首なし娘事件の概要

首なし娘事件は別名「陰獣事件」とも呼ばれていました。
当時の新聞が、事件の犯人のことを江戸川乱歩の小説「陰獣」になぞらえて「陰獣」と呼んだからです。
犯人はなぜ19歳の女性を殺して遺体を損壊したのか?
事件の概要についてご紹介します。
被害者のMさんは、製菓業を営む両親のもとに次女として生まれ、とてもおとなしい性格であったようです。
そして花嫁修業の一環として、裁縫教室に通っていました。
その裁縫教室の師である女性の夫が犯人の増渕倉吉だったのです。
当時増渕は44歳でMさんは19歳。
親子ほど年齢が離れていましたが、増渕の妻が入院するとMさんは献身的に見舞いに訪れ、倉渕とも親しくなっていったのでした。
昭和6年秋に妻が他界すると、増渕は仕事を探しに東京に向かいます。
倉渕はなかなか仕事を見つける事が出来ずにいましたが、やっと就職することが出来ました。
ただ内向的な性格が災いし、再び職を失ってしまったのです。
絶望した倉渕は名古屋に戻ることにしました。
名古屋に戻った倉渕はMさんを旅館に呼び出し、昼夜を問わずに情事にふけったのです。
そして…Mさんの首を絞めて殺害してしまったのでした。
その後の倉渕の常軌を逸した行動とは?

遺体を発見したのは鶏糞小屋の持ち主の長男でした。
小屋の隅に大きな物を発見し、かかっていたむしろを向くとメリンス(毛織物の一種)を着た女性の遺体があり、仰天し警察署に駆け込んだのです。
駆け付けた警察官は遺体を調べようとしましたが、あまりにも酷い姿に警察官ですらまともに見る事が出来ない状態でした。
首が刃物で切り取られ、頭部は見つからず、上半身は内臓が飛び出るほどズタズタに切り裂かれ、乳房が切り取られています。
下半身も原型をとどめないほど、ズタズタに引き裂かれていました…。
言葉にするとアッサリしていますが、発見者も警察もかなり恐ろしかった事でしょう…。
遺体の近くには遺体の損壊に使われたと思われる出刃包丁が落ちていて、奇妙なことに数珠が巻かれていました。
また遺体の近くには、倉渕に充てたMさんのラブレターが落ちていたのです。
また倉渕の家に行くMさんがよく目撃されていたという証言もあり、警察は倉渕をMさん殺害の容疑者として、指名手配しました。
発見された仰天の犯人
事件の発覚から3日後に、木曽川の岩場の水たまりで女性の生首が発見されました。
生首だけでも衝撃的ですが、なんと頭皮が髪ごと剥がされていて…頭蓋骨や歯も剥き出しというあまりにも悲惨な状態だったのです。
警察の調査の結果、被害者のMさんの頭部であることが確認されましたが、顔はおろか性別もわからない程にズタズタに引き裂かれていました。
その後2週間後に、事件は急展開を迎えます。
船乗り業を営む男性から「建物の中で誰かが首を釣っている」という通報があったのでした。
この遺体は、黒い服にコートを羽織る男性の物でしたが、頭からは長い髪が垂れていて、それはそれは異様な姿だったのです…。
この髪は男性の物ではなく、女性の頭部から皮ごと剥ぎ取った物でした。
そうこの男性の遺体は犯人の倉渕で、頭皮は被害者のMさんの物だったのです…。
首なし娘事件の詳細!犯人の増淵倉吉の自殺現場・被害者の遺体の状況・その後も徹底解説
この建物は倉渕が使っていた物で、内部には他にMさんの遺体から切り分けた身体の一部が置かれていたという事です。
乳房や局部などを切り取っていた事から、Mさんへの強い執着が伺えますね。
犯人が亡くなっていた事から、2人の間に何があったのかはわかりません。
ただ倉渕のコートのポケットからは「娘さんと駆け落ちします」というMさんの両親に充てた手紙が入っていたので、最初から殺すつもりではなかったのかもしれません。
Mさんが書いたラブレターが出てきたことから、2人は愛しあう関係だったと推察されますが、夢や将来に溢れた19歳の女性が辿るには、あまりにも酷な結末になってしまいました。
Mさんを手塩にかけて育てた両親にも到底受け入れがたい事件です。
【1話無料】血みどろ昭和事件~監禁・拷問・虐待~ | 漫画なら、めちゃコミック
この事件については「愛の惨劇~首なし娘事件~」としてマンガにも描かれています。
倉渕には生い立ちなど同情すべき点もあり、悲しい結末となっています。
昭和に起きた愛の惨劇として、昭和にあったとても有名な事件をご紹介しました。