古代文明の遺物?オーパーツとして人気を集めた「水晶ドクロ」
皆さんは「水晶ドクロ」というものをご存じでしょうか?文字通り、水晶で作られた人間の頭蓋骨の模型であり、マヤ文明・アステカ文明といった古代文明の遺跡において発掘されたとされる遺物です。2020年現在、十数個の水晶ドクロの存在が確認されています。
こちらが水晶ドクロの一例。

この水晶ドクロですが、当時の技術から考えると非常に精巧な仕上がりであるものが多く、オーパーツ(それが発見された遺跡の年代と比べて、不自然に高度な技術が用いられた遺物)のひとつに数えられることもあります。中には「現代の技術でも再現不可能な遺物」として紹介されるものも。この記事では、そんな水晶ドクロのうち著名なものをいくつかご紹介したいと思います。

ヘッジスの水晶ドクロ
まずご紹介するのは、オカルトマニアの間で最も有名であると思われる「ヘッジスの水晶ドクロ」。これは1920年代にイギリスの冒険家・ミッチェル=ヘッジスが中央アメリカ・ベリーズの遺跡で発見したとされているもので、「ヘッジス・ドクロ」とも呼ばれています。解剖学的に見ても非常に精巧に作られており、オーパーツとしての水晶ドクロを語る際には真っ先に挙がる代物です。
こちらが「ヘッジス・ドクロ」
ヘッジス・ドクロの特徴としてまず挙げられるのは、「下顎骨が取り外し可能である」という点。さらに、「道具による加工の跡が無い」「顔を再現するとマヤ人女性の容貌になる」「下から光を当てるとドクロが虹のような光を放つ」「文字を書いた紙をドクロの下に置くと、眼球部分からその文字が読める」といった、現代の技術でも不可能であるかのような特徴が、オカルト本などで紹介されていました。

どう見てもオーパーツにしか見えないヘッジス・ドクロですが、2008年になって大きな動きがありました。この年、発見者であるヘッジスの遺族がスミソニアン研究所にドクロの調査を依頼。すると、金属ドリルといった近代の技術で用いられる加工跡が見つかり、ドクロはベリーズの遺跡で発見されたものではなく「ドイツの古物商が作ったのではないか」という結論に至ったのです。この調査によって、ヘッジス・ドクロのオーパーツ説は否定されることとなりました。
ブリティッシュ・スカル
次にご紹介するのは、アステカ文明の遺跡で発掘されたとされる「ブリティッシュ・スカル」。大英博物館が所蔵していることからこの名称で呼ばれているもので、眼球のくり抜きが円形と、ヘッジス・ドクロに比べるとそこまで高い技術を用いて作られたものではないと推察されます。
こちらが「ブリティッシュ・スカル」

なお検証の結果、ブリティッシュ・スカルは19世紀後半にヨーロッパで作られたものであり、水晶の出所についても、含有物の解析から中南米ではなくマダガスカルで産出されたものであることがわかっています。
パリス・スカル
パリ人類学博物館が所蔵している「パリス・スカル」。アステカ文明の遺跡から発掘されたとされる高さ11cmの小型な水晶ドクロで、頭蓋骨のてっぺんから底辺まで、垂直の穴が形成されているのが特徴。こちらもヘッジス・ドクロと同時期の2008年に検証が行われ、19世紀後半にドイツで製造されたものであり、水晶はブラジル産であることが判明しました。
こちらが「パリス・スカル」

その他の水晶ドクロ
上述の3つの水晶ドクロが特に著名なのですが、それ以外にも紫水晶で作られた「アメジスト・スカル」、宇宙人のような容貌の「ETスカル」、薔薇水晶で作られた「ローズ・スカル」、内部が空洞になっている「カース・スカル(スミソニアンスカル)」など、10個以上の水晶ドクロが発見されています。これらの水晶ドクロですが、現在行方不明であったり既に近現代の作品と判定されているものも少なからずあり、オーパーツと断言するのは難しいというのが現状です。
「水晶ドクロ」様々な作品の題材にされる!!
オカルトマニアの夢を広げてきた水晶ドクロですが、オーパーツであることが確定するどころか逆に近現代以降に作られたものであることが続々と判明し、何とも残念な状況となっているのは事実です。しかしその一方で、水晶ドクロに夢を馳せる作品も登場しています。

その代表例は映画「インディ・ジョーンズ クリスタル・スカルの王国」で、「クリスタル・スカル」と呼ばれる謎の水晶ドクロを巡り争奪戦が繰り広げられるストーリーはオカルトマニアを熱狂させました。その他「ギャラリーフェイク 」「スプリガン」といった漫画にも水晶ドクロは登場しています。オカルトマニアの筆者としては、今後も水晶ドクロを扱った作品が出てくることを期待したいところです!
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