世界中で猛威をふるう新型コロナウイルス感染症。
1月から2月上旬はまだ他人事だったこの問題はいまや世界中の最大関心事であり、人類が一丸となって越えなくてはならない問題となりました。
日本でも国、地域をあげて対策に取り組む昨今。社会安全、経済対策などで法律や予算など様々な調整事項を政治家、官僚の皆さんが検討しながら発信を続けているのが分かります。
そんななか、政治家が大きな方針を発信する際に用いる「専門家会議のみなさま」。
これすなわち、専門家による適切な予測をもとに慎重に検討した結果の政治判断であることを訴え、時として強い権限を発動することへの理解を求めるフレーズにも聴こえますが、この肝心要の大事なポストを構成するメンバーはどんな人たちなのか、まったく分からなかったのでまとめることとしました。
新型コロナウイルス感染症対策を行う組織
まずはこの新型コロナウイルス感染症に立ち向かう対策を、どのような組織が担っているのかみてみます。
以下の情報については↓の首相官邸のWebを参照してまとめております。
新型コロナウイルス感染症対策本部
新型コロナウイルス感染症対策本部
新型コロナウイルス感染症への対策を推進するために、新型インフルエンザ等対策特別措置法(いわゆる特措法)に基づいて設置されたのがこの組織。
令和2年1月30日に閣議設定され、同年3月17日、26日に一部改正が行われています。
こちらの構成員は下記の通り。
本部長
-内閣総理大臣
副本部長
-内閣官房長官
-厚生労働大臣
-特措法に関する事務を担当する国務大臣
本部員
-本部長と副本部長以外の全ての国務大臣
まさに国家の中枢メンバーが担う組織です。
これ以外にも
-本部長が必要な関係者の出席を求めることが出来ること。
-本部には幹事が設置され、幹事とは関係行政機関の職員で本部長が指名した官職に就いている人であること。
-本部における事務の一部を担当する、新型コロナウイルス感染症現地対策本部を設置出来ること。
が定められています。
新型コロナウイルス感染症対策本部の設置について
1月30日をはじめとして、3月26日までに実に23回の会議が開催されています。
新型コロナウイルス感染症対策本部幹事会
上述した新型コロナウイルス感染症対策本部が設置する幹事の総称が新型コロナウイルス感染症対策本部幹事会。以下のメンバーで構成され、それ以外にも議長が必要とする関係者の出席を求めることが出来ます。
議長
-内閣危機管理監
副議長
-内閣官房副長官補(内政担当)
-内閣官房副長官補(外政担当)
-内閣官房副長官補(事態対処・危機管理担当)
-内閣官房内閣審議官(内閣官房副長官補付)兼厚生労働省医務技監
構成員
-内閣官房内閣審議官(国家安全保障局)
-内閣官房内閣審議官(内閣官房副長官補(内政担当)付)
-内閣官房内閣審議官(内閣官房副長官補(外政担当)付)
-内閣官房内閣審議官(内閣官房副長官補付)兼厚生労働省大臣官房審議官(健康、生活衛生、アルコール健康障害対策担当)
-内閣官房内閣審議官(新型インフルエンザ等対策室長)
-内閣官房内閣審議官(健康・医療戦略室次長)
-内閣官房内閣審議官(東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会推進本部事務局企画・推進統括官)
-内閣官房内閣審議官(危機管理審議官)
-内閣官房内閣審議官(内閣広報室)
-内閣官房内閣審議官(内閣情報調査室)
-内閣府大臣官房総括審議官
-警察庁警備局長
-金融庁総合政策局総括審議官
-消費者庁次長
-復興庁統括官
-総務省大臣官房総括審議官(広報、政策企画(主)担当)
-消防庁次長
-法務省大臣官房政策立案総括審議官
-出入国在留管理庁次長
-外務省アジア大洋州局長
-外務省領事局長
-財務省大臣官房長
-文部科学省大臣官房サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官
-厚生労働省大臣官房審議官(危機管理、科学技術・イノベーション、国際調整、がん対策、国立高度専門医療研究センター担当)
-農林水産省大臣官房危機管理・政策立案総括審議官
-経済産業省大臣官房技術総括・保安審議官
-資源エネルギー庁長官
-中小企業庁長官
-国土交通省大臣官房危機管理・運輸安全政策審議官
-環境省大臣官房サイバーセキュリティ・情報化審議官
-原子力規制庁次長
-防衛省大臣官房衛生監
-防衛省統合幕僚監部総括官
物々しいくらいの肩書が並びますが、まさにオールジャパンで向き合っています。
こちらはいわば事務方なので表に出る人たちではありませんね。
3月26日までに2回、会議を開催していることが分かります。
新型コロナウイルス感染症対策専門家会議
私たちの多くは3月19日の第8回専門家会議の報告会見で、新型コロナウイルスに対する意識を高める必要性を感じたのではないでしょうか。
こちらが本稿の目的で、度々耳にする「専門家会議の皆様の見解」の現場を務め上げている方々ですね。
新型コロナウイルス感染症対策本部のもと、医学的な見地から助言を行うための組織と定められています。
2月14日に新型コロナウイルス感染症対策本部が決定した、責任重大な現場を担っているのはこの方々。3月26日までに9回の会議を開催しています。
座長
脇田隆字氏(国立感染症研究所所長)
副座長
尾身茂(独立行政法人地域医療機能推進機構理事長)
尾身茂 - Wikipedia
今回の件でもっともよくメディアに登場されている方でもあります。
WHOテドロス事務局長のポジションに就いていたかもしれない高名な方ですね。
構成員
-岡部信彦(川崎市健康安全研究所所長)
-押谷仁(東北大学大学院医学系研究科微生物分野教授)
-釜萢敏(公益社団法人日本医師会常任理事)
-河岡義裕(東京大学医科学研究所感染症国際研究センター長)
-川名明彦(防衛医科大学内科学講座(感染症・呼吸器)教授)
-鈴木基(国立感染症研究所感染症疫学センター長)
-舘田一博(東邦大学微生物・感染症学講座教授)
-中山ひとみ(霞ヶ関総合法律事務所弁護士)
-武藤香織(東京大学医科学研究所公共政策研究分野教授)
-吉田正樹(東京慈恵会医科大学感染症制御科教授)
新型コロナウイルスの厚生労働省クラスター対策班
ここ1ヶ月、世界各国の取組みの中で日本はクラスターを徹底的に追求し続けています。
この対策班で、最近メディアでお見かけするのがこの方。
西浦博(北海道大学 大学院医学研究科)
第4回専門家会議(2月29日)でクラスターという言葉が初めて登場します。
第5回専門家会議(3月2日)で、西浦氏の報告書が紹介されています。
いまだ世界で猛威を振るい、安全面や経済面で世界が一丸となって戦っている新型コロナウイルス感染症。
私たちの生活にも少なからず影響を与えており、苦しい状況にいる方も少なくないかと思います。
メディアの報道も不安を助長するという指摘がある一方、現実を伝えることの難しさと向き合っているかと思います。
そんな現況ですが、上記の組織、人々がこの件の先頭に立って頑張っていることをお伝え出来たらと思います。