1位に輝いたほか、世界14ヵ国で第1位を獲得。こうしてデスティニーズ・チャイルドは名実ともに大成功を収めたスーパーグループへと成長していくのです。
日本でもデスチャ人気はかなりのもので、来日公演やプロモーション活動でも大いに沸かせ、バラエティー番組などにも気さくに出演していましたよね。特に当時大人気だった「ゴリエ」との共演はとても印象的でした。
人気絶頂期に突然の解散!

しかし頂点を極めたデスティニーズ・チャイルドは一定期間の活動休止を発表。以降、3年間はそれぞれがソロ活動をスタートさせていきます。2002年、ケリーとラッパーのネリーがコラボレーションしたシングル「ジレンマ」が世界中で爆発的な大ヒットを記録。同曲は第45回グラミー賞のラップ部門で最優秀ラップ・コラボレーション賞を獲得するなど高い評価を受けました。
2003年にはビヨンセがラッパーのジェイ・Zをフューチャーしたファースト・シングル「クレイジー・イン・ラブ」をリリース。同曲も世界中で大ヒットを記録し、一大ムーブメントを巻き起こしたほか、同年ミシェルもミュージカル『アイーダ』でブロードウェイ・デビューを果たし、舞台女優としてのキャリアを歩み始めます。
もしかするとこのソロ活動期での成功がその後のデスティニーズ・チャイルドを運命づけたのかもしれません。2004年には先行シングル「ルーズ・マイ・ブレス」をヒットさせ、アルバムの発売、ワールドツアー「デスティニー・フルフィルド…アンド・アイ・ラヴィン・イット」を展開しデスチャの復活をアピールしましたが、同ツアー中となる2005年6月に突然解散を発表しました。そして同年9月10日のカナダ・バンクーバー公演を最後に、デスティニーズ・チャイルドは人気絶頂の中、解散しました。明確な解散理由は発表されていませんが、それぞれがソロ活動に力を注いでいきたいタイミングだったとされています。
ビヨンセの今!

ビヨンセことビヨンセ・ノウルズ(Beyoncé Knowles)は、デスティニーズ・チャイルド解散後も勢いそのままに、むしろ加速するばかり。これまでに発売した全てのアルバムが初登場1位を記録した史上初の女性アーティストであり、グラミー賞においても女性アーティストでは史上最多の受賞記録を持つスーパースターとなりました。ソロになってからのCD売り上げは全世界で1億枚以上!また彼女の活躍は音楽業界にとどまらず、2006年に公開されたミュージカル映画『ドリームガールズ』ではダイアナ・ロスをモデルにした主人公ディーナ・ジョーンズを好演し、女優としても高い評価を得ました。
私生活では、長年の恋人であり「クレイジー・イン・ラブ」でも共演したラッパー兼音楽プロデューサーのジェイ・Zと2008年に結婚し2012年に長女、2017年には双子を出産。今やビヨンセ一家は「黒人社会のロイヤルファミリー」と称されるほど注目度が高く、アメリカエンターテイメント界を代表するセレブリティです。日本では「和製ビヨンセ」こと渡辺直美さんのパフォーマンスでもお馴染みですよね。
ケリーの今!

ケリー・ローランド(Kelly Rowland)は、デスティニーズ・チャイルド解散後もデスチャで得た名声や「ジレンマ」への客演参加によって広がった活動の幅を活かし、ソロアーティストとして次々とヒットシングルを生み出していきます。まず2007年に発売された2ndアルバム『ミス・ケリー』からシングルカットされた「ゲットー」「ワーク」がヨーロッパ諸国で人気を博すと、2009年には「デイライト」がイタリアを中心に大ヒット。これをきっかけにヨーロッパのダンス市場へ本格参入を果たし、その後もクラブヒットを連発したことで「エレクトロ・ハウスの新ディーヴァ」と称されるなど、ケリーの新たなイメージをプラスすることに成功しました。
私生活では、2014年にマネージャーの男性と結婚。同年11月には長男を、2021年には次男を出産しています。
ミシェルの今!

ミシェル・ウィリアムズ(Michelle Williams)は、デスティニーズ・チャイルド解散後もソロアーティストとしてアルバムをリリースする一方で舞台女優としても知られています。またテレビドラマや映画にも出演するなど、ビヨンセやケリーとは異なる路線を歩んでいる模様。2014年には「Say Yes」という楽曲で久々に2人と音楽的なコラボレーションを行ない大きな話題となりました。近年はうつ病を告白し、著書「Checking In: How Getting Real About Depression Saved My Life And Can Save Yours」を出版しています。
再結成の噂

これまでデスティニーズ・チャイルド解散後も3人が揃う機会は何度もありましたが、それはいずれも1日限りの再結成に過ぎませんでした。しかし2019年、正式な発表ではないもののスパイス・ガールズの再結成ツアーに刺激を受けたビヨンセとケリーとミシェルは、3人体制になって20周年となる2020年に向けて再結成の計画を立て始めていると関係者が証言したのです。
一気にその可能性が現実味をおびてきた最中、予想もしていなかったコロナ禍へと突入したことで、その噂が実現することはありませんでした。もはや計画は白紙に戻されたかと思いきや2021年に入り新たな動きが!突如グループの公式SNSのロゴが更新されたことで、再び彼女たちの動向に注目が集まっています。いつの日か噂が本物となり、デスチャパワーで世界中を元気にしてもらいたいですね。