第48回アカデミー賞
第48回アカデミー賞は1976年3月29日に行われたアカデミー賞発表・授賞式である。

会場となったドロシー・チャンドラー・パビリオン
第48回目のアカデミー賞授賞式は、 ドロシー・チャンドラー・パビリオンで行われた。
結果は、ミロシュ・フォアマンが同名のベストセラー小説(著・ケン・キージー)を映画化した『カッコーの巣の上で』が、作品賞、監督賞、主演男優賞を含む5部門を受賞した。
作品賞『カッコーの巣の上で』( One Flew Over the Cuckoo's Nest)
狂人を装って刑務所入りを逃れた男、ランドル・パトリック・マクマーフィーが、過酷な精神病院に反抗し逃れようとするストーリー。アメリカでは興行収入1億ドルを超える大ヒットを記録し、アメリカン・ニューシネマの代表作の一つとなっている。
2012年に英『Total Film』誌が「映画史に残る演技ベスト200(The 200 Greatest Movie Performances of All Time)」を発表したが、第1位に本作でのジャック・ニコルソンの演技が選ばれた。
のちに『バック・トゥ・ザ・フューチャー』で知られるクリストファー・ロイドのスクリーンデビュー作でもある。

カッコーの巣の上で
作品賞のその他の候補作は以下の通り。
バリー・リンドン
狼たちの午後
ジョーズ
ナッシュビル
監督賞:ミロス・フォアマン『カッコーの巣の上で』
ミロス・フォアマンはのちに1984年の『アマデウス』でもアカデミー監督賞を受賞する。作曲家モーツァルトや画家ゴヤ、ポルノ雑誌「ハスラー」創刊者のラリー・フリントなどの伝記映画も製作している。

ミロス・フォアマン(Miloš Forman)
他の監督賞ノミネートと作品は以下の通り。
ロバート・アルトマン(ナッシュビル)
フェデリコ・フェリーニ(フェリーニのアマルコルド)
スタンリー・キューブリック(バリー・リンドン)
シドニー・ルメット(狼たちの午後)
主演男優賞:ジャック・ニコルソン『カッコーの巣の上で』
ジャック・ニコルソンはアカデミー賞にノミネートされること12回で、男優としては最多記録を誇る。受賞歴は主演2回、助演1回で、その内の初回が本作である。その次が1983年の『愛と追憶の日々』で助演男優賞、3度目が1997年の『恋愛小説家』で主演男優賞となっている。
ゴールデングローブ賞も計7回受賞し、1999年には功労賞を授与された。

ジャック・ニコルソン(Jack Nicholson)
主演男優賞のノミネートは以下の通り。
ウォルター・マッソー(サンシャイン・ボーイズ)
アル・パチーノ(狼たちの午後)
マクシミリアン・シェル(The Man in the Glass Booth)
ジェームズ・ホイットモア(Give 'em Hell, Harry!)
主演女優賞:ルイーズ・フレッチャー『カッコーの巣の上で』
ルイーズ・フレッチャーは、絶対権限を持って君臨する看護婦長ラチェッド役を演じて受賞。ゴールデングローブ賞 主演女優賞(ドラマ部門)にも輝いている。
このオスカー主演女優賞受賞の際には、聾唖者の両親に手話で感謝の言葉を述べた。
『ピケット・フェンス』や『スタートレック:ディープ・スペース・ナイン』、『ER緊急救命室』などテレビにも多く出演。

ルイーズ・フレッチャー(Louise Fletcher)
他に主演女優賞にノミネートされた方は以下の通り。
イザベル・アジャーニ(アデルの恋の物語)
アン=マーグレット(トミー)
グレンダ・ジャクソン(Hedda)
キャロル・ケイン(Hester Street)
助演男優賞:ジョージ・バーンズ『サンシャイン・ボーイズ』
『サンシャイン・ボーイズ』は1972年に演じられたニール・サイモンの同名演劇を原作としたコメディ映画。かつて「ルイスとクラーク」として知られ、サンシャインボーイズとも呼ばれる人気コメディアンであった年配男性2人の人生を描くストーリー。
コンビの片割れであるアル・ルイス役を演じたジョージ・バーンズは、実生活でも妻のグレイシー・アレンとコンビを組んでいたコメディアン。コメディ映画『オー!ゴッド』シリーズでは神様役を演じて人気を得ている。

ジョージ・バーンズ(George Burns)
助演男優賞のノミネートは以下の通り。
ブラッド・ドゥーリフ(カッコーの巣の上で)
バージェス・メレディス(イナゴの日)
クリス・サランドン(狼たちの午後)
ジャック・ウォーデン(シャンプー)
助演女優賞:リー・グラント『シャンプー』
『シャンプー』は、自分の店を持つという夢があるプレイボーイの美容師ジョージを主人公として、上流社会の淫らな一面を描いた風刺ドラマ。「スター・ウォーズ」のレイア役でブレイクする キャリー・フィッシャーの劇場用映画デビュー作でもある。
リー・グラントはジョージと関係をもつ資産家夫人のフェリシア役で出演して受賞した。

リー・グラント(Lee Grant)
他に助演女優賞にノミネートされた方は以下の通り。
ロニー・ブレイクリー(ナッシュビル)
シルヴィア・マイルズ(さらば愛しき女よ)
リリー・トムリン(ナッシュビル)
ブレンダ・ヴァッカロ(いくたびか美しく燃え)