日本でも大人気、何度も再放送でお馴染みになったコンバット

日本でも大人気、何度も再放送でお馴染みになったコンバット

コンバットは、アメリカのABCで放送されたテレビドラマです。1962年から1967年まで放送されました。第二次世界大戦下が部隊となり、アメリカ陸軍の歩兵連隊に属する、ある分隊の活躍が描かれています。日本でも、吹替え版で全152本が放送されました。1960年代を代表する海外ドラマで、現在でも未だに知名度が高いドラマになっています。


ドラマ・コンバットの概要

コンバットの舞台となっているのは、第二次世界大戦末期のフランスです。ドラマは、サンダース軍曹を中心とした歩兵達の活躍を1話完結にして作られたヒューマンドラマ。サンダース軍曹の分隊は、ヘンリー少尉が率いる第2小隊に属していて、厳しい任務をこなしていきます。

実はコンバットは、ただの戦争をメインするだけのドラマではないんです。なので、あえてヒューマンドラマと言う表現をしたのですが、物語の主題となっているのが軍事ではなく、戦争を通した人間模様を描くことにあるからなんです。このため、戦争という事象は舞台に過ぎず、第1話のノルマンディー上陸作戦以外は、特別に戦争の展開と物語が関係していません。

史実の具体的な内容はコンバットのストーリーに反映されず、1944年6月6日に決行されたノルマンディー上陸作戦から物語はスタートするのですが、後の話は第二次世界大戦末期の西部戦線(フランス)が舞台というだけで、作戦や戦線はすべて架空の設定で進行していきます。

各エピソードには、心理的葛藤などが題材として取り上げられ、テーマが毎回設けられていたそうです。テレビドラマがカラー化になることで製作費が高騰して、5年目で打ち切られたのですが、最終回というものは存在しませんし、終戦までは描かれませんでした。ただ、打ち切りが決定してからの作品の中には、ゲストなどのセリフで終戦が近いような発言もする場面も見られました。

敵役のドイツ兵についても、ただの悪役にはなっておらず、アメリカ兵と同じ人間として描かれています。戦場が舞台の物語ですので、戦闘アクションシーンも多いのですが、人間の内面を描くドラマという意味で、全くアクションのない時のもありました。兵士個人の視線で描かれた、戦争とは何か・人間とは何かなどといった深いテーマを扱っているドラマだったのです。

ヘンリー少尉

ヘンリー少尉はRick Jasonが演じる若き新任の少尉です。声優は納谷悟朗が担当していました。第1回のノルマンディー上陸前までは、とても明るい性格でしたが、責任ある少尉になってからは、控えめで落ち着いた雰囲気になりました。実戦経験の少なさを感じさず、兵士たちの模範的存在となっています。

ヘンリー少尉は第1話からの登場になりますが、ここでは2等曹長で、従軍章も付けていませんでした。なので、ノルマンディー上陸作戦が初陣だったようですね。この戦闘において元の小隊長が戦死し、後を継いだヘンリー少尉が活躍したため勲章を受け少尉に昇進しました。

下士官時代に同僚だったサンダースとは、非常に親しい友人でした。しかしこの昇進がきっかけになって、指揮官と部下との距離を置くようになったようです。それでもサンダースは彼の右腕で、小隊のなかで最も頼りにしていました。

サンダース軍曹

サンダース軍曹は、Vic Morrowが演じる経験豊富なベテラン兵士で、声優は田中信夫さんが担当しています。情け容赦のない鬼軍曹で、自分にも他人にも厳しい性格です。常にベストを尽くすことを、自分だけでなく部隊の兵士にも求めます。それができない者には怒りや軽蔑の態度を見せることもありました。それが、戦場で生き抜くために必要だったからです。

戦場を重ねていく上で、強い責任感を持つようになります。自分の指揮下で亡くなった部下が出ると、自分の責任であると自らを責めるという、生まれながらのリーダー的な存在なのですが、職業軍人は余り好まなかったようです。


サンダースの経歴は、1942年初旬に志願して入隊したことから始まります。基礎訓練の後、そのリーダーシップから伍長に昇進。1943年に北アフリカ戦線のアルジェに赴任しますが、酒のトラブルによって懲戒処分を受け、二等兵にまで降格されます。その後、イタリア戦線に転入されて活躍。サン・ピエトロの戦いにおいては、すでに伍長に戻っていましたが、戦死した分隊長の代理を務め、自身も重傷を負いながら任務をやり遂げます。この活躍により名誉戦傷章を受け、怪我の回復のためにイギリスで数ヶ月間の養生をしていました。そして回復後、ノルマンディー上陸作戦の準備中だった第361歩兵連隊に編入されたのところから、記念すべきコンバットの第1回が始まります。この時点で軍曹に昇進しており、キング中隊第2小隊で分隊長を命じられていました。

サンダース軍曹は、ヘルメットに迷彩布を付けているのが特徴。しかし、第1回目の放送では普通のヘルメットで、2回目から迷彩布になっています。戦闘では単独で敵の側面に回り込むことが多く、よく走りよく格闘したりでたびたびヘルメットも落としていました。放送全編において、銃創18回・大火傷2回・爆発物での負傷が5回、更には数多くの打撲・裂傷・失神に加え、一時的な失明や聴覚障害に記憶喪失まで経験しています。まさに満身創痍のタフガイといったところですね。

ケーリ上等兵

ケーリ上等兵は、Pierre Jalbertが演じるサンダース軍曹が信頼する兵士で、声優はルパン三世で人気の山田康雄が担当しています。本名はポール・ルメイといい、ケイジャンと呼ばれるルイジアナのフランス系移民で、通称はケイジでした。しかし、何故か日本語版ではケーリになっています。

ナイフの使い手でもあるケーリ、音もなくドイツ兵を殺害できます。軽快で機敏に動けるため、斥候や分隊の先頭を歩くことが多いようです。フランス系移民の子ということから、しばしばフランス人との通訳も務めています。第1話から登場しているケーリは、初陣だった同郷で親友のテオが目の前で亡くし、取り乱していました。

サンダース不在の時は、分隊のリーダー格で先任兵です。ヘンリー少尉から他の分隊を任されたこともあります。ケーリは、アメリカ陸軍のワッペンが付いた黒いベレー帽を左肩に付けているのが特徴。たまにヘルメット代わりに被ることも 。しばしばジャケットの下にタートルネックのシャツを着ている姿も見られました。第2話だけですが、結婚指輪をつけたそうです。

カービー二等兵/上等兵

カービー二等兵/上等兵は、Jack Hoganが演じる歩兵で、声優は羽佐間道夫が担当しています。ケーリと並んで、サンダース軍曹が信頼する歩兵の一人です。しかし、短気で喧嘩っ早く、暴言も吐きますし、人に難癖つけて絡んだりとトラブルメーカーでもありました。一方では、戦闘においては頼れる一流の兵士でもあったのです。

アメリカ版と日本版では放送順が異なるため、カービーの登場は第2話の「三人の新入兵」からになります。その時は分隊の一員になっていますが、ノルマンディー上陸作戦時のカービーは、他の分隊に所属していたという設定ですので日本版の第1話には出てきません。もともと別の分隊を指揮する伍長だったそうで、フランスに来た時に乱闘事件を起こし、二等兵に降格された経歴を持っています。

分隊の中では、一番のバズーカ砲の射手でもあるカービー、分隊のBAR射手でもあるんです。敵前逃亡の疑いで軍法会議にかけられこともありましたが、サンダースとケーリが証言したおかげで無罪になっています。カービーは左利きなのですが、右手首に金の鎖状のブレスレッドを付け、左手首に腕時計をしているのが特徴。一人だけ大きなナイフを持っていて、たまにサンダースにも貸していました。一方では、カービーはほとんど水筒を持って歩きません。これは、ガンベルトの6つのポケットにBARの重い弾倉を12個入れているからだそうです。

リトルジョン上等兵

リトルジョン上等兵は、Dick Peabodyが演じる歩兵で、声優は塩見竜介が担当しています。大きな体形のリトルジョンは、心優しい人間として描かれています。手先が不器用で時々言葉に詰まったりもしますが、実はライフルの名手なんです。誰でも訳隔たりなく親切で、必ずヘルメットをぬいで教会に入るなど、とても信心深い人なんです。

極めて温和でややお節介、そして一見とろそうな感じのリトルジョンですが、分別があって簡単にはだまされない芯の強さがあります。行動においても慎重に振舞うことができ、自分勝手な単独行動はほとんどしません。サンダースの指示を守るため、従わないゲストキャラクターと衝突することもしばしば。

リトルジョンは、ノルマンディー上陸作戦時、サンダースの分隊にはいませんでした。日米ともに登場は、第2話の「三人の新入兵」からになっています。リトルジョンというのはあだ名のようなのですが、脚本などにはその説明はなく、あだ名か本名かは定かではありません。

カーター衛生兵

カーター衛生兵は、Conlan Carter演じる衛生兵で、声優は嶋俊介が担当しています。日本版での役名はカーターですが、アメリカ版では「ドク」とのみになっていて、姓名は不詳だそうです。温厚な性格で、酒は少し飲みますがタバコは一度だけ吸うシーンがありました。

日本版は第1シーズン最終話となる「戦争嫌い」から、特に説明なども無くいきなりの登場となり、それ以後はほぼレギュラーとなります。衛生兵ですので、戦闘行為をしてはいけないのですが、第32話「戦争嫌い」では戦闘への参加をヘンリー少尉に志願したり、第53話「人質の三人」では敵を殴り倒してサンダースやケーリを救ったりもしました。

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