第64回アカデミー賞
第64回アカデミー賞は1992年3月30日に行われたアカデミー賞発表・授賞式である。

会場となったドロシー・チャンドラー・パビリオン
第64回目のアカデミー賞授賞式は、ドロシー・チャンドラー・パビリオンで行われた。
結果は、ジョナサン・デミの『羊たちの沈黙』が、作品賞、監督賞、主演男優賞を含む5部門を受賞した。
また、『美女と野獣』がアニメ映画ではじめて作品賞にノミネートされて話題になった。
作品賞『羊たちの沈黙 』(The Silence of the Lambs)
『羊たちの沈黙 』はトマス・ハリスの同名小説を原作としたサイコスリラー映画。連続殺人事件を追う女性FBI訓練生と、彼女にアドバイスを与える獄中の元・天才精神科医との奇妙な交流を描いた作品。
アカデミー賞の主要5部門すべてを独占したのは、『或る夜の出来事』、『カッコーの巣の上で』に次いで3作目の快挙。ホラー映画で唯一アカデミー作品賞を受賞した作品でもある。

羊たちの沈黙
作品賞のその他の候補作は以下の通り。
美女と野獣
バグジー
JFK
サウス・キャロライナ/愛と追憶の彼方
監督賞:ジョナサン・デミ『羊たちの沈黙』
前述のとおり、監督賞も『羊たちの沈黙』からの受賞。
ジョナサン・デミは、本作でベルリン国際映画祭監督賞にも輝いた。
ドキュメンタリー映画も10本以上撮っていて、2007年にはジミー・カーター元大統領を取り上げた『Man from Plains』でヴェネツィア国際映画祭バイオグラフィルム賞を獲得している。

ジョナサン・デミ(Jonathan Demme)
他の監督賞ノミネートと作品は以下の通り。
バリー・レヴィンソン(バグジー)
リドリー・スコット(テルマ&ルイーズ)
ジョン・シングルトン(ボーイズ'ン・ザ・フッド)
オリバー・ストーン(JFK)
主演男優賞:アンソニー・ホプキンス『羊たちの沈黙』
アンソニー・ホプキンスは『羊たちの沈黙』で、元精神科医の囚人ハンニバル・レクター博士を演じた。また、2001年公開の続編『ハンニバル』、2002年の『レッド・ドラゴン』でも同じレクター役を演じる。
ハンニバル・レクターのイメージに反し、アンソニー本人はベジタリアンである。
代表作に1968年『冬のライオン』、1974年『人形の家』、1978年『インター・ナショナル・ベルベット』などがある。

アンソニー・ホプキンス(Sir Anthony Hopkins)
主演男優賞のノミネートは以下の通り。
ウォーレン・ベイティ(バグジー)
ロバート・デ・ニーロ(ケープ・フィアー)
ニック・ノルティ(サウス・キャロライナ/愛と追憶の彼方)
ロビン・ウィリアムズ(フィッシャー・キング)
主演女優賞:ジョディ・フォスター『羊たちの沈黙』
ジョディ・フォスターは 連続殺人事件を追う女性FBI訓練生のクラリス・スターリング役での受賞。このアカデミー賞のほかに、ゴールデングローブ賞 主演女優賞 (ドラマ部門)と英国アカデミー賞 主演女優賞も獲得した。
フォスターは1989年の『告発の行方』でもアカデミー主演女優賞を受賞を受賞しており、今回が2度目の受賞。

ジョディ・フォスター(Jodie Foster)
他に主演女優賞にノミネートされた方は以下の通り。
ジーナ・デイヴィス(テルマ&ルイーズ)
ローラ・ダーン(ランブリング・ローズ)
ベット・ミドラー(フォー・ザ・ボーイズ)
スーザン・サランドン(テルマ&ルイーズ)
助演男優賞:ジャック・パランス『シティ・スリッカーズ』
『シティ・スリッカーズ』は、ニューヨークの3人の中年男性がカウボーイ体験から本来の自分を見つけていく様子を描いたコメディ映画。
ジャック・パランスは、老齢のカウボーイであるカーリー役で出演している。本作でゴールデングローブ賞助演男優賞も受賞した。パランスはもとはプロのボクサーで、受賞の際に腕立て伏せを披露してみせた。

ジャック・パランス(Jack Palance)
助演男優賞のノミネートは以下の通り。
トミー・リー・ジョーンズ(JFK)
ハーヴェイ・カイテル(バグジー)
ベン・キングズレー(バグジー)
マイケル・ラーナー(バートン・フィンク)
助演女優賞:マーセデス・ルール『フィッシャー・キング』
『フィッシャー・キング』は、過去の殺人事件が原因でホームレスとなった男と、彼を助けようとするDJの友情を描いたファンタジーコメディ。
マーセデス・ルールは、主人公ジャックの恋人であるアン役を演じての受賞。もともと舞台女優であり、1991年の『Lost in Yonkers』(『ヨンカーズ物語』)でトニー賞を獲得している。

マーセデス・ルール(Mercedes Ruehl)
他に助演女優賞にノミネートされた方は以下の通り。
ダイアン・ラッド(ランブリング・ローズ)
ジュリエット・ルイス(ケープ・フィアー)
ケイト・ネリガン(サウス・キャロライナ/愛と追憶の彼方)
ジェシカ・タンディ(フライド・グリーン・トマト)