ウルトラマン
初代ウルトラマンの敗北は日本中の少年に衝撃を与えました。1967年4月9日のことです。第39話「さらばウルトラマン」で初めてウルトラマンに打ち勝ったのは宇宙恐竜ゼットン。そりゃもう驚きましたよ。ウルトラマンは僕らの見方で、絶対に負けないと思い込んでいましたからね。悲しみの前に驚きでしたよ。この作品によって、悲しみは後からやってくるものだということを叩き込まれました!
これは特にウルトラマンのファンでなくともよく知られているエピソードではありますが、改めて見ると、やっぱりつくづく制作者は何て惨いことをしてくれたんだ!という思いを強くします。
一方でウルトラマン、良い負けっぷりです。あっぱれと言って良いでしょう。そして心の底から「ありがとう」を伝えたい。
ウルトラマンはこの回で任務を終え、故郷に帰って行きます。
ウルトラマンに代わってM78星雲からわざわざ地球を守りに来てくれるのは、ご存じウルトラセブンです。1967年10月1日のことでした。
ウルトラセブン
ウルトラセブンは、1967年10月1日から1968年9月8日まで全49話が放送されました。その間、1968年1月と6月の2回ウルトラセブンは敗北しています。
ウルトラセブンに勝利を収めたのは、キングジョーとガッツ星人です。どちらも流石に強い。そして、どちらの造形美も素晴らしい。
が、しかし。どちらかと言えばキングジョーでしようか。カッコいいですもんね。4つのパーツに分離して飛んでくるところなんか最高です。
キングジョーが登場するのは第14話と第15話の「ウルトラ警備隊西へ」においてです。
ウルトラセブンは必殺技をことごとく跳ね返され、マウントをとられ、トドメの一撃が加えられようとしたところでストップモーション。ここで「つづく」です。なんと気を持たせる作りでしょう。
日本中の少年が気をもみながら1週間を過ごして見た第15話、ウルトラセブンはなすすべもなくボコられる始末。愕然としたものです。呆然となったものです。
しかし、まぁ、やるだけのことをやってのウルトラセブンの負けっぷりは見事でした。
帰ってきたウルトラマン
帰ってきたウルトラマン。そう、ウルトラマンが帰ってきた。が、ご存じの通り、帰ってきたといっても先のウルトラマンとは別人(別マンかな?)です。
帰ってきたウルトラマンの正式名称はウルトラマンジャック。ただ、これは後付けです。作中では単にウルトラマンと呼ばれています。後にウルトラ一家が揃って出演する際に、ウルトラマンが二人(2マンかな?)いては都合が悪いという事情からでしょう。
ジャックの名が与えられるまで、ウルトラマンII世だとか新マン、更には帰マン、帰りマン(きマン、かえマン、かえりマン)とさえ呼ばれていた辛い時期があったりします。
まぁ、そんな帰ってきたウルトラマンですが、3敗しています。
初代ウルトラマンが1敗、ウルトラセブンが2敗ですから、帰ってきたウルトラマンの3敗と言うのは分からなくもありません(そうか?)。
帰ってきたウルトラマンが最初に敗れるのは第4話の「必殺!流星キック」です。なんと、第4話です。帰ってきて早々敗れるとは、いささか早すぎるようにも思いますが、敗者復活戦が素晴らしいのでそれもまた良しです。
キングザウルス三世のバリヤーによって全ての攻撃を防がれて敗れた帰ってきたウルトラマンは、これでは何のために帰ってきたのか分からないとばかりにバリヤーを飛び越える特訓を開始するのです。
その甲斐あってバリヤーを飛び越えキックをお見舞いし勝利するのでが、何もジャンプの特訓なんてしなくてもウルトラマンは空飛べますからね。不思議な特訓ではあります。
第4話「必殺!流星キック」は1971年4月23日に放送されています。当時、既に「巨人の星」が大ヒットし、巷ではスポ根ブームが起こってましたから、特訓はその影響もあるのでしょう。
因みにジャンプにキックと言えば「仮面ライダー」。同じ1971年4月3日から放送が開始されています。
あと、第18話「ウルトラセブン参上」でベムスターに、第37話「ウルトラマン夕陽に死す」、第38話「ウルトラの星 光る時」において、ナックル星人、ブラックキングに敗れています。
ウルトラマンA(エース)
ウルトラマンAには、初代ウルトラマンの第39話以来の登場となったゾフィー、そしてウルトラの父が初登場します。
ウルトラ兄弟の設定が出来上がるのも本作からで、ここではウルトラマン、ウルトラセブン、帰ってきたウルトラマンにゾフィー、ウルトラマンAを加えて5兄弟で登場します。
しかし、あろうことか、その5兄弟がまとめて血祭りにあげられるというのが第13話「死刑!ウルトラ5兄弟」です。相手はバラバでした。
ウルトラマンAでは、怪獣よりも強い超獣が相手とあって、なかなか楽には勝たせてくれないのです。この5兄弟、実は第26話でもやられてしまいます。1972年9月29日に放送された「全滅!ウルトラ5兄弟」がそれです。「死刑!」そして次が「全滅!」ですからね。ウルトラ5兄弟にとっては災難ですよ。
全滅してしまったウルトラ兄弟を救うのは、第27話「奇跡!ウルトラの父」で初登場となるウルトラの父です。
もう、一家総出。子供の喧嘩に親が出る感じは賛否両論あろうかと思いますが、しかし、これでいいのです。これは喧嘩とは違いますからね。地球の為に絶対に勝たねばならない戦いですけん!
ウルトラマンタロウ
続いて1973年4月6日から1974年4月5日まで放送された「ウルトラマンタロウ」。タロウは、バードン、ベムスター、テンペラー星人、タイラントと、実に4敗を喫しています。
しかし、これはある意味仕方のない事かもしれません。なんせ相手が、怪獣よりも強いとされた超獣を上回る強さの怪獣が相手なのですから。
最初にタロウを打ち負かすのは、シリーズ最強との呼び声の高いバードンです。第17話「2大怪獣タロウに迫る!」第18話「ゾフィが死んだ!タロウも死んだ!」第19話「ウルトラの母 愛の奇跡!」と3週続きとなる熱戦を繰り広げています。
知らない方でもタイトルから推察できると思いますが、第18話で助けに来たゾフィーがバードンの火炎放射で頭を焼かれて絶命します。ゾフィー流石の負けっぷりです。
タロウも死んでしまうのですが、第18話でウルトラの母によって復活し、3度目の対決で遂にバードンに勝利を収めるのです。
この後も、第29話「ベムスター復活!タロウ絶体絶命!」第30話「逆襲!怪獣軍団」、第33話「ウルトラの国 大爆発5秒前!」第34話「ウルトラ6兄弟最後の日!」、第40話「ウルトラ兄弟を超えてゆけ!」でタロウはのされてしまいます。
親、兄弟の助けを借り、なんとか勝利を収めますが、ウルトラマンタロウはファンの間で「甘えん坊の末っ子」とのレッテルを貼られてしまいます。
ウルトラマンレオ
昭和の時代のウルトラ戦士の中で最高の負けっぷりを示したのがウルトラマンレオではないでしょうか?!いえ、そんなもんじゃ済まないですね。全ウルトラ戦士の中で最も悲惨な死を遂げたといってもいいかもしれません!
なんせ、ノコギリで頭、手足をバラバラに解体されるんですからね。
バラバラにされるってだけで怖いのに、ノコギリで切り刻むシーンを少年に見せつけるとはっ!刻まれるのがウルトラマンレオってところが涙を誘うと同時に戦慄が走ります。狂気に満ちた蟹江敬三の演技が素晴らしいのですが、これ子供は泣くよ。
白昼堂々とウルトラマンレオの生首が転がっているというあまりにもシュールなシチュエーション。度肝を抜かすとはこのことか。
まぁ、ウルトラマンキングによって何事もなかったかのように復活するのですが、それにしてもねぇ、強烈すぎますよね。
ウルトラマンレオが負けるのは、この第50話の「レオの命よ!キングの奇跡!」にでてくるブニョだけです。それだけにこの1敗はより印象の強いものになりました。
続いて、昭和ウルトラマンのトリをつとめたのが「ウルトラマン80」なのですが、彼は1敗もしていません!負け知らずで任務を終え地球を去っていたんです。
だからといってウルトラマン80が最強とは必ずしも言えないですね。ただ言えることは、負けるウルトラマンもカッコ良かったってことですよ。