「殺しの烙印」、おそらく宍戸錠主演で最大の問題作はこの作品でしょう。とは言っても、この作品、宍戸錠が問題なのではありません。監督ですね、問題なのは。
鈴木清順監督は、この作品によって日活をクビになり、以降10年間も映画界から干されることになっています。なぜ、そんなことになったのかと言えば、これはもう見て頂くしかないのですが、この作品やたらとシュールです。日活の意向とかけ離れて、やりたいことをやりすぎちゃったのです。当時の日活社長が「わけのわからない映画を作ってもらっては困る」と激怒したというのも頷けます。
もっとも、だからこそ面白い作品が出来たというところが映画の難しいところですね。
現在では日本に限らずクエンティン・タランティーノ監督やジョン・ウー監督などをはじめ、世界中に多くのファンを持つ「殺しの烙印」。鈴木清順監督の独特の世界観は宍戸錠を抜きにしては成り立ちませんよ。
殺しの烙印
日活の経営陣が大激怒したとはいえ、「殺しの烙印」は当時の批評家や若い映画ファンには熱狂的に支持されたといいます。ナイス感性。
内容的には前半ギャビン・ライアルの小説「深夜プラス1」を、次いでリチャード・スタークの小説「悪党パーカー/人狩り」をベースにしている感じですね。しかし、それ以降はもう独自の訳の分からない世界に突入していくんです。
それにしても「殺し屋の世界ランキング」というアイディアは秀逸ですよね。
宍戸錠は1967年には「殺しの烙印」「拳銃は俺のパスポート」以外に「燃える雲」「七人の野獣」「みな殺しの拳銃」「紅の流れ星」「七人の野獣 血の宣言」「君は恋人」「赤木圭一郎は生きている 激流に生きる男」「東京市街戦」「黄金の野郎ども」に出ているんですよ。なんと11本。エースのジョー八面六臂の大活躍ですねぇ。
70年代に入ると「ハレンチ学園」「谷岡ヤスジのメッタメタガキ道講座」やテレビ「巨泉×前武ゲバゲバ90分!」などコミカルな役を精力的にこなすようになり、殺し屋役からは離れていくことになります。時代の流れでしょうけど、ちょっと残念ですねぇ。