『ザ・コクピット』とは?
OVA版『ザ・コクピット』
松本零士さんの手掛けた短編漫画集『戦場まんがシリーズ』を原作に、その中でも3つの作品を取り上げ、オリジナルビデオとしてアニメ化したものとなります。いずれも第二次世界大戦をベースにした物語となっていて、戦争の悲惨さを伝える内容です。
原作のコミック版についても、記事の最後でご紹介させていただきたいと思います。
OVA版『ザ・コクピット』の本編動画・ストーリー
Vol.1『成層圏気流』
ドイツ空軍のパイロット、エアハルト・フォン・ラインダース大尉が主人公。
作戦行動中、敵機3体からの襲撃を受け、仲間・ハルトマンの機体は被弾。脱出を試みるも、脱出装置が正常に作動せず、空中で機体は爆発して戦死を遂げます。ラインダースも敵機からの追撃を受けるも、高度9000mでの戦闘は機体の性能的に不利と判断して脱出するのでした。
その後、友軍により草原に不時着したラインダースの機体が発見されますが、機体は不時着の影響でプロペラの先端が曲がっていたものの、銃痕は一切なく、ほとんど無傷の状態で発見されます。そうした状況から、基地に戻ったラインダースは、周囲の兵士や上官から戦わずして戦闘機を放棄した卑怯者と呼ばれるように…
Vol.2『音速雷撃隊』
第二次世界大戦の末期、人間爆弾と揶揄された特攻兵器・桜花とその乗組員にスポットを当てた物語。沖縄の海洋に展開するアメリカ機動部隊に対抗するため、日本軍は桜花特別機動隊を編成します。
しかし、アメリカ軍の兵力の強さに加え、桜花そのものの運用の難しさもあって、思うような戦果を挙げられずにいました。そんな中、桜花による特攻に頓挫して、基地に生還した野中少尉は次の特攻作戦に備え、新たな部隊に配属されます。部隊を率いる山岡中尉は死んでいった若者があと30年生きていたらと思いを馳せますが、それは敵側であるアメリカ軍の戦闘員も同じでした。
翌日、再び出撃する桜花特別機動隊。しかし、アメリカ軍の激しい迎撃に遭い…
Vol.3『鉄の竜騎兵』
第二次世界大戦の末期、フィリピンを舞台にしたストーリー。
撤退する予定だった日本軍・野戦重砲兵連隊は、その前、最後の悪あがきにアメリカ軍の陣地に向かって砲撃を打ち込みます。しかし、その直後、アメリカ軍陣地からの雨のような砲撃を受け、その辺りは焼け野原になってしまいました。
そんな中、友軍・飛行場から伝令としてバイクに乗った宇都宮一等兵が到着します。彼は飛行場がアメリカ軍の攻撃を受け、その援軍の要請にやってきたのでした。ところがこちらも焼け野原となってしまっていて、戦力としてもほぼ壊滅状態。宇都宮は引き返そうとするも、生き残りの古代一等兵に止められ、少し休息をとることに。
宇都宮が目を覚ますと、廃車寸前だったバイクは修繕されており、古代も一緒に飛行場に行くとバイクの側車に乗り込みのでした…
OVA版『ザ・コクピット』の魅力とは?
Wikipedia - 松本零士
まさに戦争を肌で感じる幼少期を過ごし、父親は航空部隊のパイロットだったとのこと。戦争の悲惨さを伝えるとともに、『ザ・コクピット』という作品タイトルには父親に対してのリスペクトといった感情も込められていたのかなと思います。
そして、本編を見て驚かされるのは、映像クオリティーの高さ。現在のアニメにも引けを取らないほど美しくて迫力があります。同世代の地上波アニメ・OVA作品と比較してみると、そのレベルは群を抜いているのは明らかです。
キャラクターデザインやメカの格好良さも際立っていて、SF作品ではないのに、その根底にある松本零士さんのイズムを感じられますよ。
OVA版『ザ・コクピット』の関連商品
『戦場まんがシリーズ』
OVA版『ザ・コクピット』のまとめ
オムニバス形式の3作品で構成されたOVA版『ザ・コクピット』。いずれの作品も見応えがあって、それぞれの主人公が散ちらせる命は儚いです。松本零士さんというとSF作品のイメージが強いですが、こういった路線のコンテンツも手掛けていたことにも注目したいですね。
幼少期の体験や父親への想いが詰まっているのであろうOVA版『ザ・コクピット』。記事内には本編動画も掲載していますので、この機会にぜひご覧になってみてください。
そして、原作コミックである『戦場まんがシリーズ』もAmazonなどで簡単に入手できるようなので、ご購入して読んでみては如何でしょうか。