エースのジョーと呼ばれた男、宍戸錠の日活時代の代表作品

エースのジョーと呼ばれた男、宍戸錠の日活時代の代表作品

殺し屋でありながらユーモアがある。ハードボイルドでありながらもどこかコミカル。エースのジョーはあまりにも粋です。そんな宍戸錠の日活時代の作品にスポットを当ててみました!


監督:鈴木清順
脚本:山崎巌
原作:大藪春彦(企画)
製作:芦田正蔵
出演者:宍戸錠、笹森礼子、川地民夫、金子信雄、佐野浅夫
音楽:伊部晴美
主題歌:六三年のダンディ、バカとリコウ
撮影:峰重義
編集:鈴木晄
制作会社:日活
公開:1963年1月27日
上映時間:88分

探偵事務所23 くたばれ悪党ども

これ、何がスゴイかって宍戸錠は撃って殴るだけじゃ物足りないとばかりに、唄うは踊るは八面六臂の大活躍。キテレツ、いえいえエンターテナーとはまさにこのことか!白眉ですわぁ。

監督は鈴木清順、言わずと知れた巨匠です!この時期は宍戸錠だけではなく鈴木清順もまた「野獣の青春」「悪太郎」「関東無宿」などなど充実した作品を量産している時期です。
が、本作は当時の鈴木作品の中でも若干毛色が違ったものになっているようです。

探偵事務所23シリーズとしてもう1本「探偵事務所23 銭と女に弱い男」というのが公開されていますが監督は柳瀬観に代わっています。

野獣の青春

「探偵事務所23 くたばれ悪党ども」と同年、宍戸錠を主役に据えて鈴木清順監督が撮った傑作映画「野獣の青春」。これは「探偵事務所23 くたばれ悪党ども」とは違って本格ハードボイルド・アクション映画となっています。

監督:鈴木清順
脚本:池田一朗、山崎忠昭
原作:大藪春彦
出演者:宍戸錠
音楽:奥村一
撮影:永塚一栄
編集:鈴木晄
製作会社:日活
公開	日:1963年4月21日
上映時間:92分

野獣の青春

連れ込み宿で男と女が死んでいた。男は竹下公一、現職の刑事だった。数日後、盛り場のチンピラたちをやっつけてまわるカッコいい風来坊が現われた。たちまちジョーというその男は野本組の用心棒におさまりのし歩いたから、野本組と睨み合っている三光組の小野寺や武智をひどく刺激した。野本組には麻薬につながるコールガールの大がかりな組織があり、それを操る謎の支配者がいるらしい。竹下の四十九日の法事の日ジョーが未亡人のくみ子に挨拶しているのを刑事の広川は見た。ジョーはもと刑事、ふとしたことから免官されグレてしまったのをなにくれとなくかばったのが同僚竹下だった。その夜、いつものように野本らと麻薬商柴田との取引きがあった。帰途柴田は武智に売上げの一千万円を強奪された。柴田が刑事時代のジョーを思い出し、たちまちとりおさえられたジョーはむごい拷問に苦しみうめいた。ジョーが三光組に秘密を教えてやったとドロを吐いたから、逆上した野本は武智を射殺させた。すぐに三光組が逆襲して来て凄絶な射ち合いとなった。乾分たちが次々と倒れ、野本の一弾は小野寺の胸を貫いた。血まみれの小野寺は爆弾を積んだ自動車で野本組の真中へ突っ込んだ。建物が人が一瞬のうちに吹っ飛び、硝煙がうすれると動いたのはジョーと野本だ。「竹下を殺ったのは誰だ」野本をしめあげたジョーは絶叫した。息もたえだえの野本の口からもれたのは意外にもくみ子。野本の情婦だった彼女は警察の逆スパイとなって竹下と結婚し、コールガールを牛耳っていた。それがバレそうになったので、麻薬中毒のコールガールと竹下を無理心中させたのだ。竹下の家にのりこんだジョーの眼ははげしい憎悪に燃えていた。

https://moviewalker.jp/mv20872/

野獣の青春|MOVIE WALKER PRESS

元刑事で風来坊という設定で水野錠次という名前こそ付けられていますが、ジョーです。

野獣の青春かぁ、いったいどんな青春なんだ~!青春と呼ぶには余りにも危険な香りがする。そんな青春はご免だ~!と思いますよね。恋にうつつを抜かし、だらけ切った70年代の青春とは全く違う青春が確かにここにはある!というわけです。

拳銃は俺のパスポート

拳銃と書いてコルトと呼ぶ。コルトは宍戸錠の代名詞。「拳銃は俺のパスポート」は宍戸錠にとって最高傑作といっていいでしょう。

宍戸錠の役柄は殺し屋であってもユーモラスなものが多いのですが、本作ではコミカルな演技を一切封印し、ストイックな役柄に徹しています。それが素晴らしい。緊張感が漲ってますよ。
まぁ、コミカルな宍戸錠が好きという意見も分からないではないですけどね。

監督:野村孝
脚本:山田信夫、永原秀一
原作:藤原審爾「殺し屋」 
出演者:宍戸錠、ジェリー藤尾、小林千登勢
音楽:伊部晴美
撮影:峰重義
編集:鈴木晄
配給:日活
公開:1967年2月4日
上映時間:84分

拳銃は俺のパスポート

なんと脚本執筆に4日、撮影には20日という超短期間で製作された、やっつけ仕事のような作品でありながら、これは素晴らしい出来栄えです。
もっとも当時の日活B級活劇映画の多くは低予算で過密スケジュールというのは普通のことだったそうですけどね。
それにしても全編これハードボイルド!緊張感、躍動感はハンパなく独特の魅力を備えた作品で、後年カルトな傑作として評価が高まったのも頷けます。

宍戸錠自身、本作が「もっとも好きな出演作品」と語っています。
ラストの決闘シーンのガンアクションをはじめ、多くのアクションのアイデアを宍戸錠は提案し採用されているそうですので、思い入れが強いのも頷けますね。

殺しの烙印

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