マリオだけどRPG! RPGだけどマリオ!
世界一有名な配管工、ギネスブックにすら乗る男、ミスター任天堂ことマリオ氏。
マリオと言えばジャンプで大活躍する冒険が浮かびますが、90年代に入るとゴルフにテニスにパーティに 医者に とどんどん活躍の幅が広がっていきます。
そう。こんなCMが作られる程度には。
そこそこのインパクトを持つ「マリオストーリー」のCM。
「マリオストーリー」と言えば《ペーパーマリオシリーズ第1作》という作品。
と同時に《マリオRPGシリーズ第2作》という一面もあったりします。
「マリオストーリー」は2000年、「スーパーマリオRPG」は1996年の作品。
アクションゲームの王者は RPG界にも君臨することが出来るのか?
異なるジャンルをかけあわせ 双方の長所を取り入れる出来るのか?
出来る 出来るのだ
「スーパーマリオRPG」
スーパーマリオRPG
スーパーマリオRPG | ニンテンドークラシックミニ スーパーファミコン | 任天堂
スクウェアは伊達じゃない! 《RPG》パート
最初からクライマックスのストーリー。
このゲームはピーチ姫がクッパにさらわれるムービーから始まります。
お約束ですね。マリオワールドのよくある日常です。
次のシーンを見てみましょう。
〝マリオがクッパ城に乗りこんでいきます〟
やっぱり勢いっていうのは大事ですよ。こちとら人助けに行ってるわけですから。急を要するんでね。キノコ食ったり大きくなったり亀踏んで遊んでる場合ではないわけです。今回のマリオは一味違います。
ゲーム開始からクッパ城カチコミまでにかかる時間は〝数分あるかないか〟といったところでしょうか。
この記録は特筆に値するのか、説明書でもルイージ氏が「いや~今回はクッパ城までたどりつくのは、速かったなあ……。」と感嘆しています。
で、クッパとちゃんとバトルします。えらいですね。倒します。「勝った!第3部完!」と思ったその時――
1本の巨大な剣が天から降ってきて、ピンポイントでクッパ城に刺さってしまう。
〝そして今回の冒険が始まります〟
《深々とクッパ城に刺さった巨大な剣! 一体、これから何が起きようとしているのだろうか……!?》
とは説明書の談。本作を象徴する良い文言です。
世界を壊すもの、守るもの――王道をしっかり踏まえたマクロシナリオ。
RPGの代名詞ファイナルファンタジー氏
Amazon | ファイナルファンタジー | ゲームソフト
マリオの世界においては敵方はクッパなのが大半ですが、本作では異なります。
敵は《武器世界の魔王 カジオー》。
彼は〝世界から夢を奪い、世界を武器で満たすため〟に活動を開始します。カービィにもそんな敵いたな
つまり今回のマリオは《マリオワールドの日常》から離れて、《マリオワールドを別世界の侵略から守る》というのが大きな目的となっているわけです。
この構図が良いですね。なにが良いって今まで被害者に過ぎなかったピーチ姫や敵方だったクッパが〝マリオと共闘する〟というアツい展開が可能になるわけです。いいゾ~これ。
コミカルだってこなせる、小技が光るミクロイベント。
コミカルなマリオの例
スーパーマリオくん 53 (てんとう虫コロコロコミックス) | 沢田 ユキオ |本 | 通販 | Amazon
大筋はめちゃくちゃ深刻ですが、作中の雰囲気は全体を通してわりとポップです。
主人公のマリオは基本的に喋らない(喋れない……?)無口キャラなのですが、闘志を表現するのにファイティングポーズをとったりジャンプで自己主張したりけっこう激しく動きます。
《マリオワールドの住民が困っている→話を聞いたマリオが勢いよく駆けだす→ぶつかる/とめられる》
というお約束めいた展開が何回か存在しますが、このゲーム〝絵と演出の質が良い〟ので微笑ましく眺めることができます。
あとですね。
なんと言いますか、そのー。
ピーチ姫とかキノピオとか見ていただければおわかりかなと思うんですが、マリオワールドとかキノコ王国の人々、のん気なんで。ええ。
敵に襲われて震えている住人もいるんですが、〝敵と一緒に遊んでる子供〟とかもいてわりと日常的です。
言うて敵も敵で〝ジャンプすることしか考えてないやつ〟とかいるんで実は平和なのかもしれない。「ビヨヨ~ン! ビヨヨ~ン! ビヨヨヨヨ~ン!」
初心者歓迎は嘘にあらず! 安心と信頼のターン制バトルシステム。
ターン制バトルの大御所ドラゴンクエスト氏
ドラゴンクエスト | ニンテンドー3DS | 任天堂
RPGの要のひとつ、バトルシステムにはターン制を採用。
・HPに気をつけて敵と戦え!
・FP(フラワーポイント。他作品で言うところのMP)を消費すると特殊技を撃てるぞ!
・敵を倒してレベルアップ!
・お金を集めて強力な武器防具を揃えていこう!
という具合で、基礎はしっかりしています。
「スーパーマリオRPG」が登場した1996年というのは〝FFで言うと7が出る直前の年〟なのですが、抑えるところはきっちり抑えにかかるスクウェア、本作でのバトルシステムはわずらわしい部分が一切なくかなり良心的です。
敵味方の個性付けもしっかりしていて《全体攻撃が得意》《特殊な状態異常技がある》《一部コマンドが使えなくなる》などキャラクター、シチュエーションが多彩。
後述する《バトルアクション》もあってひとつひとつのバトルに適度な緊張感を持ち込める一方、よほどの事が無い限りは《苦痛めいたレベル上げ》を強制されることはなく、スイスイ進めていくことが可能となっています。
なかにはレベル1のままでクリアしようとしているツワモノがいるらしい……