手と手を結びあって大きな輪に!「平成のKOキング」坂本博之さんが子供たちに届けたいこと。

手と手を結びあって大きな輪に!「平成のKOキング」坂本博之さんが子供たちに届けたいこと。

不動心を背負い「平成のKOキング」「和製デュラン」の異名でファンを魅了したプロボクサー坂本博之さん。2000年の畑山隆則(横浜光ジム)に挑んだWBA世界ライト級王座戦は、結果として敗けたとはいえファンにより同年年間最高試合に選ばれています。ボクシングに惹かれボクサーとして生き抜き、そして今彼が目指しているものは何か――編集部がインタビューしました。


編集 この生活のままでいいのか、などと悩んだ事などはありましたか?

僕は目的があったんで、ないですね。「プロになる」という目的がありましたから。



それに練習をしていく中でだんだん力が、自分に対しての自信がね、「あ、いいパンチあてられた」とか「いいパンチもらった、くそう」と思ってまた練習したりとかするでしょ。



そうすると思い通りの練習ができれば自信がついてくるんですね。その繰り返しだった。ようやくプロテストを受けられるラインになって、会長が、「じゃあそろそろ(プロテストを)受けてみようか」と。そこでプロに受かって、そこからが早かったですね。一気に、今までの思いが一気に噴き出した感じ。定期的に、一ヶ月二ヶ月ペースで試合をしていたこともありますが。

編集 世間的にはその試合間隔は早いペースだと思うのですが(汗)

早いですね、あまり例はないかも。新人王日本チャンピオンを獲りたいから、もう一気に19連勝したからね。その間わずか2年たらずですよ。日本チャンピオンになるまでね。東洋チャンピオンはもうちょい先だけど(1996年3月3日 OPBF東洋太平洋ライト級王座獲得)。2年以内で新人王と日本チャンピオンまで一気に。

編集 2年で!1991年にデビューされて翌92年には東日本ライト級王者、93年には全日本ライト級新人王、全日本新人王決定戦MVPというのは、ご自身でもビックリされたり?

いや「気がついたら」という感じです。だって一瞬一瞬、一戦一戦の積み重ねですから。試合が終われば次へ。新人王戦があって、そして(優勝に)なりました、そしたらまた二ヶ月後に試合、そして勝ってまた二ヶ月後に試合、はい東洋、はい、日本タイトルマッチが決まって試合して勝って、次は防衛戦、と休む暇なく積み重ね。



一ヶ月二ヶ月ペースと先ほど言いましたが、僕からしたら休みがない感覚。試合が終われば、次に向けて、もう、こうやってミット打ちをやって、と。

編集 プロボクサーになられて、試合で勝利を重ねると、回りの見方が変わってきたりして・・・?

そうですね。回りの目も、「あ、ここまでいくようになったか」とか、「なると思ったよ」とか「お前すげえな、早えな」「ちょっと応援いくよ」とか増えましたね。あと「タイトルマッチを見たい」と言ってくださるファンが。



またボクシングマガジンにも取り上げられるじゃないですか、無敗ですから。デビューから12戦無敗のまま日本ライト級王者のリック吉村選手(石川ジム)に挑戦することになって。リック吉村選手は非常に有名な選手で、しかも22回の防衛記録を持っています。



このリック吉村選手に勝って日本チャンピオンになりましたが、当時は「まだ坂本には早いいだろう」っていう空気もありました。リック吉村さんが一番上で、まだ(坂本には)早いだろう、と言われたんだけれども勝ちまして。しかもKOで勝ったものから、防衛戦もファンが「あいつ面白いよ」って他の人も連れてきてくれてくれるようになって、後楽園ホールは常に満員でした。

編集 怒濤の戦績なんですが、この試合に一番思い入れがあるとか、あるいは一戦一戦一生懸命やったとか・・・

そうですね、もう本当に一戦一戦、負けたくない負けたくないって。「負けたらまたあの生活に戻る」とかね、自分に自分との約束というか、線を引いたんです。戻る戻らないは別にしても、「惨めな生活に戻るのは嫌だ、幼少時代に戻るのは嫌だい。負けたらそうなるから、みんな離れていってそうなるから絶対嫌だ」と。



そういう思いがあったから、一戦一戦を僕なりに妥協をせずに練習していって。そして、試合が終わって、勝って、それで「ああ良かった、戻らなくて済んだ」という安心感を持てて。でもそれも本当につかの間で、次の試合が決まるわけですよ。そしてまたジムに練習に来て、そうしたら、気が付いたら新人王になって日本チャンピオンになっていた、という感じでした。



日本チャンピオンになると、次は世界大会、という事になったりもするから、そこでまたフンドシを締め直して・・・だから、終わりはないんです。僕の中で作った目的を果たしても、次の目的が出てくる。それが叶ったら次の夢がある、で、そこでつまずくじゃないですか(1995年5月6日 元WBA世界ジュニアウェルター級王者ファン・マルチン・コッジ(アルゼンチン)と。10回判定負け)。敗けたらまた悔しいから、またやるんですよ。



そうやって気が付いたら16年です。デビューから2年で日本チャンピオンになって、世界タイトルマッチになって。5年で初挑戦からタイトルマッチまで、そうやって16年。

編集 初めて敗けた時は。

そうですね、敗けたら勿論くやしいですよ。僕、20戦目で初めての敗北を味わったんです。それまでは19戦19勝。20戦目で初めて敗けて・・・「昔のあの惨めな生活に戻るのか」と、自分なりにやってきたことが、敗けたことで小さい頃に戻るのかと。



それは嫌だから、勝ち続けるしかないんだと、自分で思ってきていましたし、それによってファンの応援があったり、施設の子供たちも応援してくれりしてくれてると思っていたんですよね、その頃はね。だから「敗けたらその子たちがみんな僕から引いてしまうんじゃないか」とか思っててね。だから敗けられんと・・・でも、実際に敗けた時、惨めな生活に戻るかっていうと、戻らなかったんですよ。



その理由はというと、そういう子供たちが色んな激励の言葉をくれたからなんです。「兄ちゃん、世界チャンピオンになるってゆうたやん。兄ちゃん諦めるな。絶対に諦めたらダメだ」と、子供たちが書いてくれたんです、手紙に。



僕はその手紙を書いてくれている子が、なぜ児童養護施設で暮らしているかというのを手紙のやりとりをしているから知っていたんです。その状況の中で誰かを応援できるような、誰かを見て感動するとかそういう余裕があるかというと・・・僕も経験があるんで、ね・・・。



でも、その子はそれよりも何というか「生きる気力」って言うのか、そういうのを僕の試合を見て「力が沸く」って言ってくれて。それなのに自分がここで止まっていたら、人生の先輩として申し訳ないなという気持ちになって、だから、また腰をあげて夢に向かって走っていけました。そんな中で勝ったり負けたりの繰り返しだけども、そういう16年間でした。

編集 我々世代が記憶に強い試合に2000年の畑山隆則さんとの世界タイトル戦があります。日本人同士ということでも話題になった記憶が。
※2000年10月11日 WBA世界ライト級王者・畑山隆則(横浜光ジム)に挑戦。

もう19年前になりますね。始めての世界挑戦が1997年ですからね。97、98、そして2000年に2回だから、全部で3年間のあいだに凝縮された世界戦4回と防衛戦もありましたが、確かに日本人同士ということでこの試合は話題になりましたね。



これはもう日本の、日本人同士の世界タイトルマッチで、読者が選ぶ試合になったという。日本人ということだと畑山隆則君や薬師寺保栄さんや辰吉丈一郎さんとか・・・。色んな見方があると思いますが、でもベストの試合は入っていると思います(※畑山選手と坂本選手のタイトルマッチは2000年年間最高試合に選ばれている)。



でも僕は負けた側なので、ベストという訳でもないのですが・・・ただやっぱりそういう敗けた経験があって今がある。だからこそ今の若者たちに教えれることがあるんじゃないかと思います。僕が勝てなかった理由とかボクシングの苦しさや喜びを。そういったことも教えられるので、それを今このジムでやっている訳です。

編集 ちなみにご結婚は・・・?

2001年かな、畑山さんとの試合が終わった後です。もともと世界チャンピオンになってから結婚しようっていう気持ちがあったのですが、それがだんだん現実になっていくじゃないですか。で、30歳になった頃に色々なことを考えて。



昔の言葉に「15にして学に志す、30にして立つ、40して惑わず」(孔子『論語』)とあるなと考えた時に、30にしてちょうど畑山さんと闘ったから、ここで大人になるというか、一家の主じゃないですけど、「共に生きよう」という証で結婚しました。

16年間の現役生活にピリオド、SRSボクシングジムを設立

編集 2007年に現役を引退され2010年に荒川区西日暮里にSRSボクシングジムを設立されましたが、ジム設立は昔から考えておられたのですか?

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