大阪万国博覧会で印象に残るパビリオン

大阪万国博覧会で印象に残るパビリオン

1970年に大阪の吹田丘陵で開催された「日本万国博覧会」、まさに日本の高度成長期を表現した、この年最大のイベントです。何もなかった丘陵に見事な未来都市が造り上げられました。開催期間中に訪れた人は、なんと6,421万人。この未来都市を巡った人は、未来の日本を体験して大いに希望を持ったことでしょう。今回は、外観的に注目されたパビリオンのご案内です。


日本万国博覧会の概要

人類の進歩と調和をテーマにして開催された日本万国博覧会。会場となった大阪の千里丘陵には、当時の先端技術の粋を生かして建設されたパビリオンが建ち並ぶ未来都市空間となりました。海外からは、76カ国・4国際機関・1政庁(香港)・アメリカ3州・カナダ3州・アメリカ2都市・ドイツ1都市・2企業が参加し、各々が特徴あるパビリオンを造り上げ、国内からも、日本政府と地方公共団体出展準備委員会・2公共企業体・28民間企業参加し、32の個性的なパビリオンが登場しています。

当時、あまりの超巨大プロジェクトであったために物議も醸しましたが、世界各国の新技術や文化が結集され、大成功を収めたのです。今では常識となっている、動く歩道・モノレール・リニアモーターカー・電気自転車・電気自動車などが初めて紹介されています。更には、現在の生活に定着している、携帯電話・缶コーヒー・ファミリーレストランなども、大阪万博で登場したもの。まさに、21世紀で普及する製品やサービスが初めて登場した博覧会なんです。

スイス館

スイス館は、巨大なデコレーション・ツリー・展示場・レストランのある展示館でシンプルな構成のパビリオンでした。全体的に従来型の展示館から外れ、動線や一定の出入口はありません。来館者は、光の木の広場や展示室を自由に動くことのできるユニークな展示館でした。 地上3階地下1階の建物で、内部の半分は吹抜けの展示室となり、残りのスペースに大小二つのレストランにバー、そして化粧室などが配置されています。地下部分は管理施設でした。外装は白で統一され、スイスらしい雪のイメージを表現したそうです。

光の木の美しさにびっくり

スイス館での注目となったのは光の木です。アルプスの樹氷を表現したとされる巨大な彫刻で、5m 四方の幹の上に径55mの枝を四方に伸ばした、高さ21mの建造物になっていました。この作品は、スイスの新鋭建築家であるウィリー・ワルターの作で、国内のコンベンションで1位に選ばれたものです。

12m80cmを基準寸法として制作され、小枝となる部分以外は、アルミニウム板で覆われた特殊鋼材を使用し、大枝・中枝・小枝の順に伸ばしていきます。小枝の先端には3万2,036個の透明ガラス白熱電球を取付け、夜は無数の電飾が点灯します。その光は一斉に夜空に輝き、訪れた人を魅了。まさに光の木で、幻想的に写し出される光景が注目を浴びました。

最下層の枝の間からは冷たい空気が放出され、広場全体がアルプスの涼しさのような冷気に包まれる仕組みになっています。各枝部分の地上7m・10m・12mには104個のスピーカーが設置、広場には、美しい電子音楽が流されていたのです。更に最上層部に取り付けたスピーカーからは、光の木の点灯時に、さまざまな鳥の声が入った特別に作曲された音楽が流れ、樹氷の下で自然を満喫するような気分に浸れました。

オーストラリア館

個性的な外観で、来園者の目を引いたのがオーストラリア館です。メインの展示スペースとなる円形ホールでは、9面のスクリーンで国を紹介する映画が上映されていました。ホール中央部には、オーストラリアと日本が、共に東経135度上に位置している国であることを表した大地球儀が置かれています。館内の展示は、来館者が動く歩道に乗って観覧するシステムを採用になっていました。

まるで恐竜のような姿

オーストラリアのパビリオンは、ジュームス・C・マコーミックの設計によるものです。大きな円形屋根を宙づりにした、実に個性的なデザインの展示館んになっていました。葛飾北斎が描いた神奈川沖浪裏の富士にある波と、日本の寺院で見られる青銅製蓮台をイメージしたものだそうです。しかし、一般に人々が見た印象は、恐竜が空飛ぶ円盤をくわえた形のようで、いろいろと連想できる建築物でしたね。

設計者のマコーミックは、地中から空に向かって延びた片持梁で、広大なオーストラリアの大地から生産される資源を表したそうです。地上付近では粗雑で荒々しいのですが、頂上へ向かうにつれて少しづつ精製されてゆく様子になっているとか。そして、梁から吊り下がったような円形屋根は巨大な上に精巧、オーストラリアにはすぐれた技術があるということを示しています。

遠くから見ると、まるで浮かんでいるように見えると説明されています。 波の形をした片持梁は、高さ約40mメートルで、スカイ・フックと呼ばれます。10階建てのビルディング相当の高さですが、実際に利用する部分は地上5階地下1階になっています。また、メイン展示がされたサンクン・ガーデンの底部は、地下2階の深さに相当しました。円形ホールの中央部が低くなっており、周囲にらせん形の通路が配置、約2,000人が収容できる大きさでした。

イタリア館

おしゃれなデザインで人気のイタリア、まさにそんなイタリアが十分に表現されたパビリオンがイタリア館です、イタリア館のテーマは、開発世界における進歩と伝統。1 階部分の玄関ホールには、当時の大統領ジュセッペ・サラガットのメッセージとマルコ・ポーロのブロンズ浮彫が来館者を迎えていました。パビリオンは本館と産業館に分けられ、階段のある通路と段々畑状の芝生が繋いでいます。そして、両館の間にある芝生などには、素晴らしい彫刻などやローマ・東京間の初飛行に成功したプロペラ機の実物大模型などが置かれていました。

展示館の東南部には、アリタリア航空の経営レストランとスナックがありました。イタリア料理の粋が集めらたレストランで、シチリア・ワインを使って料理される甘いソースのステーキがメインディッシュでした。種類が豊富なイタリア・ワインも楽しめましたね。
 

斜めにそびえるイタリアンデザイン

イタリア館の本館は、ピサの斜塔モチーフとしたユニークな建築物でした。斜めに伸びた建物は、これまでの建築概念を超越したもので、天井や一部の床を傾斜させています。内側に入ると、水が上に向かって流れているなどのように、目の錯覚を見事に利用しています。設計はローマの新進建築家トマソ・バーレによるもので、イタリアでの公募コンクールで優勝した作品だったそうです。

建物の先端と垂直の側面はガラス張りで、上下面は軽量モルタルで仕上げられ、その上を銅箔張りになっていました。内装としては、広がるような模様のイタリア製のセラミック・タイルが床一面に張られ、壁と天井はコンクリート打ち放しの仕上げです。
 
1 階は、玄関ホールや展示ホールの他、政府代表室やレストランが配置され、西端には 3 階へ上がるエスカレーターがありました。2 階・3 階は傾斜床のある展示室で、2 階にあるイタリアの図書と切手の売店が注目ポイント。本館の東側には別館の産業館があり、本館の 2 階からブリッジを渡って入るように設計されています。

未来都市に入り込んで胸を膨らませた子供たち

今回は、1970年に開催された日本万国博覧会に誕生した数多くのパビリオンから、特に外観的に印象に残った建物をご紹介しました。ここでは3つのパビリオンをチョイスしたのですが、まだまだ注目を集めた外観を持つパビリオンもたくさんありました。そんな素晴らしい建築物が集まった未来都市には、たくさんの子供たちも訪れています。これまで見たことのない建物群の中で、建築に興味を持った子供たちも多かったはず。今後の日本の建築界で活躍する技術者の中には、大阪万博に行ったことで未来を志した人も少なくないでしょう。

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大阪 1970年 万博

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