「地獄絵には女性が嫉妬しすぎると落ちる地獄があるんだよ」というコネタ。

「地獄絵には女性が嫉妬しすぎると落ちる地獄があるんだよ」というコネタ。

最近、タレントさんなどの不倫報道が多い気がします。個人的には他人の不倫はどうでもいいのですが、不倫に関わる地獄が日本にはあったなあ・・・と思い出したので、今回は不倫の地獄ネタ。


最近、タレントさんなどの不倫報道が多い気がします。個人的には他人の不倫はどうでもいいのですが、不倫に関わる地獄が日本にはあったなあ・・・と思い出したので、今回は不倫の地獄ネタ。

「地獄絵には女性が嫉妬しすぎると落ちる地獄がある」

江戸時代初期に花開いた元禄文化の第一人・井原西鶴は『世間胸算用』(1692年)に、こう記しています。

中世から近世にかけて、熊野比丘尼と呼ばれた女性たちが庶民対象に行っていた「地獄絵解き」という語りの芸能がありました。彼女たちが説く素材は『熊野歓心十界曼荼羅』と呼ばれる地獄極楽の絵画。地獄・・・浄土信仰とも言いますが、平安時代の天台宗の僧侶源信『往生要集』(寛和元年985)などが有名です。

彼女らの絵解きには、『往生要集』や『地蔵菩薩発心因縁十王経』などに存在しない地獄も登場します。

そのひとつが「女性が落ちる地獄」です。

女性が落ちる地獄は3つ

女性が落ちる地獄は3つ。
「血の池地獄」「両婦(ふため)地獄」「不産女(うまずめ)地獄」です。

不産女地獄は子供を産めない女性が落ちる地獄。近世は「家を残す」ことが非常に大切だったため説かれた地獄ではありますが、現代では受け入れがたい地獄です。

のこる2つの内、血の池地獄は出産や生理などによる血の不浄で落ちる地獄、両婦地獄は1人の男性を2人の女性が取りあう…嫉妬で落ちる地獄です(なお、血の池地獄は『血盆経』に登場します)。

血の池地獄も今は必要ないでしょう。ということで、両婦地獄について。

両婦地獄

両婦地獄が単独で成立しているあたり、今も昔も色々こじれた関係は多かったのかなあと思います。

こじれた関係は当事者間の問題として当事者に解決していただくとして、ここでお伝えしたいのは、描かれた女性たちの表情。この血の池や両婦地獄に落ちている女性の顔は女性の顔をしていません。角がはえた般若の顔、鬼女です。そして体は蛇です。

なぜこのような表現になったのか。このあたりを少し妄想してみますと「安珍清姫」伝説が影響しているかも知れない、という気が致します。能「道成寺」歌舞伎「娘道成寺」の元ネタとなった伝説です。

角がはえた般若の顔、体は蛇の姿です。

両婦地獄

伝説を大雑把にお話しますと、奥州から熊野詣に来た修行僧・安珍君が、真砂庄司の娘・清姫さんに一目惚れされたのが始まり。

付き合う気も無い癖に適当に「今度また宿に立ち寄るね~」と言っちゃったものだから、清姫は待った。待ったけど来ない。拒絶されたことに気が付いた清姫、待った分の怒りと恋情がピークに達して安珍を探しに向かいます。

安珍は追いかけてくるすさまじい形相の清姫から逃げ、道成寺に駆け込んで鐘の中に隠れてやり過ごそうとします。が、情念のあまり蛇体と化した清姫は執念で彼を発見。鐘に巻き付き燃やし尽くします。安珍、焼死。その後、住持(住職さん)は情念が強すぎて死んだ後も蛇となって苦しんでいる二人を夢に見て、法華経供養を営んで供養してあげました・・・という感じのお話です。

『今昔物語集』(平安末期)にも取り上げているこの伝説。これを描いた「道成寺縁起」での清姫の蛇体姿とそっくりな姿が、地獄に落ちた女性なのです。熊野比丘尼たちは、この姿をも語りついできたのかなと思います。

と、こう書くと女性の恋情の凄味や辛さでちょっとだけシンミリ感じたりもしますが、だがしかし。女というのは時に現実的でもありまして。

江戸時代に書かれた仮名草子『籠耳』には、熊野比丘尼たちが両婦地獄は簡単には絵解きしなかったと記されております。敢えて話さずもったいぶると聞き手の女性さんたちは余計に聞きたくなるというもので、そうすると「百二十文の灯明銭をくれたら話しますよ~」と追加料金を請求したようです。

ビジネス上手というか、現実的というか。女性はいつの時代もたくましいなあ、と感じます(笑顔)

熊野比丘尼の雰囲気がチラッと分かる動画も提出しておきます。1分過ぎあたりから是非。

【熊野比丘尼】

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