令和の和は「和らぎ(やわらぎ)」、古代から脈々と繋がる日本の心ですね。

令和の和は「和らぎ(やわらぎ)」、古代から脈々と繋がる日本の心ですね。

新元号「令和」発表は国中が注目した出来事でした。この和は「やわらぎ」を表します。古代日本で「和」といえば17条憲法の「和を以て貴しとなす」ですが、17条憲法の全17条、ご存知ですか?


2019年4月1日、同月30日の天皇の退位を前に、「平成」に代わる元号として「令和(れいわ)」が発表されました。

新天皇の即位日となる2019年5月1日に改元が行われますが、この語源が結構話題になった気がします。まず、近代以降の日本の憲政史上初めて、天皇の生前退位による皇位の継承に伴って改元が行われること。そして、それまでの元号は中国の古典を典拠としてきた中、初めて日本古典、つまり日本人が作った書籍から作った点などからです(確認できる限りの話として)。

新元号「令和」

「令和」は日本最古の歌集『万葉集』の巻5、梅花の歌32首の序文にある

「初春の令月にして、気淑(よ)く風和らぎ、

梅は鏡前の粉を披(ひら)き、蘭は珮後(はいご)の香を薫らす」

から二文字をとって命名されました。

この序文は、天平2(730)年の正月に大伴家持の父、大伴旅人が大宰府で開かれた宴で詠まれた「梅花の歌32首」の序文なので、大宰府市の盛り上がり感たるや、もう。

そして・・・天平文化というか、当時の日本人にとって花といえば梅でした。桜ではなく、梅なんです。『万葉集』にも梅を歌ったものが多く見受けられます。大陸(中国)文化の影響もあったことは確かですが、さておき、新年から花を愛でる心は今も昔も同じだと思います。何の花を愛でるか、ではなく「花を愛でる」心は古代も今も日本人の心として受け継がれているかな、と。

そんなこともあるのかは分かりませんが、さておき、『万葉集』を選んだ理由について「1200年余り前に編纂された日本最古の歌集であるとともに、天皇や皇族、貴族だけでなく、防人や農民まで、幅広い階層の人々が詠んだ歌が収められ、我が国の豊かな国民文化と長い伝統を象徴する国書であります」と安倍首相は説明しております。

新しい時代がどうなっていくのか、楽しみです(笑顔)
…と、文章を締めるつもりは毛頭なく。今回は「和」について。

「和を以て貴しとなす」

古代日本で「和」といえば、おそらく歴史の授業で誰もが習ったであろうフレーズが。

「和を以て貴しとなす」。

これ、一度は聞いたことがあると思います。おそらくは。

さらには、おそらく「ワをもってとうとしとなす」と教わっている気がします。しかし、コレ、実は「ヤワラグ」と読みます。や・わ・ら・ぐ。だから新元号「令和」の語源となった序文も「和らぐ(やわらぐ)」なんです。

厩戸皇子(うまやどのみこ、うまやどのおうじ)=聖徳太子(この呼び方は、厩戸皇子の死後から)が制定した十七条憲法(じゅうしちじょうのいつくしきのり)の第一条に出てくる言葉です。時代にして推古天皇12年(604年)。令和の元ネタの梅花の宴(730年)から126年前!

そんな和を持ってナントヤラ・・・17条全部を知っている人は少ないかと思います。というか17条憲法って何?という人の方が多いと思います。ここでいう「憲法」は、現代のような「法律」という意味合いではありません。「みんなで守る決まりごと」みたいな意味なんです。

17条憲法

一に曰く、和(やわらぐ)を以て貴しと為し、忤(さか)ふること無きを宗とせよ。
二に曰く、篤く三宝を敬へ。
三に曰く、詔を承りては必ず謹(つつし)め、君をば天(あめ)とす、臣をば地(つち)とす。
四に曰く、群臣百寮(まえつきみたちつかさつかさ)、礼を以て本とせよ。
五に曰く、饗を絶ち欲することを棄て、明に訴訟を弁(さだ)めよ。
六に曰く、悪しきを懲らし善(ほまれ)を勧むるは、古の良き典(のり)なり。
七に曰く、人各(おのおの)任(よさ)有り。
八に曰く、群卿百寮、早朝晏(おそく)退でよ。
九に曰く、信は是義の本なり。
十に曰く、忿(こころのいかり)を絶ちて、瞋(おもてのいかり)を棄(す)て、人の違うことを怒らざれ。
十一に曰く、功と過(あやまち)を明らかに察(み)て、賞罰を必ず当てよ。
十二に曰く、国司(くにのみこともち)・国造(くにのみやつこ)、百姓(おおみたから)に収斂することなかれ。
十三に曰く、諸の官に任せる者は、同じく職掌を知れ。
十四に曰く、群臣百寮、嫉み妬むこと有ること無かれ。
十五に曰く、私を背きて公に向くは、是臣が道なり。
十六に曰く、民を使うに時を以てするは、古の良き典なり。
十七に曰く、夫れ事独り断むべからず。必ず衆(もろもろ)とともに宜しく論(あげつら)
ふべし。

・・・多分、この文章では意味分からないと思います。古語だし。
ということで、自分なりに関西言葉的に現代語訳をしたらこうなります。

17条憲法を関西言葉で現代語訳!

① 仲良くせえよ(コレが「和をもって…」)

② 仏教だいじやで

③ 天皇の詔第一や

④ 礼儀を忘れんなや

⑤ 民の声は等しく聞けや

⑥ 勧善懲悪サイコー

⑦ 自分の仕事はしっかりせえ

⑧ 1日しっかりお仕事や

⑨ 真心ってだいじやなあ

⑩ 意見違うの、あたりまえや

⑪ 賞罰は正しくやで

⑫ トップは天皇。勝手すんな

⑬ 仕事サボるな

⑭ 妬むなや

⑮ 公私分けろや

⑯ 時期みて仕事はさせような

⑰ 勝手に決めんな話し合え

案外、現代社会でも通じる内容も多い気がします。古代の「和(やわらぎ)」そして梅花の宴の「和らぎ(やわらぎ)」、そして私たちの時代の「和」。古代から脈々と繋がる日本の心だと思います。

新たな時代が始まります。楽しみです。

関連する投稿


武将の能力値記載のカードで歴史を学びながら遊べる!「信長の野望」のカードゲーム『信長の野望 戦国武将かるた』が発売!!

武将の能力値記載のカードで歴史を学びながら遊べる!「信長の野望」のカードゲーム『信長の野望 戦国武将かるた』が発売!!

講談社より、40年以上愛され続ける「信長の野望」シリーズの公式カルタ『信長の野望 戦国武将かるた』が現在好評発売中となっています。価格は2750円(税込)。


70年代前半に巻き起こった「日本語ロック論争」を特集したNHK Eテレ「世界サブカルチャー史」が放送決定!!

70年代前半に巻き起こった「日本語ロック論争」を特集したNHK Eテレ「世界サブカルチャー史」が放送決定!!

NHK Eテレにて、70年代前半を中心に邦楽ロックシーンに巻き起こった「日本語ロック論争」について特集した番組「世界サブカルチャー史 欲望の系譜 シーズン4 21世紀の地政学」ポップス編 第2回の放送が決定しました。


世界初はハリボー!日本初は?グミの歴史と人気商品をまとめてみた!

世界初はハリボー!日本初は?グミの歴史と人気商品をまとめてみた!

今ではコンビニお菓子の主役の1つともいわれているグミ。今では大人でも好きな人が多いですよね。日本にグミが浸透するまでの歴史をまとめてみました。


「どうする家康」と1983年の「徳川家康」のキャストを比べてみた!

「どうする家康」と1983年の「徳川家康」のキャストを比べてみた!

2023年の大河ドラマは「どうする家康」が放送されていますが、40年前の大河ドラマも「徳川家康」を放送していました。当時と現在のキャストや内容を比べてみました。


男女の出会いのスタンダード!?お見合いはいつからある?お見合いの歴史

男女の出会いのスタンダード!?お見合いはいつからある?お見合いの歴史

仲人さんがお見合いに臨んだ男女に向かって「後は若い二人でオホホ…」というセリフはお見合いの席での定番ですよね。男女の出会いの方法として昔からポピュラーですよね。そんなお見合いはいつから行われているのでしょうか?今回は日本におけるお見合いの歴史についてご紹介します。


最新の投稿


世界が熱狂!葛飾商店街×『キャプテン翼』コラボ「シーズン2」開催!新エリア&限定メニューで街を駆け抜けろ!

世界が熱狂!葛飾商店街×『キャプテン翼』コラボ「シーズン2」開催!新エリア&限定メニューで街を駆け抜けろ!

葛飾区商店街連合会は、2025年10月10日より『キャプテン翼』とのコラボイベント「シーズン2」を亀有・金町・柴又エリアで開催。キャラクターをイメージした限定メニューやスタンプラリーを展開し、聖地巡礼と地域活性化を促進します。


キン肉マン愛が英語力に!超人たちの名言・名場面で学ぶ『キン肉マン超人英会話』発売

キン肉マン愛が英語力に!超人たちの名言・名場面で学ぶ『キン肉マン超人英会話』発売

人気アニメ『キン肉マン』の「完璧超人始祖編」の名言・名場面を題材にした英会話学習書『キン肉マン超人英会話』が、2025年11月29日(土)にKADOKAWAより発売されます。超人たちの熱い言葉を通じて、楽しみながら実用的な英語表現をインプットできます。TOEIC満点保持者やプロレスキャスターなど、豪華プロ集団が監修・翻訳を担当した、ファン必携の英語学習本です。


【カウントダウン】あと2日!古舘伊知郎&友近「昭和100年スーパーソングブックショウ」いよいよ開催迫る!豪華ゲスト集結の東京国際フォーラムは「昭和愛」で熱狂へ!

【カウントダウン】あと2日!古舘伊知郎&友近「昭和100年スーパーソングブックショウ」いよいよ開催迫る!豪華ゲスト集結の東京国際フォーラムは「昭和愛」で熱狂へ!

開催直前!TOKYO MX開局30周年記念「昭和100年スーパーソングブックショウ」が10月16日に迫る。古舘伊知郎と友近がMC、豪華ゲストと共に贈る一夜限りの昭和ベストヒットに期待高まる!


ギタリスト 鈴木茂「BAND WAGON」発売50周年記念ライブを東阪ビルボードで開催!

ギタリスト 鈴木茂「BAND WAGON」発売50周年記念ライブを東阪ビルボードで開催!

ギタリスト 鈴木茂が、『鈴木茂「BAND WAGON」発売50周年記念ライブ~Autumn Season~』を11月13日にビルボードライブ大阪、16日にビルボードライブ東京にて開催する。今回は、1975年にリリースされた1stソロアルバム「BAND WAGON」の発売50周年を記念したプレミアム公演となる。


【1965年生まれ】2025年還暦を迎える意外な海外アーティストたち!

【1965年生まれ】2025年還暦を迎える意外な海外アーティストたち!

2025年(令和7年)は、1965年(昭和40年)生まれの人が還暦を迎える年です。ついに、昭和40年代生まれが還暦を迎える時代になりました。今の60歳は若いとはと言っても、数字だけ見るともうすぐ高齢者。今回は、2025年に還暦を迎える7名の人気海外アーティストをご紹介します。