日本沈没、大地震、新幹線大爆破…70年代半ばに大流行した「パニック映画」

日本沈没、大地震、新幹線大爆破…70年代半ばに大流行した「パニック映画」

オイルショックなどの社会不安の中、70年代半ばに大流行した「パニック映画」。当時日本で流行した作品をいくつかピックアップしてご紹介したいと思います。


70年代半ばに大流行した「パニック映画」

皆さんは70年代半ばに大流行した「パニック映画」を覚えていますでしょうか?パニック映画とは、災害などの異常事態が発生し、それに立ち向かっていく人間模様をテーマにした映画のこと。日本においては高度経済成長が一段落し、オイルショックによる社会不安が高まった70年代前半から後半にかけて、洋画・邦画問わず多数のパニック映画がヒットしました。この記事では、当時日本で流行したパニック映画からいくつかピックアップしてご紹介したいと思います。

1973年に刊行され、驚異的なヒットを記録した五島勉の著書「ノストラダムスの大予言」。この書に代表されるように、ある種の終末感が日本を覆っていたのが70年代半ばという時代でした。

日本沈没

1973年公開の映画「日本沈没」。小松左京による同名小説を映画化したもので、日本列島が地殻変動及び地震により沈没していくさまを描いた、パニック映画の代表作とも言える作品です。小林桂樹、丹波哲郎、藤岡弘といった当時の人気俳優が数多く出演。本作では、ただパニックとなった人々を描くのみならず、国土を失った人々がその後もたくましく生きていこうとする姿勢も描写しており、娯楽性とともにメッセージ性も高い作品となっています。本作は国内で800万人を超える観客を動員、配給収入も16億円を超えるなど、1974年の邦画部門配給収入ランキングで堂々の1位を獲得しました。

大地震

1974年に公開された映画「大地震」。ハリウッドにおけるパニック映画ブームを代表する作品のひとつで、“センサラウンド”と呼ばれる地震の疑似体験音響が採用され、劇中に自分がいるかのような臨場感あふれる音響が大きな話題となりました。そして「ベン・ハー」のチャールトン・ヘストン、「北京の55日」のエヴァ・ガードナー、西部劇「ボナンザ」のローン・グリーンといったオールスターキャストの出演もあり、1974年における映画の世界興行成績では第6位を記録、日本でも翌1975年度の外国映画配給収入で第2位を記録しました。

新幹線大爆破

1975年公開の映画「新幹線大爆破」。1994年の映画「スピード」を彷彿とさせる「新幹線が走行速度80km/hを下回ると爆発する」という状況下での、犯人と国鉄・警察サイドの攻防に当時の日本は熱狂しました。高倉健、丹波哲郎、宇津井健、千葉真一といった当時の日本映画界のオールスターキャストが出演しただけでなく、犯人の犯行動機から読み取れる高度経済成長期への批判を暗示するなど、社会派な一面も垣間見える作品でした。

東京湾炎上

1975年に公開された「東京湾炎上」。前述の映画「日本沈没」のヒットに加え、当時は石油タンカーの爆発事故が相次いでいた時期でもあったことから製作された映画で、シージャックされた20万トンの巨大タンカー「アラビアンライト号」における、犯人グループと乗組員・日本政府の攻防を描いています。丹波哲郎、藤岡弘、宍戸錠、水谷豊といった錚々たる面子が出演し、また7メートルを超える巨大セットの「アラビアンライト号」や、様々な薬品・火薬を調合しての大爆発の演出など、当時の特撮ファン垂涎の作品となりました。

ノストラダムスの大予言

1974年公開の映画「ノストラダムスの大予言」。「日本沈没」のヒットにより生まれた東宝製作のパニック映画第2弾として上映され、当時ベストセラーを記録した五島勉による同名書籍を原作としています。寒天で海を制作することで赤潮を表現したり、山林が枯死するシーンを山のセットに希硫酸をかけて再現するなど、CG技術が未発達だった時代ならではのエピソードが多数残されています。このようなセットへのこだわりは、娯楽作品でありながらも「環境問題への警告」というテーマが本作に設定されていたためかもしれません。

ジョーズ

1975年公開の映画「ジョーズ」。原作は1974年のピーター・ベンチリーによる同名小説で、当時若干28歳の若手監督であったスティーヴン・スピルバーグの名前を世に知らしめた作品として有名です。平和なビーチに現れた人食い鮫の恐怖、そしてそれに立ち向かう人間の奮闘を描いた、70年代におけるパニック映画の代表作と言えます。日本だけでも配給収入が50億円を突破する世界的ヒット作であり、翌1976年の第48回アカデミー賞においては作曲賞、音響賞、編集賞をそれぞれ受賞しています。

グリズリー

1976年公開の映画「グリズリー」。国立公園に棲息する巨大ハイイログマ(グリズリー)が次々と人間を襲い惨殺するというパニック映画で、「ジョーズ」以降量産された「オルカ」「テンタクルズ」「キラーフィッシュ」といった、生物が人間を襲う“アニマル・ホラー”と呼ばれる作品群のひとつです。この手の作品としては低予算であったものの、特に日本で大ヒットとなり、1976年の外国映画興行成績において第8位、配給収入で5億9千万円を記録しました。

今回ご紹介するパニック映画は以上となります。皆さんの記憶に残る作品はありましたでしょうか?

おすすめの記事はこちら!

「日本沈没」(小松左京・原作)映画・テレビ・ラジオでもドラマ化されたSFの名作 - Middle Edge(ミドルエッジ)

リアルすぎる大地震に恐怖するパニック映画『大地震』 - Middle Edge(ミドルエッジ)

鳥だ 飛行機だ!「ジョーズ」だ! - Middle Edge(ミドルエッジ)

関連する投稿


【カウントダウン】あと2日!古舘伊知郎&友近「昭和100年スーパーソングブックショウ」いよいよ開催迫る!豪華ゲスト集結の東京国際フォーラムは「昭和愛」で熱狂へ!

【カウントダウン】あと2日!古舘伊知郎&友近「昭和100年スーパーソングブックショウ」いよいよ開催迫る!豪華ゲスト集結の東京国際フォーラムは「昭和愛」で熱狂へ!

開催直前!TOKYO MX開局30周年記念「昭和100年スーパーソングブックショウ」が10月16日に迫る。古舘伊知郎と友近がMC、豪華ゲストと共に贈る一夜限りの昭和ベストヒットに期待高まる!


消えた回転寿司チェーンの記憶──昭和・平成を彩ったあの店はいまどこに?

消えた回転寿司チェーンの記憶──昭和・平成を彩ったあの店はいまどこに?

昭和から平成にかけて、全国各地で親しまれていた回転寿司チェーンの数々。家族の外食、旅先の楽しみ、地元の定番──いつしか姿を消したあの寿司屋は、なぜ消え、どこへ行ったのか。本記事では、現在は閉店・消滅した地域密着型の回転寿司チェーンを、当時の特徴やSNSの証言とともに記録として振り返る。


レトロゲーム配信サービス「プロジェクトEGG」より『トラぶるCHASER 第1話』『3Dテニス』が配信スタート!!

レトロゲーム配信サービス「プロジェクトEGG」より『トラぶるCHASER 第1話』『3Dテニス』が配信スタート!!

レトロゲーム関連の復刻・配信ビジネスなどを行うD4エンタープライズが運営するレトロゲーム配信サービス「プロジェクトEGG」にて、新規コンテンツ『トラぶるCHASER 第1話 トラブルは空から未来から(PC-9801版)』『3Dテニス(MSX版)』の配信がスタートしました。


抜群のスタイルで💦世の脚光を浴びた『広田恵子』現在は?!

抜群のスタイルで💦世の脚光を浴びた『広田恵子』現在は?!

高校時代からモデル活動を始め1986年に「カネボウ・スイムウエアイメージモデル」として脚光を浴びた広田恵子さん。現在は家族で〇〇を組んで活動している・・・。


完璧・無量大数軍の一人「完肉」の称号を持つキン肉マン『ネメシス』が、SpiceSeedキン肉マンシリーズに登場!!

完璧・無量大数軍の一人「完肉」の称号を持つキン肉マン『ネメシス』が、SpiceSeedキン肉マンシリーズに登場!!

ハイクオリティフィギュアの製造・販売で好評を博している株式会社SpiceSeed フィギュア事業部より、キン肉マンシリーズのフィギュア『ネメシス』が発売されます。


最新の投稿


世界が熱狂!葛飾商店街×『キャプテン翼』コラボ「シーズン2」開催!新エリア&限定メニューで街を駆け抜けろ!

世界が熱狂!葛飾商店街×『キャプテン翼』コラボ「シーズン2」開催!新エリア&限定メニューで街を駆け抜けろ!

葛飾区商店街連合会は、2025年10月10日より『キャプテン翼』とのコラボイベント「シーズン2」を亀有・金町・柴又エリアで開催。キャラクターをイメージした限定メニューやスタンプラリーを展開し、聖地巡礼と地域活性化を促進します。


キン肉マン愛が英語力に!超人たちの名言・名場面で学ぶ『キン肉マン超人英会話』発売

キン肉マン愛が英語力に!超人たちの名言・名場面で学ぶ『キン肉マン超人英会話』発売

人気アニメ『キン肉マン』の「完璧超人始祖編」の名言・名場面を題材にした英会話学習書『キン肉マン超人英会話』が、2025年11月29日(土)にKADOKAWAより発売されます。超人たちの熱い言葉を通じて、楽しみながら実用的な英語表現をインプットできます。TOEIC満点保持者やプロレスキャスターなど、豪華プロ集団が監修・翻訳を担当した、ファン必携の英語学習本です。


【カウントダウン】あと2日!古舘伊知郎&友近「昭和100年スーパーソングブックショウ」いよいよ開催迫る!豪華ゲスト集結の東京国際フォーラムは「昭和愛」で熱狂へ!

【カウントダウン】あと2日!古舘伊知郎&友近「昭和100年スーパーソングブックショウ」いよいよ開催迫る!豪華ゲスト集結の東京国際フォーラムは「昭和愛」で熱狂へ!

開催直前!TOKYO MX開局30周年記念「昭和100年スーパーソングブックショウ」が10月16日に迫る。古舘伊知郎と友近がMC、豪華ゲストと共に贈る一夜限りの昭和ベストヒットに期待高まる!


ギタリスト 鈴木茂「BAND WAGON」発売50周年記念ライブを東阪ビルボードで開催!

ギタリスト 鈴木茂「BAND WAGON」発売50周年記念ライブを東阪ビルボードで開催!

ギタリスト 鈴木茂が、『鈴木茂「BAND WAGON」発売50周年記念ライブ~Autumn Season~』を11月13日にビルボードライブ大阪、16日にビルボードライブ東京にて開催する。今回は、1975年にリリースされた1stソロアルバム「BAND WAGON」の発売50周年を記念したプレミアム公演となる。


【1965年生まれ】2025年還暦を迎える意外な海外アーティストたち!

【1965年生まれ】2025年還暦を迎える意外な海外アーティストたち!

2025年(令和7年)は、1965年(昭和40年)生まれの人が還暦を迎える年です。ついに、昭和40年代生まれが還暦を迎える時代になりました。今の60歳は若いとはと言っても、数字だけ見るともうすぐ高齢者。今回は、2025年に還暦を迎える7名の人気海外アーティストをご紹介します。