母と娘のぶつかり合いと愛情あふれるヒューマンドラマ【ネタバレあり】
母親のオーロラと娘のエマは、しょっちゅうケンカを繰り返しながらも、お互いを大切にしている親子。
オーロラは早くに夫を亡くし、娘を一人で育てますが、娘エマは若くして、大学教師のフラップとできちゃった結婚をし、家を出ます。
オーロラは一人になり、隣に引っ越してきた元宇宙飛行士ギャレットに好意を抱くようになります。
未亡人からなかなか一歩踏み出せなかったオーロラは、思い切ってギャレットと恋仲になりました。
エマは3人の子どもを授かるも、夫フラップの教え子との浮気から夫婦仲には隙間ができ、最終的にはお互いに浮気をし、ダブル不倫状態へ。
エマは子どもたちを連れてオーロラの元へ戻りますが、結局フラップを許し戻っていきました。
ギャレットは一人の女性と踏み込んだ関係になることができず、オーロラと分かれてしまいます。

物語前半は、コメディタッチの展開で物語は軽快に進みます。
後半は、エマが病になり、オーロラは子どもたち3人を面倒みながら、エマの看病をします。
ギャレットはオーロラのもとに戻り、2人はようやく素直に気持ちを伝えて、再びよりをもどします。
物語の結末は、エマとの早すぎる別れを迎え、悲しみに満ちたものでありながら、最愛の娘が残した子どもたちを守る決意にオーロラの強さを感じるエンディングでした。
作品のみどころは、母と娘の30年間に渡る物語だけではなく、深い愛情を感じることができること、そして、母オーロラが人生の後半に出会ったギャレットともう一度恋に落ち、その姿がかわいらしいところではないでしょうか。
念願のアカデミー主演女優賞を獲得:シャーリー・マクレーン
主演を務めたシャーリー・マクレーンは、ブロードウェイのダンサーとしてデビューし、その後映画女優となりました。
1960年に『アパートの鍵貸します』(The Apartment)で主演を務め、ゴールデングローブ賞 主演女優賞 (ミュージカル・コメディ部門) 受賞、ヴェネチア国際映画祭女優賞を受賞するも、アカデミー主演女優賞はノミネートだけで獲得できませんでした。

オードリー・ヘップバーンとダブル主演で演じた『噂の2人』も印象的でした。
同性愛に対して、今の時代からは考えられないような内容が考えさせられます。
ゴールデングローブ賞主演女優賞にノミネートされますが、受賞は逃しました。
1962年公開『噂の二人』オードリー・ヘップバーンとシャーリー・マクレーンの残酷で美しい同性愛を描いた映画! - Middle Edge(ミドルエッジ)
1977年に公開された『愛と喝采の日々』(The Turning Point)でも、元バレエダンサー役を好演。
作品自体も大ヒットし、アカデミー賞では10部門でノミネートされるも無冠に終わりました。

シャーリー・マクレーンは『愛と追憶の日々』でついにアカデミー主演女優賞を勝ち取りました。
満を持してというか、この作品までに5回も主演女優賞にノミネートされていながら、獲れなかったのが不思議なぐらいではないでしょうか。
名実ともにベテラン女優となり、現在も女優として活躍中です。
変わり者を演技させたらこの人しかいない:ジャック・ニコルソン
1969年公開の『イージーライダー』で、アルコール中毒の弁護士であるハンソン役を演じ、アカデミー助演男優賞にノミネートされ、一躍有名になりました。
【イージー・ライダー】ハーレーダビッドソンで理想と現実を駆け抜けた映画 - Middle Edge(ミドルエッジ)
6年後の『カッコーの巣の上で』でアカデミー主演男優賞を受賞し、作品は、アメリカだけで興行収入1億ドルを超える大ヒット。
物語は、主人公は刑務所での強制労働を免れようと、精神異常を装って入院するところから始まります。
入院先の病院で他の入院患者を巻き込んで事件を起こし、人間性までを統制しようとする病院へ抵抗する姿を描いた作品でした。

1980年の『シャイニング』(The Shining)でも強烈なインパクトを残しました。
衝撃のホラー映画!「シャイニング」を解説! - Middle Edge(ミドルエッジ)
ジャック・ニコルソンは『愛と追憶の日々』で、アカデミー賞助演男優賞に輝きました。
監督のジェームズ・L・ブルックスとは、1997年公開の『恋愛小説家』で再びタッグを組み、大ヒット。
『カッコーの巣の上で』から2度目の主演男優賞を獲得しました。

ジャック・ニコルソンの魅力は、コミカルからシリアスな役、そして、個性的な役まで幅広く演じられるところでしょう。
まとめ:もう一度観たい映画
邦題『愛の〜』がつく映画は何本もあり、原作の題名とかけ離れた意味の邦題も数多く、この作品もその一つではないでしょうか。
原題のTerms of Endearmentとは、愛情を込めて相手を呼ぶときの表現、英語では”ハニー”や”ベイビー”などのことばを指します。
「愛」はわかるとしても、なぜ「追憶」とつけたのか不思議ですが。。。時代の流れだったのでしょうか。
個人的には、20代の頃に初めて鑑賞したときには理解できなかった母親オーロラの気持ちが、今ならわかるのではないだろうかと感じ、もう一度観てみたい作品です。