バッチでもバッジでもなく、バッヂ。今や伝説のバントと呼ばれている「The BADGE」の音楽を聴いてくれっ!

バッチでもバッジでもなく、バッヂ。今や伝説のバントと呼ばれている「The BADGE」の音楽を聴いてくれっ!

ブリティッシュ・ビートにポップなメロディ。そこに絶品のコーラス。これがザ・バッヂのサウンド。シンプルでタネも仕掛けもありませんが、その分、思いっきり熱いロックン・ロールを聴かせてくれます。


The BADGE

2001年、海外でリリースされたパワーポップのオムニバスアルバムに日本人として唯一収録されたことから欧米で注目され、近年、若い世代からも「パワーポップの先駆者的な存在」と再評価されているThe BADGE。
そう、バッチでもバッジでもなく、バッヂですよ。メンバーは、中村昭二(Vo.& G.)、田中信昭(Vo.& B.)、川崎哲(Vo.& Dr.)の3人で、1982年にデビューし、1986年に解散したビート・バンドです。

写真右から、中村昭二(g)、田中信昭(b)、川崎哲(d)

The BADGE

その音楽性は、60年代のイギリスのバンドである、Small Faces、The who、The kinks、またはアメリカのモータウンサウンドなどの影響を強く受けた所謂モッズ・バンドです。同時代と言うことでは、ギリスのThe Jamを彷彿とさせます。

ポール・ウェラー (Paul Weller / Vo,G)、ブルース・フォクストン (Bruce Foxton / Vo,B)、リック・バックラー (Rick Buckler / Ds)

The Jam

The BADGEとThe Jam。使用している楽器からファッションまで、共通点は多いです。モッズ族は、ご存知のように音楽性だけではなく、ファッションに独特の特徴があります。そのことを歌にしたThe BADGEの「Going Back To My 60's」を先ず聴いてみましょう。

60年代のイギリスへの憧れといいますか、想いが目いっぱい詰まった曲ですね。シャリン、シャリンと鳴っている特徴的なギターは、リッケンバッカーというメーカーのものです。Tha Jamは勿論のこと、初期のThe Whoも使っていて、モッズ・バンドの定番の楽器です。
で、楽器だけではなく、このメロディに、このアレンジ。これぞ、モッズ!これぞ、スリーピース。ビート・バンドの定番といってよい楽曲になっています。

ふたりのフォトグラフ

長いアマチュア時代を経て、The BADGEがデビューしたのは1982年です。1982年4月20日、22~23日にレコーディングし、7月25日に目出度くデビューシングル「ふたりのフォトグラフ」がリリースされます。

B面:うかれ気分でDancing

ふたりのフォトグラフ

デビュー曲がリリースされる約1ヶ月前の6月16日に、憧れのThe Jamの来日公演でオープニングアクトを務めています。その際にポール・ウェラーから「日本で観たバンドの中で一番良かった」、The Jamのマネージャーからは「イギリスでデビューするといい」と言われたというのは有名な話です。
で、先に触れた海外でリリースされたパワーポップのオムニバス盤に収録されたのが、このデビュー曲のB面の「うかれ気分でDancing」でした。

初期のThe whoの曲にインスパイアされ、The Jam経由で出来たって感じの曲でしょうか。なぜこの曲がオムニバスに選ばれたのかは分かりませんが、ポップで良い曲ですよね。
ただ、リアルタイムでこうした反響があれば良かったのですが、当時は海外はおろか、日本の音楽シーンにおいても、「シーン」としていてセールス的には悲しい結果に終わっています。

TOUCH

「タッチ」といっても、マンガやアニメではありませんし、岩崎良美でもありません。The BADGEのファースト・アルバム「TOUCH」のことです。
「TOUCH」は、1983年1月21日、セカンド・シングル「ウインクはお手のもの」に続いて、5月21日にリリースされました。

1. Lady on the radio
2. Going Back to My 60’s
3. Down Town セ ンセイション
4. 飛べない天使
5. いかれた調子で
6.傷だらけの Teddy Boy
8. Sexy Driver
9. 甘い夜
10. 内気なサンディー
11. 口びるかみしめて
12. Lady Action
13. Union Jack に魅せられて
14.Last Chance

TOUCH

立て続けにリリースされて順風満帆にように見えますが、実はそうではありません。「TOUCH」の収録曲を改めてご覧ください。ファースト・シングルもセカンド・シングルも入っていません。そうなんです。これはですねぇ、2枚のシングルがテイチクレコードからリリースされていたのに対し、「TOUCH」は新興のバリスタレコードからだったんですねぇ。収録できなかったんでしょうね。商業的なことを考えると、入れたかったでしょうねぇ。しかし、しかしです。「TOUCH」はもの凄く、すんばらしいアルバムに仕上がっているんです。

名盤。もう、間違いなく名盤です。ただし、商業的には惨敗でしたので、隠れた名盤というべきかもしれません。チクショー、そう言わざるを得ないところが悔しい。クッソー、そう言わざるを得ないところがもどかしい!本人たちもそうだったに違いありません。メロディアスでポップな楽曲揃いであるにもかかわらず、歌詞に目を向ければ、当時の辛い思い、悲しい思いを詰め込んだ楽曲が散見されます。
その代表となると「Union Jackに魅せられて」でしょうか。

最高のビート・ナンバー!アルバムにはこうした曲が山のように詰め込まれています。まさしく全14曲捨て曲なし!です。
全曲シングルに出来るんじゃないかと思えるほどにポップな曲ばかり。なのですが、このアルバムもまた当時は一部のマニアの間で噂になった程度で、注目されることはありませんでした。そして再度レコード会社を移籍することになります。

12インチ

1984年、所属事務所をホリプロダクション系列のカレイドスコープ移籍に伴い、レコード会社もキングレコードに。そしてThe BADGEは、5月からセカンド・アルバムのレコーディングに取り掛かります。内容は主人公のOne boyと、親友のJohnny、恋人のMelodyらによる物語という、トータル・アルバムです。アルバムに先駆け、8月に通算3枚目となるシングル「A列車を飛び降りろ」をリリース。

B面:	Black Generation

A列車を飛び降りろ

なんというか、プロダクションの力とでもいうのでしょうか?!なんなんでしょう、このジャケット。おもいっきりの80年代。曲は悪くないんですよ。もろにThe BADGEサウンドです。なのに、なんなんだ、この衣装は!モッズの香りゼロです。時代と言ってしまえばそれまでですが、当時大成功していたレベッカとかバービーボーイズとかのビジュアル路線ですね。ヒドイ。こりゃないわ。

ここまで頑張ったのに、この曲も報われず。。。が、同時にThe BADGE初となる12インチ・シングルもリリースしたのです。

Side-A
MESSAGE FROM U.K. (Dedicated To Ray Davis)
LONDON PARADISE

Side-B
恋するDANCIN' BEAT
悲しみのCLOWN

ロンドン・パラダイス

The Jamとの共通点に、音楽性やファッション意外にもうひとつ「ジャケット・デザインがヒドイ」というのがあります。なんなんだろこのジャケットは!確かにThe Jamもアルバム、シングル共に酷かった。内容は最高なのにです。誰もジャケ買いなんてしないわなという代物でしたが、The BADGEも負けてはいないということでしょう。
もしかすると、少年隊なのかな?時代的に考えて。

続・じれったいね (海外版)

少年隊

いや、そうじゃない。やっぱりThe Jamなのでしょう。

アルバム:The Gift

The Jam

ジャケットは置いといて、その後、11月24日には通算4枚目となるシングル「OH!CAROL」をリリース。この曲はSEIKO時計のCMソングとなりました。タイアップでうs。さすが大手プロダクションの息がかかると違いますね。が、これまた話題にはならず、日の目を見るには至りませんでした。それでも翌月の12月5日には2枚目の12インチ「99 CLUB」をリリース。

Side-A
IN THE STREET
JUMPING STEP

Side-B
BABY I LOVE YOU
TOUCH ME

99 CLUB

更には1985年8月21日に3枚目となる12インチ「ONE BOY」リリース。

Side-A
Get it Rock!
Dream On!

Side-B
Bad Boy Serenade
ONE BOY in TOKYO

ONE BOY

何故このように立て続けに12インチ・レコードをリリース出来たかというと、楽曲はセカンド・アルバム用として録音されてたものが流用されたからなんです。つまり、セカンド・アルバムの企画はポシャッた。意欲的に取り組んでいたんでしょうけどねぇ。
セカンド・アルバムの企画は消えてしまいましたが、連続してリリースされた3枚の12インチは悪かろう筈がありません。間違っても少年隊ではありません。The Jamです!

The Whoにも未完となったアルバム「ライフハウス」というものがありますが、本人達が意図したことではないとはいえ、そこまで合わせなくてもねぇ。
これはモッズ・バンドの試練というか、宿命なのかもしれませんね。それにしても残念です。聴いてみたかったな、セカンド・アルバム。

未発表音源

3枚目の12インチ・シングル「ONE BOY」をリリースしてから約1年後の1986年9月22日のライブを持ってThe BADGEは解散してしまいます。
残念としか言いようがありません。立て続けにリリースされた3枚の12インチ・シングルは、現在「Complete Of King Years/キングレコード全曲集1984-1985」というアルバムにまとめられ販売されています。

1. A列車を飛び降りろ
2. BLACK GENERATION
3. OH! CAROL
4. YOU ARE STRANGER
5. MESSAGE FROM U.K.
6. LONDON PARADISE
7. 恋するDANCIN' BEAT
8. 悲しみのクラウン
9. IN THE STREET
10. JUMPING STEP
11. BABY I LOVE YOU
12. TOUCH ME
13. GET IT ROCK!
14. DREAM ON!
15. BAD BOYセレナーデ
16. ONE BOY IN TOKYO

Complete Of King Years/キングレコード全曲集1984-1985

現役時代日の目を見ることのなかったThe BADGEが、何故「Complete Of King Years/キングレコード全曲集1984-1985」などというコンプリート版がリリースされることになったかといえば、勿論、先述したオムニバス盤によって注目されたからです。
しかも、再評価どころか新たなファンを産みつづけているということで、2003年から未発表音源集がリリースされているんです。

  1. 悲しきミッドナイト・ロッカー
  2. Tomorrow
  3. ロンリー・ナイト
  4. リバティ
  5. 悲しみを抱きしめたままで
  6. Rainy Day
  7. 雨のマンデイ
  8. あかぬけしないMoonlight
  9. 危険なルーレット
  10. Winter in the city
  11. 哀しきプリズナー
  12. Come on!
  13. ブリキのおもちゃ(Too Younge To Die)
  14. ガラス張りの恋~Mono Radio Mix~
  15. Tonight
  16.クレイジー・ランデブー

SMASH IT UP!~未発表音源VOL.1

「SMASH IT UP!~未発表音源VOL.1」と「STRIKES BACK! ~未発表音源 VOL.2」は同時にリリースされました。「SMASH IT UP!~未発表音源VOL.1」の最後に入っているいかにもThe BADGEといった勢いのあるナンバー「クレイジー・ランデブー」はシークレット・トラックになっておりライブ音源です。同曲のスタジオ・バージョンは2枚目の「STRIKES BACK! ~未発表音源 VOL.2」に入っています。

1.シュガーレス・ガール
2.ビート仕掛けのグラフィティ
3.スタンディング・ミドル・オブ・ザ・ロード
4.まだ見ぬお前に(Hard Tour)
5.Mr.Girl
6.素敵なMusic
7.プライベート・タイム
8.One More Time
9.エンジェル・キッス
10.電話Box
11.インスタント・ガール
12.クレイジー・ランデブー
13.Yes!
14.You Are Everything
15.心から愛する君に 
16.孤独なDancing Qeen

STRIKES BACK! ~未発表音源 VOL.2

で、「STRIKES BACK! ~未発表音源 VOL.2」の最後の「孤独なDancing Qeen」もシークレット・トラックでライブ音源。スタジオ・バージョンは3枚目の未発表音源集「THE BADGE IS HERE AGAIN!! ~未発表音源 VOL.3」に収録されているというニクイ作りとなってます。

1.孤独なピアニスト
2.Going My Way
3.暗闇を駆け抜けろ
4.Juke Box Party
5.Don't Disturb Love(ショーがはねたら)
6.今夜だけはパラダイス
7.壊れたハート
8.八方美人に八方ふさがり
9.コインランドリー
10.Happy Days Heavy Days
11.孤独なDancing Queen
12.Lucky Boyになりたい
13.My Name Is B
14.アンコール THE アルコール

THE BADGE IS HERE AGAIN!! ~未発表音源 VOL.3

これら3枚のアルバムに収録されている楽曲はお世辞にも音が良いとは言えません。まぁ、悪いです。が、そんな事など関係なく楽しめます。音の悪さなど「糞食らえ」といった勢いがあるんですね。どの曲にもね。まさにThe BADGEそのものです。解説によればこれら3枚のアルバムにまとめられた楽曲は、ほとんどが一発録りだそうです。しかも録音スタジオではなく、練習スタジオでの録音だとか。
楽曲の良さが際立っていて、そんなことは気にもなりませんけどね。

それでは最後に、恐らく現存するThe BADGE唯一のプロモーションビデオ、「A列車を飛び降りろ」を聴きながら締めることにします!

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