多額の年金保険料をつぎ込んで全国に建設された「グリーンピア」
皆さんは「グリーンピア」という施設を覚えていますでしょうか?グリーンピアとは、田中角栄が掲げていた“列島改造論”の一環として、年金受給者などのための保養施設を全国各地に設置するという計画の下に建設されたものであり、年金保険料を原資とした年金積立金を投入し、1980年から1988年にかけて全国に13ヶ所が設置されました。

いわゆるバブル前夜~バブル絶頂期にかけて建設が進められたグリーンピアですが、その後のバブル崩壊、そして少子高齢化の加速による年金積立金の不安定化により、2001年にグリーンピア事業は廃止されることが決定。そして2005年、全国13ヶ所のグリーンピアはその全てが廃止され、地方公共団体などに譲渡(売却)されました。その際の売却金額は総額48億円であり、グリーンピアの総建設費用である1953億円とのあまりの乖離に、当時世間を騒がせたのは記憶に新しいところです。

全国各地に存在したグリーンピアの現在!!
廃止となって久しいグリーンピアですが、既に売却されてから10年以上の月日が経過しています。現在、グリーンピアの跡地はどうなっているのでしょうか?ここで主だった施設を取り上げてみたいと思います。
グリーンピア二本松
福島県に存在した「グリーンピア二本松」は、2002年に運営が停止され、その後は福島県二本松市に譲渡されました。そして二本松市は、2004年より「スカイピアあだたら」の営業を開始。不採算部門であった蒸気機関車の運行は廃止し、温浴施設、芝生広場、体育館などを展開しています。

スカイピアあだたら
グリーンピア津南
新潟県に存在した「グリーンピア津南」は、2005年に新潟県中魚沼郡津南町へと譲渡。現在はグリーンピアの名前を引き継いだ「ニュー・グリーンピア津南」として、ホテルやスキー場を展開しています。
ニュー・グリーンピア津南:幻想的な夢の世界へ!夜空に舞い上がるスカイランタン体験ができる露天温泉が魅力のホテル。る
グリーンピア恵那
岐阜県に存在した「グリーンピア恵那」は、2000年に運営が停止となりました。その後2004年には岐阜県恵那市に譲渡されたものの、施設は引き継がれず廃止に。施設の跡地は現在栗園になっており、モータースポーツのイベントの開催などに利用されています。
グリーンピア南紀
和歌山県に存在した「グリーンピア南紀」は、2003年に運営を停止後、2005年に和歌山県東牟婁郡の那智勝浦町及び太地町に譲渡されました。しかしその後の跡地開発は難航し、災害時の地元住民の避難所として利用されることに。そして2016年、日鯨研が2021年までに鯨類研究支所を設置することで決着しています。
グリーンピア指宿
鹿児島県に存在した「グリーンピア指宿」。こちらは2004年に民間企業へと譲渡され、現在は温泉やエステなどを楽しめる施設「指宿ベイヒルズ ホテル&スパ」として営業しています。

指宿ベイヒルズ
その他、グリーンピア岩沼(宮城県)、グリーンピア大沼(北海道)、グリーンピア三木(兵庫県)といった施設が譲渡されましたが、概ね現在の経営者によって、ホテルなどの施設として人気を博しています。かつて年金の無駄遣いとして糾弾されたグリーンピアですが、魅力的な施設へと生まれ変わったところも多いので、今後の旅行先として検討してみるのも良いと思います!
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