日本では法によって明文化された放送禁止用語がほぼ存在しないので、放送事業者の自主規制ということになります。2008年以降はおもに視聴者からのクレームにより適宜定められるものとなり、「放送注意用語」あるいは「放送自粛用語」などとも呼ばれています。
具体的には対象となる言葉や表現をリストアップするのではなく「放送基準の精神」の解釈、個人がそれまでに身につけた良識に放送基準の精神を加えたものが「放送基準マインド」であるとされ、放送に携わる者それぞれの持つ自主基準によって運用されています。実に曖昧で現場が混乱するような気がしますね。。。
地上波の「放送禁止用語」の厳しすぎる自主規制のため「懐かしい過去の名作」は再放送ができない - Middle Edge(ミドルエッジ)
表現の自主規制
表現の自由が「絶対的で無制限」なものではないという考えから、表現者自身が斟酌して自らの表現に制限を課すことを自主規制と呼びます。
個々の表現者の責任不在
欧米では文化的経緯によりマスコミの規制ではなく、著者など個々の表現者の責任における自律が一般的であるのに対し、日本の場合は個々の表現者の責任よりもマスコミの直接責任が問われることが多く、マスコミが自主基準をもって規制を行うのが一般的となっています。
ところが近年のインターネット普及によって誰もが自由に情報発信できるようになったことから、個々の表現者の責任不在、すなわち個人の言いたい放題が問題となっており個人の人権意識レベルが問われるようになっています。
表現を認めた場合と規制した場合の社会的利益を比較衛量する「利益衛量」基準を個々人が斟酌するのは難しい気がします。情報発信者の責任について、まだまだ啓蒙が必要な段階かもしれません。
欧米との違い
日本では、原作漫画に存在した残虐や暴力・お色気描写を規制する動きが1990年代以降には急増しています。また音楽においても発売禁止、歌詞変更といったレコード会社の判断の他に猥褻、暴力表現が強いとされる曲は、放送局の判断で放送されないことがあります。
昭和の歌♪ナンセンスソング&放送禁止指定ソング - Middle Edge(ミドルエッジ)
放送倫理・番組向上機構(BPO)
その目的には
「本機構は、放送事業の公共性と社会的影響の重大性に鑑み、言論と表現の自由を確保しつつ、視聴者の基本的人権を擁護するため、放送への苦情や放送倫理上の問題に対し、自主的に、独立した第三者の立場から迅速・的確に対応し、正確な放送と放送倫理の高揚に寄与することを目的とする」
とあります。
旧郵政省に設置された「多チャンネル時代における視聴者と放送に関する懇談会」が1996年12月に出した報告書の中で、「視聴者の苦情に対応するための第三者機関を設けるべき」との意見が盛り込まれたことを受け、NHKと民放連が1997年5月に「放送と人権等権利に関する委員会機構」(略称:BRO)を設置。BROのもとに第三者の有識者で構成される「放送と人権等権利に関する委員会」(略称:BRC)が置かれました。
後にBROは機能強化のため、「放送番組委員会」及び「放送と青少年に関する委員会」を擁する放送番組向上協議会と2003年7月に統合することで、現在の放送倫理・番組向上機構(BPO)に改組されています。
理事会、評議会と3つの委員会
理事会、評議会と理事会統括下に事務局が置かれ、事務局は「放送倫理検証委員会」「放送と人権等権利に関する委員会」「放送と青少年に関する委員会」の3つの委員会を統括しています。
各委員会ごとに「勧告」や「見解」「提言」などを適宜表明します。
放送倫理検証委員会から意見・勧告・見解がなされた事案
以下、各委員会の扱った事案については下記より。
放送倫理・番組向上機構 - Wikipedia
