『ガンプラり歩き旅』その62 ~番外編 はばたけ! 宇宙の勇者ザンボット3!(アオシマVSバンダイ編)~

『ガンプラり歩き旅』その62 ~番外編 はばたけ! 宇宙の勇者ザンボット3!(アオシマVSバンダイ編)~

ガンプラ! あの熱きガンダムブーム。あの時代を生きた男子であれば、誰もが胸高鳴り、玩具屋や文房具屋を探し求め走ったガンプラを、今改めて当時のキットから現代キットまで発売年代順に、メカ単位での紹介をしてきた『ガンプラり歩き旅』。 今回は前後編で、ガンプラブームと共にロボットプラモブームを牽引した、アオシマ製プラモデル群から、『ガンダム』の富野由悠季監督の名作『無敵超人ザンボット3』(1977年)の、当時から現代に至るプラモデルを紹介していきます!


バンダイ版の脚の可動範囲。合体前提で、ここまで開脚する

ザンボット3に合体しても、可動範囲は通常のガンプラと同等かそれ以上で、基本的にアニメで構えていたポーズはほぼ再現できるスペックを誇っている。

脚の可動範囲の、前後と膝の可動

脚の可動は、ガンダム系にありがちな「箱型の腰を、アーマープレートによる囲いに置き換えることで、脚が自由に可動する」を取り入れて、かつてない大胆なポージングを可能にした。

また、アオシマやクローバーを初めとして、歴代の各メーカーを悩ませ苦しめた「ボディのアーマーのせいで、腕が前方へ可動させられない」だが、これに関してはもともとアニメが、大胆な割り切りで「二次元の嘘」を貫いていたのだ。

アニメ版のザンボット3の描写より。肩アーマーがまるでゴム製のように描かれている

なのでバンダイは、超合金魂あたりから、ザンボット3をフル可動で商品化する時は、一体型のアーマーの、肩の部分に分割ラインを設けて、いわばガンダム等と同じ構造に置き換えて、腕が自由に前方に上げられる仕様に割り切ることにした。それは今回のスーパーミニプラ版ザンボット3でも活かされている。

肩アーマーを分割したことで、自在に腕が上方へ向かってあげられるようになった

しかし、この分割方式は、決してガンダムのスカートのような、現代のフィギュア化優先の歴史改変とも言い切れず、アニメ本編でもよく観ていると、肩アーマーがボディ部分と肩部分で分割されている前提の作画も見受けられるので、この肩アーマー分割方式は、今後のザンボット3立体化では、スタンダードなデザイン解釈になっていってもよいと思う(もしくは、バンダイが一時期ライディーンやゲッターロボ等のスーパーロボットのプラモデル化商品「メカニックコレクション」でやってみたように、ボディアーマー全体を、ゴムや軟質素材で成型するという選択肢もあるが)。

アニメのオープニングより。バスターを構えるザンボット3の肩アーマーは、完全に回転可動している

なので、古参老害オタク代表(笑)の大河さんも、このザンボット3の肩アーマー分割には、原作原理主義者として賛成の意を表する。その他、スカートの分割や肘の曲がる軸の方向の問題(本来は、前腕の凸モールドを前面に出しながら、腕が前に向かって曲げられなければいけない)等、無茶を望んでも仕方がない部分に関しては、このバンダイ版が非常に高度に「無茶と道理」の折衷を見せてくれていることも確かだ。

まだ誉めよう(笑)
スーパーロボットとしてのザンボット3の特徴やセールスポイントは、実は「手先」にあると言い切ってもいい。
基本的にバスター以外の基本武装は、殆どがザンボットグラップをはじめとした刀剣だ。特にザンボットグラップは、アジアの武闘武器「サイ」をモチーフにしているだけに、ザンボット3が逆手に構えるシーンも多く、その際は、両手の指を駆使してサイ状の武器を使いこなしていた。
このバンダイ版では、アオシマ版が「両刃ではプラモデルに握らせることが出来ないから」で妥協した部分も含めて、ザンボット3が使いこなした刀剣武器を全て揃えてある。

バンダイ版の武装。上からザンボットカッター、ザンボットブロー、ザンボットグラップ2本

そして、これらの武器を巧みに使いこなす様を再現すべく、手首の方にもバンダイ最新の設計思想が注ぎ込まれている。
ガンプラ1/100のマスターグレードシリーズなどでは既におなじみだが、このザンボット3でも、手首はまず、親指可動の手のひらまでが共通で、後は平手やグリップの握り手など、多彩な表情の4本指パーツが複数用意されていて、それらと刀剣武器の組み合わせで、様々な「ザンボット3らしいファイティングポーズ」を再現することが可能なのだ。

用意されている手首の中には、単独の、力強い握り拳の物も含まれている

肩の可動化と肘の180度近い可動範囲、そして多彩な手首パーツによって、およそファンが期待するザンボット3のポーズのほとんどは決めることが出来るだろう。

ザンボットカッターを振り下ろすザンボット3

ザンボットブローを手にして、懐かしのアオシマ1/460アニメスケールのパッケージのポーズも

サイの逆手持ち二刀流という、ザンボット3独特の戦闘態勢

また、共通の手首パーツのジョイントが、袖口に対して直角まで曲がるため、平手指を装着すれば、肘の180度可動と合せて、既存のどのザンボット3フィギュアよりもアニメ本編に準じた、「正しいムーンアタックのポーズ」がとれるところが、この商品最大の売りでもあるだろう。

必殺のムーンアタックのポーズも、このとおり!

オープニングでは、上のポーズの後、こうして拳を突き出してムーンアタックを発射していた

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