同棲時代
同棲。なんて甘美で魅惑的な言葉!クラっときてしまいます。誰だってそうでしょう。なんたって同棲ですから。
その同棲が「同棲時代」と、まぁ、あろうことか、時代として認識された時期があるんですね。1972年から73年です。そう、1972年は同棲時代の幕開けなのです。
その幕は、漫画家の上村一夫の作品によって切って落とされました。

同棲時代
1972年3月2日号から1973年11月8日号まで「同棲時代」は双葉社の「漫画アクション」において掲載され大人気となりました。みんな愛に飢えていたんですかね?
「同棲時代」は同棲を扱った初めての漫画というわけではありません。その前に1970年から1971年まで連載された林静一の「赤色エレジー」があります。

赤色エレジー
実は「同棲時代」は、「赤色エレジー」のパロディーとして制作されたのです。「赤色エレジー」も話題となっていましたから1年後に「同棲時代」が受け入れられる下地は出来ていたということですね。
ヒットした要因は絵が美しいということ、そして「赤色エレジー」に比べてストーリーが分かりやすいということが挙げられると思います。だからこそ女性をも巻き込んで社会現象にもなったのでしょう。
テレビドラマ-同棲時代
漫画がヒットしたことで、「同棲」は流行語となり社会現象を巻き起こしました。そう、同棲時代の始まりです。先ず「同棲時代」は1973年2月18日にテレビドラマ化されます。
主演はなんと梶芽衣子と沢田研二という豪華ダブルキャストです。
1973年の沢田研二といえば、4月21日に「危険なふたり」が発売され大ヒットを記録するというソロとして最初のピークを迎える年です。当時の沢田研二は女性からすると美しすぎて見とれてしまう存在。片や梶芽衣子にとっても1973年は映画「女囚さそり」シリーズが大ヒットして世の男性たちを虜にしていました。
そんな二人の共演ですからね、注目されないわけがありません。
しかも脚本は後年「岸辺のアルバム」や「ふぞろいの林檎たち」などで知られる山田太一です。
主題歌はハイ・ファイ・セットのメンバーが在籍していたことでも知られている赤い鳥の「窓に明りがともる時」でした。

窓に明りがともる時
更に挿入歌として吉田拓郎の「たどりついたらいつも雨ふり」、「春だったね」、「リンゴ」、「旅の宿」、そして、なんとサイモン&ガーファンクルの「バイ・バイ・ラブ」が使われているんです!
映画-同棲時代
1973年4月14日には由美かおる・仲雅美主演で映画が公開されます。題名には「同棲時代-今日子と次郎-」とサブタイトルが付いています。

同棲時代 今日子と次郎
ここは、やはり何と言っても由美かおるでしょう。由美かおると言えば、時代劇「水戸黄門」での入浴シーンを思い出される方が多いのではないかと思いますが、実は「同棲時代-今日子と次郎-」が彼女の初ヌード作品なんです。

由美かおる DVD-BOX
初々しいとはまさにこのことでしょう。旬。そう言ってもいいでしょうね。
脱ぎっぷりもいいんですよね、この頃の由美かおるは。当然、見どころのひとつとなっています。
小柄ですが由美かおるはホントにかわいいですね。スタイル最高!現在でもこの時のスタイルを維持しているというのですから驚異的です。
主題歌-同棲時代
同棲時代の主題歌と言えば、赤い鳥よりも何よりも、やっぱり、この曲ですよね。そうです。大信田礼子が歌った「同棲時代」です。

同棲時代/今日子と次郎
「同棲時代」は作詞:上村一夫、作曲:都倉俊一の手により1973年2月21日に発売されヒットしました。
当時大信田礼子は25歳。色っぽいですよねぇ。
そして「同棲時代」を作曲した作曲家の都倉俊一と1974年に結婚しています。

大信田礼子
その他の同棲時代
映画「同棲時代」のヒットを受けて同年に高沢順子と本郷直樹の主演で「新・同棲時代 -愛のくらし-」が公開されています。主題歌は本作も大信田礼子が担当していますが、映画は興行的に失敗でした。

新・同棲時代 -愛のくらし-
その後、1985年11月11日に工藤夕貴と大沢樹生の主演でテレビドラマ(フジテレビ)としてリメイクされ、1990年から柴門ふみによって「新・同棲時代」が連載されます。

新・同棲時代
漫画は勿論のこと、ドラマになったりアニメになったりで「新・同棲時代」は大ヒットするのですが、内容は「同棲時代」と全く関係ありません。柴門ふみによるオマージュといったところでしょう。
時代と共に同棲と言うスタイルも変わっていくんですね。同棲時代をリアルタイムで知っている人たちにとっては、現在の同棲は共同生活といった感じで似て非なるものになっているようです。
では最後に、同棲と共同生活は断じて同じではないぞ!と声高らかに宣言しておきます。