若大将のライバル「青大将」として活躍した田中邦衛!
ミドルエッジ以上の世代であれば誰もが知っている「若大将」シリーズ。東宝が1961年から1971年にかけて製作した加山雄三主演の喜劇映画で、60年代の東宝を象徴する作品のひとつでした。その作中で加山が演じた田沼雄一のライバルとして登場したのが、田中邦衛演じる石山新次郎、通称「青大将」です。

「青大将」ってどんなキャラだったの?
田中邦衛が演じた石山新次郎(青大将)は、田沼雄一(若大将)の同級生。大企業の社長の息子であり、若大将にライバル心を燃やす「敵キャラ」として、若大将シリーズにたびたび登場しました。交通違反の常習であることや、カンニングに失敗して留年するなど破天荒な一面もあり、シリーズ全般においてコミックリリーフ的なポジションを確立していました。ちなみに「石山新次郎」という役名ですが、“石原慎太郎”及び“石原裕次郎”をもじったものです。

なぜ「青大将」と呼ばれているの?ネット上の解釈をまとめてみました!
そもそも、なぜ石山新次郎は「青大将」と呼ばれているのでしょうか?確かに「若大将」のライバルとして「青大将」は語呂の良さがありますが・・・。ここでは「青大将」の名前の由来について、いくつかの解釈をご紹介したいと思います。
蛇の「アオダイショウ」が由来。
まずは蛇の「アオダイショウ」が由来であるという説。確かに「青大将」と「アオダイショウ」は口に出すと全く同じ響きですからね。そして、アオダイショウが“毒を持っていない蛇”という点もポイントかもしれません。見た目は怖い印象があるものの、実は大したことがないという「アオダイショウ」は、まさに「青大将」のイメージにピッタリです。

単純に語呂が良い。
「若大将」に対して「青大将」。確かにライバルの名前としての語呂の良さはピカイチです。登場人物が視聴者に覚えやすい名前であることも、その作品のヒットする要因のひとつであると思われますので、語呂の良さから命名されたとしても不思議ではありません。
命名したのは藤本プロデューサーです。
なお「青大将」という名前を思い付いたのは、当時のプロデューサーである藤本真澄です。元々蛇嫌いであった藤本は、若大将のライバルを設定するにあたり「青大将みたいな顔した奴が良い」と考え適役を探しました。その結果、当時いくつかの東宝映画に端役で出ていた田中邦衛を発掘したのです。

「若大将対青大将」(1971年)で世代交代するも「帰ってきた若大将」(1981年)で復帰!
10年にわたり東宝の看板作品であり続けた「若大将」シリーズですが、1971年公開の「若大将対青大将」をもって加山雄三は一旦主演から外れ、加山のバンド「ザ・ランチャーズ」でギターを担当していた大矢茂が「太田茂夫」役として2代目若大将を演じることとなりました。同時に、田中邦衛演じる石山が後輩の学生に「青大将」の座を譲るシーンも。長年続くシリーズものには不可欠な世代交代ですが、長年のファンは寂しく思ったかもしれません。

1981年に「帰ってきた若大将」で復帰!
その後、1975年には大矢に続き草刈正雄が3代目若大将を演じた映画「がんばれ!若大将」が公開されるなど、続編の製作が続けられた「若大将」シリーズですが、1981年公開の映画「帰ってきた若大将」でついに加山と田中がスクリーンに戻ってきました。大矢版と草刈版も傑作ではあるものの、当時の聴衆からは「やはり『若大将』シリーズは加山と田中の掛け合いが魅力だった」という声が多く聞かれたと言います。

加山雄三は田中邦衛とプライベートでも仲が良かった!
「若大将」シリーズではライバル関係であった加山雄三と田中邦衛ですが、加山曰く「プライベートでは最高のコンビ」とのことです。映画の撮影前には「黒澤明監督の『悪い奴ほどよく眠る』に出ているのを観ると殺し屋の役でね。この人が青大将なんておっかねぇなあ」と身構えたそうですが「会ってみたらそういう印象とまったく違って、優しくてユニークな人だった」とのことで意気投合。プライベートでも親交があるようです。
こちらが「悪い奴ほどよく眠る」での田中(動画の2分14秒頃から)
こちらが「悪い奴ほどよく眠る」での田中の映像です。シリアスさを求める黒澤映画に公開当時27歳の田中が抜擢されたことからも、その演技力が認められていたのは間違いありません。また、デビュー当時はそのアクの強い風貌からチンピラなどを演じていたこともあり、その経験も買われたと思われます。そんな田中も今年(2018年)で86歳。近年は俳優としての活動が少なくなってはいるものの、今後「帰ってきた若大将」の更なる続編があったりするのでしょうか?今後の活動に期待が高まります!
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