90年代のアメリカ犯罪史を代表する「O・J・シンプソン事件」
皆さんは「O・J・シンプソン事件」を覚えていますでしょうか?90年代にアメリカで起きた殺人事件で、アメフト選手として著名であったO・J・シンプソンが逮捕され、その裁判は当時世界中の注目を集めました。この記事では、事件の概要と裁判、そしてO・J・シンプソンの現在について書いてみたいと思います。
こちらが事件の主人公「O・J・シンプソン」

1994年6月13日、事件発生。
事件の始まりは1994年6月13日。O・J・シンプソンの元妻であったニコール・ブラウンと、その友人のロナルド・ゴールドマンが血だらけの遺体となって発見されました。ロナルドは格闘技の心得があったため、腕力のある男による犯行が疑われ、容疑者としてシンプソンの名前が浮上。そして、シンプソンがニコールの自宅があったロサンゼルスに飛行機で向かった際、飛行機を降りるタイミングでいきなり手錠をはめられたのです。

一旦は保釈されるも、世紀のカーチェイスが発生!
無実を主張したシンプソンですが、顧問弁護士を通じた冷静に対応によって一旦は保釈されました。しかし、6月16日に第1級殺人罪で逮捕令状が下りた際にパトカーの追跡を振り切ろうとした結果、カーチェイスを展開してしまうことになりました。その模様はテレビで生中継され、世紀の逃走劇として全米中が釘付けとなりました。結局、カーチェイスの後にシンプソンは逮捕されます。
カーチェイスの模様はこちら!
裁判で「ドリームチーム」が結成される!!
カーチェイスの末、逮捕されたO・J・シンプソン。そんな彼を待ち受けていたのは刑事裁判でした。裁判にあたり全面無罪を主張したシンプソンは、金に糸目をつけず全米から有名な弁護士を集めます。彼らは「ドリームチーム」と呼ばれ、その規模は検察側をしのぐほどでした。そんな「ドリームチーム」を引き連れ、陪審裁判で決着をつけることに。そして、この裁判は後に「世紀の裁判」と呼ばれるものとなります。
「人種差別問題」の観点から大きな注目を浴びる!
まず、この事件は「被害者が白人で、容疑者が黒人」という特徴があります。そのため、歴史的に人種問題に敏感なアメリカ世論の後押しもあり、「人種が裁判の結果に影響を与えてはいけない」として判事には日系アメリカ人を選出。また、陪審員も黒人の多い地区から選出され、陪審員たちの人種のバランスに配慮がなされました。

殺人事件が「人種問題」へと発展していったO・J・シンプソン事件ですが、これは「ドリームチーム」の戦略でもありました。事件を人種差別に転換することによって、シンプソンに有利な方向へと裁判を進めようとしたのです。それに加え警察の証拠管理の杜撰さも手伝い、1995年、シンプソンは陪審員の全員一致で無罪判決を勝ち取ったのです。これにより「刑事裁判」では無罪が確定しました。しかし・・・

民事裁判では「被害者を殺害した」と判断される!!
刑事裁判では無罪を勝ち取ったO・J・シンプソンですが、安心したのも束の間、今度はロナルド・ゴールドマンの父親との民事裁判が待ち受けていました。この民事裁判は白人が多い地域で行われ、陪審員も白人が多数派に。また弁護士も「ドリームチーム」を金銭的に雇うことが出来ず、シンプソン自身も証言台で「覚えていない」などの曖昧な発言を繰り返すといった悪条件が重なり、民事裁判では「シンプソンがロナルド・ゴールドマンを殺害した」とされ、被害者の親に対し1000万ドル近い補償をするよう命じられたのです。

O・J・シンプソンは現在何をしているのか?
刑事裁判と民事裁判で真逆の結論となったO・J・シンプソン事件。この事件によって、シンプソンは一連の裁判の費用のためハイズマン賞のトロフィーを売却。そして「If I did it(もし私がやっていたとしたら)」という著書を出版しようとしたものの、これは被害者遺族の反対により実現しませんでした。裁判が終結した現在、彼は何をしているのでしょうか?

強盗で逮捕!33年の懲役刑に!!
2007年9月16日、シンプソンは複数の男と共謀してラスベガスのホテルに押し入り、スポーツ記念品を盗んだ容疑で逮捕されました。そして、翌2008年に合計33年の懲役刑が言い渡されたのです。
刑務所に収監後の2013年、裁判のやり直しを求めたシンプソンですが、これは同年に却下されました。一方で、2017年10月には仮釈放が認められています。今後も懲役を全うするため服役を続けていくであろうシンプソン。刑事裁判と民事裁判で真逆の結論が出た「O・J・シンプソン事件」の真相は果たしてどちらが正しいのでしょうか?今後、真相が明らかになることに期待したいものです。
2016年には事件がドラマ化されました!
書籍も刊行されています!
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