90年代前半ヴィジュアル系黄金時代に話題になった「名古屋系」を紐解く!!

90年代前半ヴィジュアル系黄金時代に話題になった「名古屋系」を紐解く!!

90年代前半ヴィジュアル系黄金期、Silver-Roseや黒夢の全国進出に伴い、それに続く名古屋バンドの活躍が話題となりました。 中京圏V系インディーズシーンは異常な盛り上がりを見せ、当時の音楽メディアなどにより"名古屋系バンド"と称されていました。 そこで今回は、「名古屋系」とは何なのかを紐解いていきたいと思います。


名古屋系の血筋を受け継ぐ名古屋系第二次世代の登場!!

1996年、後のLamiel維那/Rukaとlynch.玲央が在籍していたLustairが際立ち始めました。
また、新潟からは名古屋系の伝統様式を継承するバンドD'elsquelがマキシシングル「Life Trees」をリリース。
新潟出身ですが名古屋系からの系譜を感じるバンドで、ポジパンを基盤にしたダークヴィジュアル系スタイルを持っていました。
1997年にはLamielが、翌年1998年にはkeinが本格始動を開始します。
維那と眞呼、次世代名古屋系ヒーローの誕生となりました。
また同じ頃、D'elsquelと同郷であるbabysitterがシーンに登場。
彼らもまた、Laputaなどの影響を軸に変拍子なども取り入れたハイレベルな名古屋系スタイルを持ったバンドでした。
1999年、kein/Lamielに続きPoisonous Doll、メリゴ直系Systerなどが登場。
ただし、この辺りは当時の"ヴィジュアル系モダンヘヴィネス化現象"も含んでいました。
なので、ゼロ年代ニュースクール名古屋系に繋がっていく側面も垣間見えます。
2000年、Matina(インディーズレーベル)からex.AZALEAのメンバーを中心に結成されたサリーが始動開始。
コテ系のイメージが強いMatina出身のバンドでした。
しかし名古屋系の血筋を感じるサウンドと、清春チックなボーカルとテクニカルなギターが冴え渡る良質な名古屋系バンドだったんですよ!

ヴィジュアル系ファンでも区別しにくい「名古屋系」と「コテ系」の違いとは?

ライブパフォーマンスにおける名古屋系の特徴としては以下のようなものがあります。
・ポジパン/ゴスの流れを汲む黒服を基調とした衣装とメイク
・あくまでモノトーンであり、コテ系/近年のゴスのように華美になりすぎない。
・ポジパン/ゴスの流れを汲むシアトリカルな演出(マネキン・十字架・棺・血糊・包帯など)
・アーティスト写真、アートワーク、コンセプトにはストーリー性をもったアートチックなもの
・世界観遵守(MCやヤンキーノリ控えめ・ファンとの一体感を求めすぎない)
・ファンの雰囲気もポジパン/トランス系の流れを汲む文学少年少女寄り

とはいっても、「名古屋系」と「コテ系」って具体的にどんな違いがあるのか気になりますよね。
これはヴィジュアル系ファンでも一見すると全く区別がつかないところではありますが、そこには決定的な違いが存在します。
「コテ系」はヴィジュアル系の王道要素を盛りまくる、言わば足し算の美学。
これに対し「名古屋系」は、ルーツを重んじ伝統とバランスを保つ引き算の美学なのです。

同じ黒服でもコテ系はドロドロでコテコテの黒で、名古屋系はシックで落ち着いた黒なのです。
しかし、コテ系と呼ばれるバンドにも名古屋系の要素をもったバンドや、名古屋系と呼ばれるバンドにもコテ系の要素をもったバンドが存在しています。
なので、正確に分類するのは不可能といえます。
また余談になりますが、名古屋系ファンには「ルーツを重んじ伝統様式を継承する名古屋系こそがヴィジュアル系」
「保守的であることがヴィジュアル系」という原理主義的な思想を持つ者も存在しています。

当時のV系シーンへのカウンター精神から生み出されたのが「名古屋系」!

音楽の歴史というものは、カウンターに対するカウンターの繰り返しで成り立ってきました。
それは、ヴィジュアル系も例外ではありません。
既存ジャンルのカウンターから生まれたヴィジュアル系ですが、それがカルチャーとして成立すれば主流が生まれるのは当然のこと。

先に述べた清春の発言で
「D'ERLANGER、ZI:KILLのコピーのような...そんなバンドが名古屋にはたくさんいた。
そういうのじゃなくて、アサイラムとかZOAとかガスタンクみたいなバンドがやりたかった。
シアトリカルでハードでダークなバンドがやりたかった。」
「当時多かった英語とかのいかにもなバンド名は付けたくなかった。
メイクしてニコニコして、お客さんに媚びているようなのとは全く別のものがやりたかったんだ。」 

当時のヴィジュアル系シーンの主流、それに迎合することへの反抗心。
結果として、「名古屋系」とはそういったカウンター精神により生まれた新たな潮流だったという事になります。

関連する投稿


レトロゲーム配信サービス「プロジェクトEGG」より『トラぶるCHASER 第1話』『3Dテニス』が配信スタート!!

レトロゲーム配信サービス「プロジェクトEGG」より『トラぶるCHASER 第1話』『3Dテニス』が配信スタート!!

レトロゲーム関連の復刻・配信ビジネスなどを行うD4エンタープライズが運営するレトロゲーム配信サービス「プロジェクトEGG」にて、新規コンテンツ『トラぶるCHASER 第1話 トラブルは空から未来から(PC-9801版)』『3Dテニス(MSX版)』の配信がスタートしました。


抜群のスタイルで💦世の脚光を浴びた『広田恵子』現在は?!

抜群のスタイルで💦世の脚光を浴びた『広田恵子』現在は?!

高校時代からモデル活動を始め1986年に「カネボウ・スイムウエアイメージモデル」として脚光を浴びた広田恵子さん。現在は家族で〇〇を組んで活動している・・・。


「おかあさんといっしょ」の『にこにこ、ぷん』が令和に復活!公式YouTubeチャンネル開設&グッズ展開決定!!

「おかあさんといっしょ」の『にこにこ、ぷん』が令和に復活!公式YouTubeチャンネル開設&グッズ展開決定!!

NHK「おかあさんといっしょ」の人形劇コーナーとして1982年から1992年までの10年間にわたり放送され、累計2,000話以上の物語が制作された人気シリーズ『にこにこ、ぷん』が、令和の時代に新たなかたちで帰ってきます。


「世界・ふしぎ発見!」のミステリーハンターも務めた女優『ジュリー・ドレフュス』!!

「世界・ふしぎ発見!」のミステリーハンターも務めた女優『ジュリー・ドレフュス』!!

1991年3月にミステリーハンターとして登場されると出演回数8回で、出演回数ランキング33位となるジュリー・ドレフュス さん。2013年出演のドラマ「老舗旅館の女将日記」を最後にメディアで見かけなくなり気になりまとめてみました。


創刊20周年特集は過去20年間の国内ソフト売上ランキング!ゲーム業界のデータ年鑑「ファミ通ゲーム白書 2025」が発売!

創刊20周年特集は過去20年間の国内ソフト売上ランキング!ゲーム業界のデータ年鑑「ファミ通ゲーム白書 2025」が発売!

角川アスキー総合研究所より、国内外ゲーム業界のデータ年鑑『ファミ通ゲーム白書2025』が発売されます。発売予定日は8月7日。


最新の投稿


懐かしのブリキ缶が大集合!「昭和の缶に、恋してる」レトロ缶企画展開催

懐かしのブリキ缶が大集合!「昭和の缶に、恋してる」レトロ缶企画展開催

東洋製罐グループが運営する容器文化ミュージアムは、企画展「昭和の缶に、恋してる レトロブリキ缶コレクション」を2025年12月15日から2026年2月20日まで開催します。昭和100年を記念し、お菓子や贈答品などに使われた貴重なブリキ缶を展示。缶の構造やデザイン、当時のエピソードも交え、昭和の生活文化とブリキ缶の魅力を再発見できる展示内容です。


「パックマン」「ゼビウス」などナムコット名作がブランケットに!ファミコン外箱を再現した「クラシックゲームブランケット」登場

「パックマン」「ゼビウス」などナムコット名作がブランケットに!ファミコン外箱を再現した「クラシックゲームブランケット」登場

株式会社KADOKAWA Game Linkageは、ナムコットブランドのファミコンソフト『パックマン』、『ゼビウス』、『ドルアーガの塔』の外箱をモチーフにした「クラシックゲームブランケット」3タイトルを2026年2月16日に発売します。両面印刷で外箱の表裏デザインを忠実に再現し、A5サイズ16ページの冊子も同梱。現在、予約受付中です。


病院も映画館も煙モクモク!?自由すぎる昭和の常識を徹底図解

病院も映画館も煙モクモク!?自由すぎる昭和の常識を徹底図解

日本文芸社は、「昭和100年」の節目に、書籍『眠れなくなるほど面白い 図解 昭和の話』を11月27日に発売しました。庶民文化研究家・町田忍氏監修のもと、「病院でもタバコOK」「消費税なし」「過激すぎるTV」など、令和の感覚ではありえない“自由すぎた昭和の本当の姿”を、図解と豊富な資料写真で紹介。世代を超えたコミュニケーションツールとしても楽しめる一冊です。


ビー・バップ・ハイスクール高校与太郎祭!仲村トオルも清水に降臨

ビー・バップ・ハイスクール高校与太郎祭!仲村トオルも清水に降臨

映画『ビー・バップ・ハイスクール』公開40周年記念イベント「清水 ビー・バップ・ハイスクール 高校与太郎祭」が、聖地・清水駅前銀座商店街で12/13・14に開催決定!初日は仲村トオルさん登壇のセレモニーを実施。学ラン・セーラー服でのコスプレOKエリアや、名シーンの聖地巡礼ツアー、映画全6作の上映会など、アツすぎる内容で、あの頃の青春がブッ返る!


プロレス界の歴史が動く今こそ読むべき一冊! 『ようこそ、プロレスの世界へ 棚橋弘至のプロレス観戦入門』2025年12月18日(木)発売!

プロレス界の歴史が動く今こそ読むべき一冊! 『ようこそ、プロレスの世界へ 棚橋弘至のプロレス観戦入門』2025年12月18日(木)発売!

新日本プロレスの“100年に一人の逸材”棚橋弘至氏による著書『ようこそ、プロレスの世界へ 棚橋弘至のプロレス観戦入門』が2025年12月18日にKADOKAWAより発売されます。引退が迫る棚橋氏が、26年の現役生活で培った視点から、プロレスの魅力、技の奥義、名勝負の裏側を徹底解説。ビギナーの素朴な疑問にも明快に答え、プロレス観戦をさらに面白くする「令和の観戦バイブル」です。