『ガンプラり歩き旅』その63 ~番外編 輝く銀河を駆け抜けるダイターン3!(前)~

『ガンプラり歩き旅』その63 ~番外編 輝く銀河を駆け抜けるダイターン3!(前)~

ガンプラ! あの熱きガンダムブーム。あの時代を生きた男子であれば、誰もが胸高鳴り、玩具屋や文房具屋を探し求め走ったガンプラを、今改めて当時のキットから現代キットまで発売年代順に、メカ単位での紹介をしてきた『ガンプラり歩き旅』。 今回は前後編で、ガンプラブームと共にロボットプラモブームを牽引した、アオシマ製プラモデル群から、『ガンダム』の富野由悠季監督の名作『無敵鋼人ダイターン3(1978年)の、当時のプラモデルや最新キットを紹介していきます!


例によってパッケージのイメージイラスト。ダイターン3ではカプセルの射出口は胸にあるので、イデオンの時ほど「産卵の瞬間」的なインパクトはない

でも、このイラストでは、カプセルではダイターン3の武器、ダイターンザンバーが飛び出てくるけど、実際にカプセルから出てくるのは、もっとすごい代物ばかりだったりするのだ。

組立説明書にある、カプセルの遊び方

当時のこのシリーズを知らない人には、もう既に「このイラスト一枚で、何を理解してどうしろというのか」としか言えない図。
なのでここは一応、筆者が実験体になって、実物でこのカプセル遊びを再現してみせよう。

まずは生首をめくりあげて、首の部分に空いた穴から、素敵謎カプセルを放り込む

いきなり生首ギミックの登場だが、ここでの開閉ギミックがあとあと変形でも役立つあたり、さすがアオシマ(註・褒めてない)

スプリングが仕込まれた背中のレバーを押し込むと……

胸のカバーパーツがパカッと開いて、胴体内部からカプセルが飛び出してくるぞ! ……くるぞ……

後はまぁ、転がり出てきたカプセルを開けて、一喜一憂(いや、実際には憂しかないんだけど)を味わうというのが、まぁポケットパワーの醍醐味だというのは、既にこの連載の「スペシャルデラックス イデオン」(リンク)を見て頂けた読者の皆さんならご存じだとは思いますが……。

では、やはりここで肝心の「一喜はさせずに一憂しかさせない」カプセルの中身群について、検証をすすめてみたいと思う。

これは……まさか?

これは、形も大きさゆえにディフォルメされてはいるが、三つ又の剣といえば、ダイターン3の前番組『無敵超人ザンボット3』のメイン武器、ザンボットグラップにしか見えないのではなかろうか?

両手で華麗にザンボットグラップを使いこなす、前番組ヒーローロボット、ザンボット3

言われてみれば、確か同じポケットパワーのイデオンにも『超電磁マシーンボルテスV』(1977年)の武器、超電磁ゴマに通じる「和独楽」の極小ミニチュアがカプセルの中に入っていた。
なんだろう、ポケットパワーの中身は、9割が平和日常的ボケアイテムなのに、1種類ぐらいは、しかもメイン商品の前の番組で、主役ロボットが使っていたアイテムが、イマドキの食玩の極悪アソートのような確率で入れられていて、それがカプセルガシャポンとしての「当たり」という隠れテーマでも仕込まれていたのだろうか?
……いや、考えすぎで、きっとこれも、ザンボットグラップのデザイン基になった、琉球(今の沖縄)の古武術武器・釵(サイ)がモデルなのだろう……。

琉球古武術武器・釵

もっともこの釵、ダイターン3に持たせてもサイズが小さすぎて、小学生がボンナイフを持っているようにしか見えなかったりするからさらに物悲しい。
さて、お次のカプセルは……。

小さな真四角のパーツにディテールがびっしり……これは?

これはアレだ! 平成の今を生きるワカモノには想像もつかないだろうが、昭和のあの時代、まだまだ「一家に一台」のレベルで、家電の王として庶民の住宅で君臨していた、台付きテレビジョン!

っていうか、80年代ってもうちょっとテレビのデザイン、新しくなってなかったか?

なるほど! 無敵のロボットダイターン3も、ピンチに疲れた時はカプセルから取り出したこのテレビで、お笑いバラエティを見てリラックスして……って、ねぇよ! ありえねぇよ!

ただの、プラスチックの円盤……?

ン?……空飛ぶ円盤か? いや、そんな雰囲気は微塵もしないぞこのパーツ。ただの薄い円盤でしかない。真ん中に小さく穴が開いていて……よく見ると円盤の円周に沿って溝が彫ってあるけど……これって……まさか……

当時は33回転LPと、45回転EPがありましてな……

レコード盤かよぉおおおっ! なにぃ!? テレビのバラエティ番組だけではリラックスできないから、ヒーリングのレコードでもかけないと、強敵相手に自然体で戦えないの?ダイターン3! お前そんなに神経細かったんかぁあいぃいっ! これもう、どこをどう見てもレコード盤だよね? 今更「これがダイターンファンの全展開状態です」とか言わないよね!? 素敵すぎるだろ、ポケットパワー!

これは……? この特徴的な形状は? 誰もが小学校時代、理科室で見たはずの……

顕微鏡かよぉおおおおっ!

シュールだよね!? シュールすぎるよね!? 全長100mクラスの巨大ロボットが、ミリとかミクロン単位の微生物とか雪の結晶とかを、このサイズの顕微鏡で観察するとか! 主にサイズ的なスケール的な観点から、無理があり過ぎてシュール過ぎるだろう! さてはアオシマ、何も考えてねぇな!(←いまさらかよ)


……とまぁ、ここまでがアオシマ王道のポケットパワーシリーズの基本ギミック遊びなのだけど、このシリーズの真の醍醐味は「生首マシーンへの完全変形」にあることは、「スペシャルデラックス イデオン」で立証済みの期待大!

とはいうものの、イデオンの謎のメカへの変形は、そもそもイデオンは合体ロボットであって、イデオン自体が変形しないメカなのに、変形シリーズに無理矢理組み込んでしまったがゆえの悲劇(喜劇?)だったのだ。
ダイターン3の「ダイファイター」や「ダイタンク」は、実際にアニメでその変形形態が登場するし、それは同じポケットパワーシリーズのトライダーG7での、トライダービーグルとトライダーフォートレスにも同じことが言える。

ポケットパワーシリーズでの、トンデモの割を食ったのはイデオンだけで、他のアオシマオリジナルロボット群(シャイアードやジェロード)は、自社責任(笑)の範疇なので、まぁダイターン3では、そうそう爆笑物のミュータントは仕上がらないだろうと期待と不安が沸き上がる。
しかし、パッケージアートでは、ダイファイターにもダイタンクにも生首がしっかり描かれている。

しかし実は、このキットを変形させていくと、意外とこのキットに限っては、生首晒しが変形構造上、ベターな配置ということが分かってくるのだ。
このキットは「ダイファイター」なので、ダイファイターにしか変形は出来ないが、実際の変形プロセスを追って見ていこう。

まず、ダイターン3は、ダイファイターに変形する時も、ダイタンクに変形する時も(実際は逆の順序で変形するのだが)頭部がボディに収納されて、両肩の大きなアーマーが展開移動してきて頭部の位置に収まり、それぞれの変形メカの機首になるのだが。

同時期のアオシマの「合体ロボット」版では、このアーマーを肩にスプリングで取り付けることで、スプリングのテンションと牽引力で、保持と変形を兼ねていたのだが、ポケットパワー版では、可動フレームを内部に仕込んで、アーマーの可動を正確に動作させることに成功している。

組立説明書より。肩アーマーのギミックが分かりやすく説明されている

実際のキットでの、肩アーマーの変形移動のプロセス

筆者は正直、この肩アーマーの変形ギミックは、このキットよりも上位にある「合体ロボット」版のスプリングによる固定方式よりも、かっちりとした位置にアーマーを決めることが出来、耐久性も優れていると思っている。
問題はここから。
元よりデザイン上での段階から、ダイターン3の肩アーマーは、垂直に展開して合体した時に、ダイターン3の頭部を収納できるだけのスペースが確保されていない。
アニメではダイターン3の頭部は、ボディの中からせり出してくる演出が見受けられるのだが、この「ボディの中の頭部が、エレベーター式にせり上がってくるシステム」を、プラモデルで再現するのが極めて(特に当時の技術では)困難なので、このポケットパワーシリーズでは、首周りと共に襟の後ろに向けて、開き倒れて、肩アーマーの機首が合体できるスペースを確保する。
かような手続きを踏むと、どうしてもダイファイター、ダイタンク共に変形時には、正面から見た時に、どどーんと生首がにらみつけてくるという完成形に至ってしまうと、こういうわけである。

「頭部のせり上がり」に関しては、後年のバンダイガンプラの『機動戦士Vガンダム』の1/100 HGヴィクトリーガンダムみたいに、頭部と襟周りをエレベーター式にして、ボディ内部に収納式にすればもっとリアルにダイファイターやダイタンクへの変形が出来たかなとも思うのだが、バンダイのHG Vガンダムは90年代の技術と設計の商品であるし、むしろそれでもHG Vガンダムでは、ちょっと油断すると首が襟元ごと、ストンとボディ内部に落ちてしまうような構造だったことを考えると、1981年という時代でアオシマの技術力では、合体ロボットシリーズのような差し替えにするか、このポケットパワーのように生首土台ごと反転して、肩アーマーの展開を逃がすようにする方が確実だし、理にかなっている変形だとは言えよう。

しっかり合わさった機首。ボディ正面からは、背中に回った生首は見えないのでまともに見える(笑)

そして脚の変形だが。ここは合体ロボットシリーズ同様、腰の横面と後面が独立ブロックになっていて(特にポケットパワーでは、脚の腿と一体パーツになっている)接続軸がボディ後面の中央に位置しているので、ここを支点に両脚を回転させると、アニメ設定同様に、両脚が90度展開した形で、ピッタリ、ボディより一段上の位置でファイターのシルエットを形成するという方式をとっているのである。

ロボットの変形やギミックのビジュアル効果を知り尽くした大河原邦男デザインの真骨頂的変形

また、ダイターン3時はバックパックになるべき、主翼と垂直尾翼は、主翼カバーと共に丸ごと余剰パーツ扱いになっている。

ダイファイター用の余剰合体パーツ

だったら、これらに接続ピンとダボを設けて、申し訳程度でもバックパック状態へと合体させて背中にはめこめれば、一応ダイターン3状態が完璧なものになるのに、と思わざるを得ないが、逆を言えばこれらは、ダイタンク時には、どこへ行ったのか行方不明なパーツになるわけで、商品を「ダイファイター」「ダイタンク」に分けた以上、バックパックを「ダイタンク」に付属させる意味もなく、ダイファイター固有のアイデンティティになるパーツともいえるので、別パーツ化されているのであろう。

ダイターンの背中を確認してみても、そこには大事な(笑)ポケットパワーカプセル射出レバーがあるだけで、後付けでバックパックが取り付けられそうなダボもピンもないので、あくまでこれらは「ダイファイター変形時用の特別付属パーツ」扱いなのであろう。

完成したダイファイター

余剰ダイファイター用パーツを、両腕に被せて、両脚の間に差し込んで、ダイファイター・ポケットパワー版の完成である。

上から見下ろしたダイファイター

むしろ、翼系パーツが全て別パーツなので、自由な大きさが確保できているので、ダイファイター単独の完成状態としての、翼の面積とボディの大きさのバランスは悪くなく、戦闘機としてのシルエットとしてもカッコいい部類に入るのではないだろうか。

真横から見たダイファイター

惜しむらくは、どうせ変形用余剰パーツをつけてくれるなら、アニメ内でもどこから出てきてどう収納されていたかもわからない、脚の腿付け根から背中へ伸びる、スロープのパーツもつけてくれたら、もっと「らしい」ダイファイターになったかもしれない。

正面から見たダイファイター。ダイファイターなのに、ダイターン3がこっちをにらみつけてきている……。

アオシマ生首メカというと、どうしても馬鹿にしてしまいがちになるが、今回のこの、ポケットパワーのダイターン3のように、理にかなっている生首メカも存在するということ。もっともそうまでして生首を、どうしても変形用取り外し部品にしたくない拘りが理解できないが(笑)
だって実際、「合体ロボット」版では、あっさり頭部は、変形時に取り外すように出来ている。
やはり「生首」は、ポケットパワーシリーズのアイデンティティなのだろう(笑)

ポケットパワーシリーズの富野ロボット、イデオンとダイターン3の並び

というわけで、次回はダイターン3編の後編で、アオシマのダイターン3シリーズ最上位商品「合体ロボット ダイターン3」を徹底的に紹介していくだけではなく、「ダイターン3のアクション再現に最適な、近年のフルアクションフィギュアのダイターン3」の頂点例として、ガレージキットメーカーの浪曼堂が、90年代に発売していた、塗装済み組立ソフビキットのダイターン3を紹介したいと思う!
ダイターンファンの皆さんは、日輪の力を借りて、刮目して待て!


(取材協力 青島文化教材社)

市川大河公式サイト

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