ライブ_井上陽水
井上陽水といえば、日本初のミリオンサラーアルバム「氷の世界」をはじめ数々のメガヒットを放ち、知らない者はこの日本にはいないと言えるほどの存在ですね。
下積み時代があったとはいえ、1973年3月発売のシングル「夢の中へ」、同年9月発売のシングル「心もよう」が大ヒットしてからは今日に至るまで快進撃は留まることを知りません。

井上陽水
50年近いキャリアを誇り、ヒット曲は星の数ほどあり、信じられないほど素晴らしい声を持っているというのに、公式に発売されているライブ音源が少ないのはどうしたことでしょう?
井上陽水の歌声はライブでは尚一層輝くというのに、公式なライブ・アルバムは僅かに5枚。しかもそのうちの2枚はCDにすらなっていません。何故だ!
近年ではアルバム(音源)よりもDVD等の映像の方が主流になっているからということが考えられなくもありません。

井上陽水/ライヴ’88~夜のシミュレーション
いえ、それにしたって僅かに7本。デビュー当時はテレビに出演することもほとんどなく、映像媒体自体が発達していませんでしたからねぇ。しかし、ガッカリしていても仕方ありません。残されている5枚のライブ・アルバムを振り返ってみます。
もどり道
井上陽水の最も古いライブ音源となるのが1973年7月に発売された「陽水ライヴ もどり道」です。
内容は、新宿厚生年金会館小ホールで1973年4月14日におこなわれたライブ「陽水リサイタル」から収録されており、この時点でのベスト・アルバム的なものとなっています。

陽水ライヴ もどり道
初期とは言えさすがに名曲ばかりです。1973年4月といえばシングル「夢の中へ」が発売されてから一ヶ月後ですね。このアルバムには収録されていませんが半年後には「心もよう」が大ヒットするわけで、その影響でしょうか「もどり道」も売れに売れまくります。オリコンの1973年度年間アルバムランキング9位。まぁ、これだけでも素晴らしいですが、なんと1974年度には年間3位、さらに1975年度も年間7位を記録しているのです。実はこのアルバムが日本で最も売れたライブ・アルバムなんです。
「もどり道」についてTHE ALFEEの坂崎幸之助がとても面白いコメントを残しています。
東京ワシントンクラブ
2枚目のライブ・アルバムが1976年12月5日に発売された「東京ワシントンクラブ」です。古くからの陽水ファンでないかぎり聞いたことのないアルバムだと思います。実はこのアルバムは未だにCD化されていないんです。

東京ワシントンクラブ
ファンであればグッとくるような、実に興味深い曲が収録されています。しかし、残念ながら当時の映像を見つけることが出来ませんでした。
1979年の映像ですが、多少参考になるかもしれません。
アレンジも面白いし、声もいい。しかし、この映像は衣装に目を奪われてしまいますね。
アルバム「東京ワシントンクラブ」は、「GOING ONツアー」からのライブ音源とは別に、自宅スタジオで録音した2曲が入っているという、ちょっと変わったライブ盤なんです。
「あかずの踏切り'76」と「東京ワシントンクラブ」の2曲がそれにあたります。
陽水ライブ<ジェラシー>
デビュー前の安全地帯が井上陽水のバックを務めていたというのは有名な話ですが、その音源が3枚目のライブ・アルバムとなる「陽水ライブ<ジェラシー>」です。
1981年12月1日の東京厚生年金大ホールでの模様を収め1982年4月5日に発売されました。

陽水ライブ<ジェラシー>
写真を見て頂くとお分かりのように当時カセットテープのみで発売され、未だにCD化されていません。「I call your nameツアー」の模様が収録されているのですが、このツアーはアルバム「WHITE」〜「あやしい夜を待って」までを中心としたツアーの総括的なライブだっただけに聴くことが出来ないというのは非常に残念です。映像も残っていないようですし。
「陽水ライブ<ジェラシー>」とは関係ありませんが、安全地帯をバックにした映像で当時を偲びましょう。
バックメンバーは以下の通りです。
中西康晴 p,e.p
川島裕二 syn
安全地帯:
大平市冶 prs
穴土開正(六土開正) e.b
武沢豊 e.g
矢萩渉 e.g
玉置浩二 cho
クラムチャウダー
1986年8月27日に発売された4枚目のライブ・アルバム「クラムチャウダー」。同時にDVDとしても発売されていおり、これが井上陽水初の映像作品となっています。

クラムチャウダー
1986年6月のNHKホールにおけるライブの収録で、YMOのサポートとしても活躍したギターの大村憲司が編曲も担当しています。
当時は沢田研二への提供曲として知られていた「ミスキャスト」「ジャスト・フィット」をやっています。
この日のライブは、日本を代表するドラマーである村上(ポンタ)秀一が「生涯でも三本の指に入る」と言っているほどの素晴らしい出来栄えとなっています。
参加したメンバーは以下の通りです。
井上陽水…g,vo
大村憲司…g
中西康晴…pf,Hammond Organ,Rhodes
高水健司…b
村上秀一…ds,per
浜口茂外也…per,fl
小林武史…synth(Prophet-5,DX7x2)
氷の世界ツアー2014 ライブ・ザ・ベスト
日本レコード史上初めて100万枚を突破したアルバム「氷の世界」発売から40年。それを記念して行われた「氷の世界ツアー2014 」の中から選ばれた18曲が収められた現時点で最新となるライブ・アルバムが2014年9月10日発売の「氷の世界ツアー2014 ライブ・ザ・ベスト」です。
![1.Love 6月13日 [神奈川]相模女子大学グリーンホール
2.あかずの踏切り 6月13日 [神奈川]相模女子大学グリーンホール
3.はじまり 6月13日 [神奈川]相模女子大学グリーンホール
4.帰れない二人 6月13日 [神奈川]相模女子大学グリーンホール
5.チエちゃん 6月29日 [長崎]長崎ブリックホール
6.氷の世界 4月18日 [大阪]大阪 フェスティバルホール
7.白い一日 5月11日 [山形]やまぎんホール
8.自己嫌悪 5月16日 [愛知]愛知県芸術劇場 大ホール
9.心もよう 4月29日 [静岡]アクトシティ浜松 大ホール
10.待ちぼうけ 4月27日 [栃木]宇都宮市文化会館
11.桜三月散歩道 6月14日 [群馬]ベイシア文化ホール
12.Fun 6月26日 [熊本]市民会館崇城大学ホール
13.小春おばさん 6月28日 [福岡]福岡サンパレス
14.おやすみ 6月28日 [福岡]福岡サンパレス
15.The Long And Winding Road 5月23日 [東京]NHKホール
16.リバーサイド ホテル 4月27日 [栃木]宇都宮市文化会館
17.少年時代 5月23日 [東京]NHKホール
18.いっそ セレナーデ 4月10日 [東京]府中の森芸術劇場 どりーむホール](/assets/loading-white-036a89e74d12e2370818d8c3c529c859a6fee8fc9cdb71ed2771bae412866e0b.png)
氷の世界ツアー2014 ライブ・ザ・ベスト
ライブ・アルバムとはいっても初回限定盤にはDVD、Blu-ray Discの映像がまるっと23曲も付いていました。お得ですね。
年を取っても唯我独尊、井上陽水健在を強く印象付けるライブです。人間国宝、そう言っても良いのではないかとさえ思えます。
元気ですねぇ。この分だともう1~2枚はライブ・アルバムを発表できそうですね。しかし、新しいライブ・アルバムはもちろん嬉しいのですが、70年代は無理としても80年代~90年代のライブ音源、映像を是非とも発掘し発表してもらいたいです。
関係者の皆様、よろしくお願いします!