雨漏りを茶碗で受けた日本最古の事例はナント仁徳天皇!?

雨漏りを茶碗で受けた日本最古の事例はナント仁徳天皇!?

今回は民のための善政を行った「聖の帝(ひじりのみかど)」仁徳天皇にまつわる美しいお話です。「国民のために自分も貧乏を耐えた」・・・人間かくありたいと思わずにはおれません。


宮内庁と大阪府・堺市は2018年10月15日、堺市にある日本最大の前方後円墳「大山古墳(だいせんこふん。「仁徳天皇陵(にんとくてんのうりょう)」とも)」の共同発掘調査を発表しました(堺市のサイトより)。

コレ自体は古墳保存のための基礎調査ということですが、実は天皇家に関わるお墓の調査に外部機関が入るのは初めてということで当時話題になったのを記憶しております。

さらに、翌11月22日には、毎日新聞に続報がでております。

古代史:大山古墳で石敷きと埴輪確認 外部機関と初の発掘 - 毎日新聞

大山古墳いや「仁徳天皇陵」とは何か。

全長約486m/後円部径約249m/高さ約35.8m/前方部幅約307m/高さ約33.9mの日本最大規模の前方後円墳にして世界最大級のお墓です。その周囲には約3キロの周遊路もあり、一周するには1時間ほどはかかるそうです。

私が小学生の頃は「仁徳天皇陵」と教わった気がしますが、近年では大山古墳あるいは大仙陵古墳(だいせんりょうこふん)と言うようです。というのも埋葬者が誰なのかがハッキリしていないから・・・とのこと。

とはいえ、です。『古事記』では、大雀命(オオサザキノミコト。第16代仁徳天皇のこと)は83歳で崩御したといい、毛受之耳原(もずのみみはら)に陵墓があると記しております。『日本書紀』にも仁徳天皇は87年(399年)正月に崩御し、同年10月に百舌鳥野陵(もずののみささぎ)に葬られたとあり、場所的には大山古墳に該当します。宮内庁としても仁徳天皇の陵墓として管理をしております。

このあたりを質問したメディア「HuffPostJapan」に対し、宮内庁は

と回答しております。

史上初の外部機関との調査がどのような結果になるにしろ、結果が楽しみですが、ここは民俗コネタコラム。斜め目線で仁徳天皇のコネタをご紹介します。

民のための善政を行った「聖の帝(ひじりのみかど)」仁徳天皇

『古事記』下つ巻に仁徳天皇とその奥様についての記録が記されておりまして、仁徳天皇は民のための善政を行った「聖の帝(ひじりのみかど)」と称えられております。ついでに書くと奥様は非常に、非常に、非常――に、嫉妬深い性格と記されております。

それはさておきおおよそ3~4世紀ごろの日本を治めたと推測していただけたらと思いますが、この善政の記述が今回のコラムのポイント。

3年間のあいだ税を免除!

大雑把に書きますと、即位した仁徳天皇は治水・灌漑設備を整え、耕地開拓を進めます。そんなある日、山に登って四方を眺めてみたところ、民家から炊飯の煙がでていませんでした。この風景を見て、『自分が進めた工事諸々に国民が狩り出されているせいで、国民は貧しい生活になっているんだ!』と、国民の事実に気が付きます。

そこで3年間のあいだ税を免除!今の日本で考えてみたら、この思いつきは凄いこと。3年間国費が無い・・・みたいなものです。当然、仁徳天皇は貧乏暮らしになります。

しかしその3年後、再び山から見下ろしたその景色には炊飯の煙が家々からモクモク立ち上がっていました。民の生活は豊かになっていたので。そんな仁徳天皇の徳の高さを称えて「聖の帝の世」と古事記は記しております。とても良い話ですね。そしてこの貧乏暮らしの3年間の記述に日本最古の雨漏り対応の記述があります。これが今回のコネタ。

古事記を読むと、3年間の貧乏暮らしの中、仁徳天皇が過ごされる御宮もボロボロになっております。「大殿破れ壊れ」て「雨漏れ」し始めたけど修理するお金もない情況に陥りっております。

しかし、天皇は修繕をせず「器(うつはもの)をもちてその漏る雨を受けて、漏らざる処に遷り避けましき」という行動に出ました。要は国のトップたる天皇自ら、天井からポチンポチンと滴る雨のしずくが落ちるところに器を置いて受け皿にしてやり過ごした、ということです。現代社会で言うとこの画像のようなイメージかなと。

現代社会でも雨漏りがあればバケツなどで応急措置をしますが、おそらく、この行動の文献上の初出は仁徳天皇です。その理由も素敵じゃないですか。「国民のために自分も貧乏を耐えた」・・・自分も周りのためにそうありたいと思わずにはおれません。

史上初の外部調査も楽しみですが、できたら、仁徳天皇が雨漏りを器で耐えた事も忘れたくない自分です。

関連する投稿


え、徳川綱吉が名君に?角川まんが『日本の歴史』最新研究でまさかのアップデート!

え、徳川綱吉が名君に?角川まんが『日本の歴史』最新研究でまさかのアップデート!

「学習まんがと言えばこれだよね!」と親世代も知る角川まんが学習シリーズ『日本の歴史』が、刊行10周年で累計1000万部を突破。この節目に、なんと全15巻の内容を最新の研究に合わせて大改訂したというから驚きだ。東大の先生たちも加わったこの「アップデート」、あの「生類憐みの令」の評価まで変わっているらしい。自分の子どもや孫に教える前に、親父たちも要チェックだぞ!


武将の能力値記載のカードで歴史を学びながら遊べる!「信長の野望」のカードゲーム『信長の野望 戦国武将かるた』が発売!!

武将の能力値記載のカードで歴史を学びながら遊べる!「信長の野望」のカードゲーム『信長の野望 戦国武将かるた』が発売!!

講談社より、40年以上愛され続ける「信長の野望」シリーズの公式カルタ『信長の野望 戦国武将かるた』が現在好評発売中となっています。価格は2750円(税込)。


70年代前半に巻き起こった「日本語ロック論争」を特集したNHK Eテレ「世界サブカルチャー史」が放送決定!!

70年代前半に巻き起こった「日本語ロック論争」を特集したNHK Eテレ「世界サブカルチャー史」が放送決定!!

NHK Eテレにて、70年代前半を中心に邦楽ロックシーンに巻き起こった「日本語ロック論争」について特集した番組「世界サブカルチャー史 欲望の系譜 シーズン4 21世紀の地政学」ポップス編 第2回の放送が決定しました。


世界初はハリボー!日本初は?グミの歴史と人気商品をまとめてみた!

世界初はハリボー!日本初は?グミの歴史と人気商品をまとめてみた!

今ではコンビニお菓子の主役の1つともいわれているグミ。今では大人でも好きな人が多いですよね。日本にグミが浸透するまでの歴史をまとめてみました。


「どうする家康」と1983年の「徳川家康」のキャストを比べてみた!

「どうする家康」と1983年の「徳川家康」のキャストを比べてみた!

2023年の大河ドラマは「どうする家康」が放送されていますが、40年前の大河ドラマも「徳川家康」を放送していました。当時と現在のキャストや内容を比べてみました。


最新の投稿


プロレス界の歴史が動く今こそ読むべき一冊! 『ようこそ、プロレスの世界へ 棚橋弘至のプロレス観戦入門』2025年12月18日(木)発売!

プロレス界の歴史が動く今こそ読むべき一冊! 『ようこそ、プロレスの世界へ 棚橋弘至のプロレス観戦入門』2025年12月18日(木)発売!

新日本プロレスの“100年に一人の逸材”棚橋弘至氏による著書『ようこそ、プロレスの世界へ 棚橋弘至のプロレス観戦入門』が2025年12月18日にKADOKAWAより発売されます。引退が迫る棚橋氏が、26年の現役生活で培った視点から、プロレスの魅力、技の奥義、名勝負の裏側を徹底解説。ビギナーの素朴な疑問にも明快に答え、プロレス観戦をさらに面白くする「令和の観戦バイブル」です。


ウルトラふろく200点以上を一挙収録!『学年誌 ウルトラふろく大全』発売

ウルトラふろく200点以上を一挙収録!『学年誌 ウルトラふろく大全』発売

小学館クリエイティブは、ウルトラマンシリーズ60周年、『小学一年生』100周年の節目に『学年誌 ウルトラふろく大全』を11月28日に発売しました。『ウルトラQ』から『ウルトラマン80』までの学年誌・幼児誌のウルトラふろく200点以上を網羅的に掲載。組み立て済み写真や当時の記事も収録し、ふろく全盛時代の熱気を再現します。特典として、1970年の人気ふろく「ウルトラかいじゅう大パノラマ」を復刻し同梱。


伝説のプロレス団体 UWF40周年記念イベント“無限大記念日”開催!

伝説のプロレス団体 UWF40周年記念イベント“無限大記念日”開催!

伝説のプロレス団体『UWF(ユニバーサル・レスリング・フェデレーション)』が、設立40周年を記念し、特別イベント「無限大記念日」を書泉ブックタワー(東京・秋葉原)にて開催します(2025年12月24日~2026年1月12日)。第1次UWFの貴重な試合映像や控室、オフショットなど、4,000枚以上のアーカイブから厳選された写真が展示されます。復刻グッズや開催記念商品も販売され、当時の熱狂が蘇ります。


グラニフ×『幽☆遊☆白書』初コラボ実現!幽助、蔵馬、飛影など全21アイテム登場

グラニフ×『幽☆遊☆白書』初コラボ実現!幽助、蔵馬、飛影など全21アイテム登場

株式会社グラニフは、TVアニメ『幽☆遊☆白書』との初コラボレーションアイテム全21種類を、2025年12月2日(火)より国内店舗および公式オンラインストアで販売開始します。主人公の浦飯幽助をはじめ、桑原、蔵馬、飛影のメインキャラクターに加え、戸愚呂、コエンマなど欠かせないキャラクターをデザイン。11月26日より先行予約も開始され、ファン必見のラインナップです。


全長20cmの迫力!1/18スケール『国産名車コレクション』創刊

全長20cmの迫力!1/18スケール『国産名車コレクション』創刊

アシェット・コレクションズ・ジャパンは、隔週刊『1/18 エクストラスケール 国産名車コレクション』を2026年1月7日に創刊します。全長約20cm、1/18スケールのダイキャスト製で、日本の自動車史を彩る名車を精巧に再現。ボディラインやエンジンルーム、インパネなどの細部ディテールにこだわった「エクストラ」なコレクション体験を提供し、マガジンでは名車の開発秘話や技術を深掘りします。